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番外編―McLaren MP4-12PC SPIDER

友人Y氏が昨年の春に注文していた、マクラーレンMP4-12PCスパイダーが昨年11月中旬に空輸されてきた。

人の褌ながら、あれほど期待して待っていたのに、彼我の事情で延び延びになり、先日ようやく試乗することが出来た。

そこで今回は、自分の所有した車ではないが、番外編として、マクラーレンMP4-12C Spiderの話をします。

なんと言ったってマクラーレン、助手席に乗っただけだけど、その興奮をお伝えしたい。

2月某日朝、12PC Spiderは地響きのような排気音を轟ろかせて、我が家近くにお出ましになった。

でかい!車幅2,093mmとはこの幅なのかと、まず驚いた。

車の雑誌GENROQなどで何度も見た姿が現実となって現れたのである。

MP4-12C

MP4-12C

 

MP4-12C

 

ここはエポケーして、現象学的還元しなければと、最近、勉強し始めた現象学の一節を寝ぼけた頭で一瞬考えたけれど、Y氏のちょっと照れ笑いした笑顔で挨拶されると、どうやらこれは客観的現実らしい。

マクラーレンMP4-12PC Spiderは車好きには蛇足であるが、新生マクラーレンが、最初に出したマクラーレンMP4-12PCのオープンモデルでエンジン、足回りがリファインされ、馬力も600から625psにアップデートされている。

Y氏の12-PC Spiderはボディカラーは白、インテリアは黒とシックにまとめられていた。

オヤジ2人で

ガルウイングを上げて

 

今回の試乗ドライヴの目的地は熱海で、MOA美術館でタイミング良く展示されている尾形光琳の紅白梅図屏風を見て、昼ご飯は「寿司処美旨」で食べようというプランである。

東名から厚木小田原道路、できればターンパイクを抜けて熱海に入る予定である。

スパイダーだから当然オープンで乗るのが正しい姿である。

昨日は雪が降り、今朝は僅かに雪の残る寒気の中、私達はオープンで出発した。

用賀インターに行く前に、まず、友人のイエスジョージ氏のお店のある赤坂見附、紀尾井町に向かった。

今回、「美旨」の予約で世話になった礼を言う為を表向きの理由に、本音は自慢がてら車を見せに行き、写真を撮ってもらおうという僕の魂胆なのであった。

外苑から東宮御所、赤坂離宮というお気に入りのコースを走り、途中で浴びせられる視線を“オヤジ二人で悪かったな”と、軽くいなしつつ、まずは20分足らずのドライヴであった。

Y氏の話によると、夫人と一緒に乗っていると、遭遇する車のドライバーは必ず、同乗者をチェックし、“なーんだ,ババアか”と言うそうである。

聞こえないまでも唇がそう言っていると夫人は怒り、最近は同乗を拒否されるとのこと。

「Y氏夫人よ!男とはそんな程度の生物です。」いい車の隣は、若いいい女という呪縛から抜け切れず、車で負け、女でも負けるという二重の敗北感を日頃味わうので、若くはない女性が助手席にいるとホットして溜飲が下がるのでしょうね、きっと。

彼らは、いつもは“あれは車がいいから、いい女もついてくるんだ”、といって自らを慰めている、どっちにしてもカイショウのない、女の価値を年齢と美貌でしか量れない発達途上のSTAP細胞レベルの男達ですよ。

幼稚なのは男です。

再び、「Y氏夫人よ!また、堂々と、マクラーレンの助手席にお乗りください。」

そして羨望の視線を投げかける男たちに、“あなたも男なら、こんな車に女房とお乗りになったらいかがです?”と語りかけたらいかがでしょう。

そう唇の動きだけで。

首都高・霞が関から東名へ向かった。風は思いの外、巻込まず、足元のエアコンの暖気もよく効き、寒くはない。

これはオープンカ一般にいえることであるが、オープンは見かけより、実際は寒くはない。

僕がかつて持っていたオールドファッションのモーガンでさえ、そうであった。

要は炬燵に入りながら走るようなもので、風さえ来なければ平気なのだ。

おまけに12PC Spiderは、シートの背中にリトラクタブルリアガラスがついており、これをあげることで、風の巻き込みがぐっと減る仕掛けとなっており、全く問題はない。

たとえ雪、雨が急に降ってきても、ハードトップルーフがあっと言う間に、(信号の待ち時間内に)装着できる。もちろん全自動であり、高速でなければ走行中でも開閉出来る。

クローズしクーペ風

クーペスタイルも美しい

 

