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群馬向山温泉“尚文”に泊まる

温泉好きで旅館情報にアンテナを張っている方ならご存知と思いますが、“自遊人”という旅館の覆面ルポを得意にしている情報雑誌があります。

20年ほど前に美術系の学生が起業し、雑誌“自遊人”を発行するようになり、旅館の食材にこだわり始めるうちに、いいコメを探して販売する事業も始め、本社を東京から新潟の南魚沼市に移転したことで昨年ちょっと話題になった雑誌です。

その雑誌の2003年1月号に載っていた群馬県水上温泉から、少し奥に入った谷川岳のふもと近くにある向山温泉“尚文”という温泉旅館に1月の成人の日の連休に行ってきました。

入り口門

高崎からなら1時間弱という近さです。

説明によれば、野菜の生産者にもこだわるなど、食材を吟味した料理を出す家族経営の小さな宿とのことで、やぼったいが、変にこだわりを押し付けてくるうっとおしさが気になるかもと警戒しながらの訪問でしたが、意外に接遇はスマートでなかなか良い印象でした。

やぼったさはしっかりありはしましたが、それはそれで半端に洗練さを気取るより心地の良いものでした。

往き道の道路標識には三国峠00kmとありましたから、あの‘トンネルを越えると雪国だった’の雪の無い側なんだろうけど、温泉には積雪は1m位は楽にありましたよ。

予想したより近くて、チェックインの時間前に着いてしまったので、近場の名所を尋ね、藤原湖ダムを見物に行きました。

藤原湖ダム

藤原湖

冬のダムというのも、コンクリートに雪だけという荒涼とした景色でなかなかの迫力があるものですね。

尚文は、入り口の造りからして手作り感のする建物で、お迎えの仕方も営業色がなく、本の通りの印象でした。

温泉はアルカリ性単純泉で無味無臭で疲れないお湯でした。

温泉効能

お風呂は3か所で、すべて貸切制ですが、客室数が少ないせいか、どこかが空いており、入りたい時に入れなかったといいうことはありませんでした。

露天から見た景色

部屋にも露天風呂がついていましたが、いつものように使いませんでした。

部屋の露天風呂

お風呂に行く時には、昔の買い物籠のような竹籠にタオルを入れて持っていくシステムになっており、ちょうど私達が蓼科にいる時は大きな買い物かごに入浴セットを入れいつも車に積んでいるのと同じような趣向で、気遣いに感心しました。

お風呂用籠

部屋のテラス

湯船には30?四方の木片がいくつも浮かんでおり、それをかき分けてお湯に入る形になり、なぜそうなっているかは不明で、板に乗ってもうまく浮かばなかったので、多分湯が冷めるのを防ぐ工夫ではないかと勝手に推察しておきました。

当日は雪がしんしんと降り、目前の大木の枝が見る見る白くなり、湯船から日本画を愛でるような幸運にも恵まれました。

風呂上りは、自慢の水と利き酒がフリードリンクになっており、酒好きにはお得な気分で嬉しいのではないでしょうか。

食事は部屋食ではなく、厨房の近くに各部屋用の個室が用意されており、少ない人数で、タイミングよく料理をサービスするための工夫なんだろうと思いました。

さて肝心の料理ですが、野菜が主体の健康料理で、アンチョビの代わりに岩魚を使ったバーニャカウダも、野菜がいいだけに尚文ならではの一品になっていました。

夕食メニュー

本日の野菜の説明書き

バーニャカウダ

焼き野菜

シイタケ

群馬のお肉を焼く

岩魚の焼いたの

炊き込みご飯

 

どの料理も作り手の気持ちが伝わってくるようなメッセージ性のあるもので、次の皿を期待して待つ気にさせる満足感のある夕食でした。

ご飯もお米に拘った、自遊人が推薦するだけの内容でした。

部屋には布団が敷きっぱなしで、呼ばない限りは誰も来ないスタイルをとっており、昼寝をしたり、本を読んだり気ままに過ごすにはうってつけでした。

朝の帰る際には、車に積もった雪や、窓の凍った雪を払ってくれ、道路まで誘導してくれるなど、正月に行った大丸温泉では自分で窓の凍った雪落しに苦労したのと大違いで、その気遣いの完結さにすっかり感心しました。

今回は直前に決めたため、露天ぶろ付きの広い部屋しか空いておらず、料金も一流でしたが、廉価な部屋が取れるなら、春の新緑か、蛍が庭に舞う季節に再訪してもいいなというのが私達の“尚文”の評価でした。

なんと言っても最後の車へのサービスは印象深いものでした。

 

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