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IR法案に反対するー自公の打った総選挙の本当の狙いは?

 統合型リゾート法案(IR法案)は、国会が急遽解散されることになり、今国会では廃案になったが、選挙が終われば真っ先に出てくるだろうから、IR法案に反対する立場で一言私なりの意見を言っておこうと思う。

 統合型という意味は、カジノを中心において、ホテル、国際会議場、美術館、劇場、飲食店、ブランドショップなどを集合させることを言うらしいが、目玉はカジノであり、カジノを中心として統合性はかり集客を目指すことから、カジノ法案を統合型リゾート法案とまやかしているのである。これは政府が音頭を取って日本にカジノ解禁をもたらそうとする法案なのである。

 今回の選挙の最大の注意点は、阿部政権が、アベノミクスで株が上がったことで人気があるうちに、選挙で過半数を取り、国民の信任を得たとして、その後、集団的自衛権関連法案や、派遣法改正、原発推進法案、RI法案しいては憲法改正の為の法整備までほしいがまま突っ走るであろうことである。今回の選挙はまさにその大義名分を取る為に行うといっていいだろう。
 暮れに選挙を行うことの経済上のマイナス効果や、福祉関連予算の据え置きが弱者を直撃することを考えれば、安倍首相が国民の生活よりも自分の政治的野望を優先していることは明白に思える。

まさに安倍の安倍による、安倍のための解散総選挙といえる。

 消費税2%を上げるかどうかは、実施一年前の景気、社会状況を見て判断すると現行の法律に載っているのだから、2%値上げの是非を問うという大義名分で、わざわざこの時期に700億を使って選挙をする道理もないし、しかも一年半後にはいかなる状況でも、再値上げをするというのもおかしくはないか。
 1年半後が、経済が破綻するような状況でも、今度は機械的にあげるというのである。死ぬことが分かっていても、飛び降りるというのである。これほどの無責任な政治もないのではないか。なら、なぜ今回値上げしないのか?ということにならないか。

 私達一般国民は、安倍政権の本当の狙いを十分承知して投票行動をとる必要があると思う所以である。
 野党もアベノミクスの是非などと、上っ面な経済論争に巻き込まれないで、国のあり方を争点にして、安倍首相の本音を明らかにして、国民が審判できるようにしなければ、何の存在意味もないことになる。

 自民党に大勝なぞさせたら、本当に何をするかわからない。

 さてIR法案である。反対する理由を挙げる。

①  目的が不明朗である。カジノがあれば、外国人観光客を誘致しやすくなり外貨が稼げ、その経済効果は、アベノミクス3本の矢の成長戦略にマッチするのだと言う。
それなのになぜか、ギャンブル依存症対策費用を十分つけるから心配ないという。
政府の説明のように、日本人を対象とせずに、外国人観光客を対象にするなら必要ないのではないか。
いずれ一般の日本国民を巻き込む前提なのだろう。

 ちなみに、阿部首相が視察したシンガポールでは4年前にカジノつき複合施設を作り、外国人集客に成功して約1000億円の経済効果があったそうである。
ラスベガス、マカオ、シンガポールが収益をあげているからといって、日本が真似をする必要があるのか?日本にはカジノがなくとも、観光資源は十分あるではないか。現に外人観光客は着実に増えているし、外貨も稼いでいるのである。
日本独自の方法を考える方が、長い目で見た場合、はるかに益が大きいのではないかと思う。日本の最大の観光資源は、これまでカジノを持たなかったような、博打を好まない清廉性のある国民性にあるのではないのか。

②  お金は何処で、どのようにして稼ごうが、お金に変わりはない、という考えは、もう時代に合わないと思う。アベノミクスの基本理念は、「富める者、富める会社をまず作る、そしてそこからお金が溢れ出れば、貧民もおこぼれを頂戴して豊かになれる」という小泉、竹中前自民党政権が唱えた新自由主義の発想の継承そのものである。別名強欲資本主義ともいうが、それは極端な格差社会を産み、かつリーマンショックで構造破綻を来し、その思想の有効性は否定されたのではなかったのか。
今は、世界中の国が新しい資本主義、自由主義を模索している段階、状況であるのに、安倍政権は時代に逆行し、歴史から学ぼうとしない極めて貧しい発想しか出来ていないことになる。
 ギャンブルや金転がしで大金持ちが出現しても、それが国民の努力目標になるか?なっても良いのか?ヘッジファウンドの総帥を‘H氏、M氏よ、我が息子よ‘、と言って讃えた小泉政権当時の自民党幹事長の顔が目に浮かんできて気が滅入る。

