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ラプラスの妄想

このブログのタイトルは『ラプラスの妄想』と名付けた。
分かる人なら‘ラプラスの悪魔’の間違いだろうと、気がつかれただろう。
そのとおり。
あのラプラスの悪魔から由来している。

念の為に申し上げれば、
ニュートン力学が断定するように(アインシュタインの相対性理論さえも支持した)、自然界の物質も現象も、つまるところは(素)粒子の相互作業している舞台に過ぎず、すべての粒子の現在の位置と速度(運動状態)が分かれば、あらゆる物体の運動や現象の未来は計算によって導くことが出来る。

つまり、未来に不確定な事は何もなく、
未来は、現在という時点で確定していると言える。

仮に宇宙の全粒子のたった今の行動(位置と速度)
を知ることが出来る仮想的な存在がいるとしたら、
彼には近い将来も遠い将来もすべてお見通しであり、
人の考えも、振る舞いも、
勝負の結果さえも予測できる。

そのような架空の生きものをラプラスの悪魔と名付けたのである。
しかし、光子も電子も、
そして全ての物質が、
波動であると同時に粒子であることが発見されると、
ハイゼンベルグの不確定性原理が確立され、
ニュートン物理学は、古典物理学となった。

これから私が確立しようとする自律機能主義は、
理論物理学、量子理論で解釈する精神病理学を
中心にして説明しようとするものであるから、
敢えてラプラスの妄想を持ちだしたのは、
時代に否定された因果律的世界の超人の妄想という形で、
無責任に好き勝手を言わせて頂こうという魂胆なのである。

所で当のラプラスの悪魔の生みの親、ピエール・シモン・ド・ラプラスは、
パリのエコール・ノルマールで数学を教えた英才で、
ナポレオン皇帝に見出され、内相にまで引き立てられたが、
ナポレオンが勢いを失うや、議会で英雄追放に賛成票を投じ、
ナポレオン没落後はルイ王朝の侯爵になり一生安泰な暮らしをしたそうである。

ラプラスの悪魔ほどではないにしろ、先が読める才覚があったのだろう。
ちなみに彼のような生き方を自律機能が優れているとは言わない。

なぜなら、そのように生きる人は少なくはないが、
押し並べて、彼らの生き方には、情緒的に言えば、美しくないところが見えるからである。
ラプラスが実際どうであったかの確証は無いけれども・・・。
自律機能主義的生き方は、感性的には、振る舞いは卑しくなく、
美しくあることが前提である。

なお、雑誌ニュートン2012年4月号によれば量子物理学の基本原理とされた、
『ハイゼンベルグの不確定性原理の測定不等式』は
2003年に名古屋大学の小澤正直教授によって訂正され、
それを実験的に証明したウィーン工科大の
長谷川祐司准教授の論文が1月15日の『Nature Physics』に掲載されたそうである。

科学理論の進歩は止めようもないが、
自律機能主義の依拠する理論も乗り遅れてはならないものと
ラプラスは妄想するのである。

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