2020年のオリンピック、パラリンピックの東京開催が決まった。
決定した当時の日本中の興奮は、ようやく沈静化してきたようなので、腹に貯めていた、いくつか私見を述べようと思う。
あの当時では何も言えない雰囲気だった。
いくつかの伝説も残ったし、 OMOTENASHI やUNDER CONTROLなどの流行語も残った。 ?
私は基本的に反対の立場であった。 ?
第一に、福島原発の問題が未解決であるのに、そんなことを言っている場合か、と思ったのである。
例えれば、家族が海で溺れている最中に、来年の海水浴の話をしているようなものだと思ったのだ。
どう考えても順序が違うだろうと。 ?
第二には、4年前の東京誘致の際のいろいろな不明朗、不透明な事象が曖昧にされてしまうのではないかという事だ。
前回の誘致失敗の責任(莫大な税金を浪費した。)や石原前都知事の数百億円にわたる不明朗な会計操作は明らかにされないままにならないかとの懸念である。
どうやらそれは現実のものになりそうである。
さぞや蔭でほくそ笑んでいる者がたくさんいる事であろう。
それを隠蔽するために、東京都は今回の誘致になおさら頑張ったんだろうと勘繰りたくもなるくらいだ。
猪瀬都知事の徳洲会からの裏献金も暴露されたことだし、メディアは根気よく追及して欲しいものである。 ?
しないだろうね、今の腑抜けのマスコミでは。 ?
いずれにしろ決まったことは現実であり、もうそれに向かって走り出したのであるから、今は、今後の希望、懸念について、いくつか述べたいと思う。 ?
まずは「日本橋」の愚行は二度と犯してはならないと思う事である。
東京の方は良くご存知と思いますが、日本の幹線道路の起点であり、ある意味では日本の歴史、日本人心の原点の一つともいえるあの美しい日本橋の直上に、スレスレの所に覆いかぶさるように無粋な首都高速道路が走って景観をぶち壊し、見るたびに日本人の誇りを傷つけているのである。
当時は、オリンピックの為という御旗のもとで、政府や役人が反対の声を押し切って造ったものでしょうが、反対する方も、どこか判断基準が狂って声が弱くなってしまったんでしょうね。
今にして思えば、造った方もあの判断はおかしかったと思っているのではないでしょうか。
今になって後悔して、景観の復活再生運動があるようですが、誠に残念なことです。 ?
今度のオリンピックでは、そのような過ちが二度と無いように冷静な判断を期待するばかりです。
オリンピックは数週間で終わってしまいますが、壊した景観、自然環境を戻すのは容易ではありません。 ?
同じような事が原発の処理で、起きない事を願うばかりです。
臭いものにふたをするように、日本国民がこぞって東北の声を圧殺するような事態が起きないか、心配します。
オリンピックの工事が優先され、東北の復旧工事が後回しにされそうなのは、もう現実化しつつあります。 ?
もう一つは、リニア新幹線開通をオリンピックに間に合わせろ、と言う政府からの圧力で、無理な工事で禍根を残さないように、という事です。
確かにリニアは日本が世界に誇るべき科学技術力の快挙と言っていいと思います。
開発に携わった人々は金メダル以上の名誉でもって讃えられていいと思う位です。
涙もろい小生なんかは、ここに至る苦労と努力を想像するだけで目が潤んでしまいます。
だからこそ、彼らの名誉が傷つかないように、仕事を全うして欲しいと思います。
突貫工事であった新幹線は、確かに未だに無事故ですが、だからといて、同じように行くと思わない方がいいと思います。
話は変わりますが、先日テレビでロボコンのアジア大会で金沢工業大学が優勝するドキュメンタリーをやっていましたが、見ていて感動して、やはり目が潤んでしまいましたよ。
アスリートの努力もいいが、東大に伍して頑張った、彼等の知的な苦闘もなかなか見ごたえがありました。 ?
私たち日本人は、磁場によって鉄の分子が一斉に同じ方向に整列して磁化するように、同化しやすい国民性であることを肝において、国家的イベントの際は冷静さを失わずに判断行動するようにしなければ、と自戒を込めて強く思います。