 現安倍政権は、そんな心がすさむような社会を容認し、再び目指そうとしているのである。こんな射幸心をあおって経済成長を目指すような発想のリーダーでは皆が豊かで持続可能な社会の未来像は描けないのではないか。

 現在の日本にも競輪、競馬、競艇、パチンコ、宝くじなどギャンブルは既にある。しかしそれらは限られた時間内のことであるが、カジノは始まれば、年中、24時間いつでもできるところに真の危なさが潜んでいるのである。

③  危惧されるギャンブル依存症には、十分な予算をつければ解決するという発想自体が間違いである。それは精神医学の買い被りというものである。
 精神医学というのは、マニュアルを作って、それに従って診断こそはするが、治療には無力である。無力が言い過ぎであるなら、依存症には、殆ど治療効果は上がらないことを知らなければならない。

 ギャンブル依存症患者はシンガポールのデータでは10%しか社会復帰できず、多くは自己破産するというから(日本のパチンコ依存症も実はかなり深刻な状況であるのだが)、依存症患者は累積する一方で、日本では、精神障害者年金、生活保護費はうなぎのぼりになって、間違いなく、早晩カジノ収入を上回る税金投入が必要になるであろう。
 内海聡によれば、現在でも生活保護費受給者の25%は精神障害で入院あるいは精神科に通院しているものであるという。生活保護受給者は医療費が免除されるが、その医療費扶助の6割は入院費で、その4割は精神疾患の長期入院が占めるという。
 これらの数字は、精神医療がいかに多くの税を消費(浪費?)しているかを示している。
 精神障害の治癒率は極めて低いから、患者は貯まる一方であるから必要な福祉医療費はうなぎのぼりにならざるを得ないのである。

 それよりも、依存症が増えれば、大事な生産人口を失うし、何よりも家庭崩壊を招き人々の幸せが失われる。
 ネット依存症を招いたとされるインターネットと違って、ギャンブルは社会に役するものは何もないのだ。

 ギャンブル依存症は、なったら基本的に治らない、という前提で考えねばならないから、なるような状況をまず、作らないということが最優先されるべきであるにもかかわらず、現政府は作るための旗振りをしているのである。

 一方、日本の精神医学会は、自らの実績に照らして、医学的観点からも反対声明を出すべきと思うが、どのような意思表明をしているか寡聞にして耳に入ってこない。
 まさか精神科医療の市場が増えることを密かに歓迎しているわけでもあるまいが、、、。

 要するに依存症は、国が誘惑しておいて、された方が悪いというに等しいことだ。

 シンガポールでも、社会モラルが低下し、横領、汚職が増えたという。おまけに日本では組織暴力団の金づるの温床になるであろうし、また政治家がそれに絡むに違いない。いや、すでにからんで、裏でことが運ばれていることなのであろう。

④  一般国民はカジノが無くとも、少しも困っていない。
 ギャンブル好きはラスベガスでも、マカオでも行けばいいのではないか。
ラスベガスで、一晩で何億も負けて、企業に肩代わりさせていた千葉県選出の故大物議員がいたが、何の見返りもなしで肩代わりすると誰が信じるというのでしょうか。会社の資金を食いつぶした、企業の2世オーナー経営者とかもいましたねえ。
 かように博打は人心荒廃の元凶になりやすいのである。

 日本の国家予算の歳入から見れば、カジノで稼げる寺銭はしれたものである。
議員数を減らしたり無駄使いを止めれば十分事足りる位のことで、人心を荒ませ、バブルの再現を良しとするように国民を仕向けるようでは、国民の失うものの方がはるかに大きすぎるように思えてならないのだ。

 この様に、国民には百害あって一利なしのカジノ法案は末代の悪法である。
カジノ運営の利権に関わる、ほんの一握りの者が利するだけのことである。

 今回の総選挙は、向う2,3年間に安倍政権が好き勝手やる為の口実,言質を取るためのものであることを承知して,自公に大勝だけはさせてはいけないと思うのである。

 一方、野党は、黒田官兵衛風に勘ぐれば、安倍政権にやりたいだけやらせ、国民の怒りを誘い、一気呵成に逆転を狙っているのかもしれないが、日本の悲劇は、野党がそれほどの国民の信頼を得ていないところにあることを野党は肝に銘じて知るべきである。

 日本の政界には、一体何時になったら、歴史を正しく俯瞰でき、国民に夢や希望を抱かせる思想性のあるリーダーが現れるのでしょうか。

 やはり、社会や経済の大きな変わり目には、大きな叡智で国民しいては人類に進むべき方向性を示しうるような異才な傑物が必要だと思えてならないのである。

 

 

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