この欄で、オリンピックについて書いた前後して、猪瀬東京都知事の徳洲会騒ぎがあり、辞任という急展開をしたので、少し追記しておこうと思う。
正直な感想からいえば、猪瀬氏は、もう少しがんばれば、辞めなくて済んだのではないか思う。
あれだけ四面楚歌で叩かれると、庶民感情では判官びいきが出てくる。
味方のはずの石原前都知事や自民や公明党の態度は、いかにも不自然で、どこかおかしいと思えるし、裏に何かがあるに違いないだろうと勘繰りが始まるだろう。
そのうちに、猪瀬氏を続投させておけば、これに懲りて、もう悪さはしないだろうと期待する世論が出て来ないとも限らない、と思ったからだ。
勘繰りの一つに、オリンピックの巨額の利権がからんでいるのではないかとは、誰しもが容易に思うところだ。
オリンピック招致を決め、強くなりすぎた猪瀬氏は邪魔になったのだろう。
猪瀬氏を傀儡知事にして、院政を敷くはずであったI氏にも、自分の利権が危ういと不安焦燥感があったのかもしれないし、あるいは前回のオリンピック招致運動の際の数百億と言われた使途不明金問題が再び、表に出るのを恐れたのかも知れぬ。
また、息子である石原伸晃氏率いる自民党都連ももっと御し易い知事の方が好都合なのだろう。
なんせ数千億円の利権である。
猪瀬知事は辞職の際、政治家としてアマチュアであった、と反省の弁を言ったが、逆に言えば、プロの政治家はこれくらいの金は当たり前にもっとうまく処理するものだ、という意味なんだろうね。
ならば、最後屁に、歴代知事の悪行をばらして欲しいものだが、命が危なくて出来ないだろうね、きっと。(ひょっとして‘餃子の王将事件‘は、プロがプロを使った、見せしめの脅しだったりして??なわけないか。)
結局のところは猪瀬氏の人望の無さに尽きるのだろうか?
道路公団民営化委員時代の態度を見れば、想像がつこうかというもの。
彼と大宅映子氏だけは、最後まで権力にすり寄り、法案を骨抜きにした。
彼が得意げに手柄とした成果は、ほんの僅かな高速料金の値下げで、その分は、彼が委員として使ったタクシー代などの経費分の方がはるかに高くついたとマスコミに指摘されていたよね。
そのお仲間の大宅氏に、“今回は、対応が子供過ぎた。”と批判されたら、もはや面子も立たないよね。
皮肉にも、猪瀬氏のデビューは、大宅荘一ノンフィクション賞(映子氏の父親はもっと気骨があり、反権力だったのにねえ。)受賞だった。
今回の事例から、私は自分の座右の教訓を再確認した。
「権力や才能も杭と同じで、半端に突出してはいけない」ということだ。
槌が届かないほど、高く突出すれば、杭も才能も打たれることはないし、権力も十二分に強大であれば、どんなに不正義でも簡単にはつぶせない。(北朝鮮、ロシアを見よ。)
猪瀬氏は所詮、半端であったということか。
沖縄返還の際、表向きは非核3原則を言いながら、国民を騙して、核持ち込みを米国と密約をした佐藤栄作元首相は、非核という政治的業績でノーベル平和賞をもらったが、密約を暴いた毎日新聞の西山記者は逮捕され、監獄に入った。
権力は強ければ何でも出来る、ということを佐藤栄作、その兄である岸元首相の親族(孫)である安倍首相は、幼い頃より、権力の構造を間近で見て、よく知っているに違いない。
その兆候が見えるね、最近は。
特定秘密保護法強行採決ばかりか、とうとう靖国神社にも行った。
ジジコンのお祖父さんも出来なかった憲法改正をして、歴史に名を残したいというのが、最大の政治目標なんですよね、安倍首相は。
私たちは、与党に力を与えすぎてしまった失敗を反省し、次回の東京都知事選では関西の、衆愚の二の舞,三の舞にならぬよう(知名度だけのタレント選びだけは阻止するように)、肝を据えて対処して行かなければと、一人強く思いますが、皆様はいかがお考えでしょうか?