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入院生活で思ったこと?その一

3月の中旬に体調を崩し、2週間ほどの入院騒ぎがあり、AF研究室のブログも更新できなくなっていましたが、今週からようやく復帰しましたので、また取り留めのないよもやま話でも書き綴ります。

入院生活というのは、基本することがなく天井を見ながら時の流れるのを待つという生活ですが、日頃は、目の前のこなし仕事に追われ、なかなかまとまった量の小説などは読めないものですので、この入院を利用して、かねてより読み残していた小説の幾つかを読むことができました。

その一つに、息子から勧められ、本ももらっていた百田尚樹著『海賊とよばれた男』があります。
ある時期の本屋の売り上げナンバーワンにもなっていた記憶があるベストセラーです。最近本屋大賞を受賞しました。

息子が感動?したというから、何に感動したかに興味もあり読み進めた訳ですが、意外なことに、明治の男が、国家と社会の為に、を第一義に民族派の石油産業(出光興産)を立ち上げる、ある種の精神主義に則ったビジネスサクセスストーリーともいえるものでもありました。ほんの10年ほど前、拝金主義ともいえる市場主義が時代の潮流になり、村上、堀江某氏等を政府が諸手を挙げて称賛した時代があり、まさにその中で多感な学生生活を送り就職戦線を潜り抜けてきた息子世代が、このような本をある種の感動を持って受け止めるとは思いもしませんでした。

そういえば、社会正義を問うマイケルサンデルの白熱教室も支持されていることを考えると、行き過ぎた功利主義、新資本主義に対して密かな疑義があり、現代社会の若い知識層の思想の波動は方向を変えつつあるのかも知れないと、学生時代に人の存在を社会や国家とのかかわりの中で、それなりに考えてきた我ら世代にはちょっとうれしく思えましたよ。

ちなみに、小泉純一郎氏が新市場主義を賛美し郵政民営化で、大博打の選挙をしたとき、圧倒的に支持したのも彼らでした。その時は日本の社会、政治にはもう展望はないと心底思ったものでしたよ。

世の中、実在も抽象も、すべて波動で成り立っており、その動きも変化も波動のように変遷するというのが私の信じて疑わないところですが、まさしく現在は時代の波動のカーブの変わり目なのかもしれません。

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