平日ということもあり、東名、厚木小田原道路は渋滞もなく、何の問題もなく小田原、早川に着いた。

それにしても625馬力ツインターボは凄まじい。背面に何GかわからないがGを強烈に感じ、ニュートン力学を実体験したのでした。なんせ最高速度は329km/h、 0-100km/hは3.1秒であるよ。

ターンパイク入り口辺りの山を見ると、箱根は前日の雪が,僅かだがまだ一面に残っており、ここは大事を取ってターンパイクは断念して、ビーチラインで熱海に向うことにした。

空は快晴で、海も抜けるように青く、マクラーレンサウンドも耳に心地よく、今までに、ビーチラインをこれほど快適に走ったことはなかった。

途中で、私達のお気に入りのヴィラ・デル・ソルの下を通ったが、あのスープ・ド・ポアソンは健在であるか気になった。

‘星のリゾート’に経営が移ってから、平日のランチの営業は休業になったと聞くと、少し気になる人も少なくないと思う。

スープの味が変わり、最近シェフが変わったのではないかというのが、Y氏の意見であったが、、、心配ではある。

昼食の予約時間45分前に熱海に着いたので、先にMOAに行くことにした。市街からMOAへの道路は狭く、急峻で急カーブが多いと3重苦であるが、Y氏のFuji Speed Wayで鍛えた卓越した運転技術と12PC Spiderの性能の高さで難なくMOAの駐車場に到着した。

12PC Spiderは油圧で車高が50mmほど上げ下げ出来、前輪からのオーバーハングの短い設計も相まって、坂の変曲点でのフロントの当りは、フェラーリほど気にしなくて良いのである。

車高は50?上がります。

熱海の気温は、やはり数度は暖かい、あちこちに見える梅も、今を見頃に咲いていて、熱海に来たことを実感した。

MOAでは、光琳の紅白梅図屏風だけを一直線に駆け抜けて見て、

紅白梅図屏風

すぐに鮨屋に直行した。

それでも少々遅刻になったが、主人は自分のガレージを空けて待っていてくれた。

「美旨」は、知る人ぞ知る全国区の鮨屋の名店で、僕は20年ほど?前に、雑誌「四季の味」の森須滋郎氏の紹介記事で知った。

僕は10年ぶりの再訪であったが、変わることなく居心地のいい店であった。

料理はおまかせで、僕はビールと日本酒三千盛を温燗で1本、Y氏はノンアルコールビールと我慢して頂いた。

おつまみで、数種の刺身の他、鮑の酒蒸し風、キンキの焼き物、フグのアラのチリ鍋仕立てなどが出され、あとは握りであった。

僕は脂ののり具合のいいキンキの焼きものと、握りでは、炙り加減の良いサイ巻海老、肉厚の太刀魚が、とくに美味しく感じた。

満腹になり、再訪を約束して、帰途に就いた。

Y氏はシャリの具合が今一つか、との感想であったが、それには僕も同感であった。

それに今回は少し expensiveであったような気がした。マクラーレンで行ったせいかもしれないなあ。

帰りに小田原の名物のウイロウ屋(お菓子の)に寄ったが休業日で空振りであった。

車はそんなことは気にせず、あくまでも忠実な下部の様にひたすら快調に飛ばした。

4号線の渋谷のジャンクションの螺旋では、横Gが2くらいかかるグリップの良さを見せつけてくれた。

時々強いトルクで後輪がスライドするが、電子制御で難なく回復する。

マクラーレンと言う名車、スーパーカーの素晴らしさを体感した一日になったが、自動車と言う近代技術産業のマクロな将来を思うと、こんなにも完成された、素晴らしいガソリン車の明日はどうなるのかと少々、寂しい気持ちにもなった。

マクラーレンは、僕にとっては、どんな観点からも“雲上車”であるけど、買える力のある人は躊躇せず買うべきであると思う。

本当に好きで、欲しいと思うものを、自分のお金で買うのに、何の気兼ねも遠慮もいらないし、12PC Spiderはそれだけの価値、CPがあると思う。

大体、昨今の、浪費を避ける‘サトリ世代’の若者の縮こまり精神が、不景気の元なのだ。

それを思うと、やはり我らが三河のオヤジは、男らしい。

そう言うお前はどうなんだ?と言われれば、こう答えるしかない。

‐気持ちはあるが、単に、見合う力が無いだけなのだよ、と。

「いつかはクラウン」、そんなキャッチコピーが年金生活者の今の僕には身近である。

運転席でオーナーのふり

 

それに、郷土の誉れ、トヨタの始祖、豊田佐吉翁の辞世の言葉が好きである。

『障子を開けてみよ、外は広いぞ』

これは、我が息子へ、そして若いfollowerの皆さんへ,なかんずく若い形成外科医の諸君に捧げたいと思う。

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