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谷川温泉ーみなかみ山荘

ゴールデンウィークのしょっぱなの連休に群馬みなかみ温泉郷の一つ、谷川温泉に行って来ました。名前の通り、谷川岳のふもとに位置する山間の鄙びた温泉地である。

各々個性的な旅館が5軒ほどあるらしいが、今回は水上山荘に泊まった。

水上山荘

『正真正銘五つ星源泉宿66』(小森威典著,祥伝社刊)で、べた褒めであったから、それを信じて行ったわけである。

関越道水上インターを下りて、10分ほどで着くが、国道291号線から外れて、山間に入っていくので、水上温泉の温泉街特有の猥雑さとは無縁のいかにも日本の田舎、里山に来たなあといった風情で心休まるものがある。

山里はまだ春半ばで、桜もタンポポもそこかしこに咲いていた。

山里はまだ春半ば

春も盛り

 

宿にはチェックイン時間より1時間近く早く着いてしまったが、主人は玄関先まで駆け寄り、車を受け取ってくれ、当然のように投宿させてくれた。なんせ高崎からくると1時間しかかからないので、12時出発では早すぎたのである。

先の法師温泉とは大違いの接客で、安堵し、期待も高まったのである。

ロビーに入ると正面の大きな窓越しに谷側岳の威容が目の前を圧倒する。

まだ雪を冠ったマナイタ倉の岩峰は、学生時代に夢見た別世界が、今、眼前にあるかのようであった。

ロビーからの絶景

部屋から見た谷川岳


肝心の温泉は、古代ヒノキの見事な湯船で、お湯は日本一と誇る泉質の単純泉で、湯量も豊富で露天とも24時間の堂々の豪快かけ流しである。

古代ヒノキのお風呂

露天風呂


実際、長湯しても疲れのこない、多分今まで経験した温泉の中で一番優しいお湯ではないかと思ったほどである。これは家人も同意見であった。また、ゴールデンウィークというのに一度も他の客人と顔合わせをしなかったという宿の小体さもいい。

食事は、これまでの群馬の温泉旅館の経験から期待はしなかったが、とんでもない考え違いであった。

期待を裏切って、素晴しく良かった。というか、見事な料理であったと言った方が正確であろう。

どうしてそのような料理人が、山合いの有名でも高級でもない旅館にいるのか信じられないことであった。

夕食の先付け

ヒラメの薄作りーオイルもついた


サービスも心配りが行き届いており、高崎や前橋の食の関係者は水上山荘に一度研修に来たほうが良いのではないかと心底思うほどでしたよ。ハウスワインも良かった。

旅館の主人はきっと只者ではなかろうと睨んだが、大きな池に大きな鯉が沢山泳いでおり、その中に怪しい魚影を見つけ、尋ねると何とチョウザメであった。

体調は1メートル以上はあり、この地でキャビアが供される日も遠くはないかもしれないと奇妙な感慨であった。

チョウザメもいた


山荘の目と鼻の先に、2つの文化的な施設があったのも以外であり、楽しい発見でもあった。

一つは廣池千九朗記念館で、モラロロジーという道徳学を拓き、教育、平和運動に業績を残し、今には広池学園となり、隣に立派なそのセミナーハウスがあった。

廣池千九郎記念館


もう一つは、あの天ぷら屋の銀座天一の創業者のコレクションからなる天一美術館で、美術、建築愛好家の方はつとにご存知のことかとは思いますが、岸田劉生の正面麗子像を擁し、吉村順三の最後の設計となる建築で有名で、多くの見学者が足を運ぶそうです。

天一美術館


恥ずかしながら、小生はその存在すら知らなくて、たまたま偶然立寄ったわけですが、美術品の質の高さもすごいが、吉村順三好きの僕は美術館の建物の素晴らしさにも息をのんでしまった。

こんな別荘を持つのが昔からの夢であったが、それはとうとう夢のままで終わりそうだが、天一美術館という、

あくまでも静寂で、のどかな山村の地で、眼前に谷川岳を抱きながら、、かくも素敵な建築があり、そこでは日本の美術史を代表する作品を人々に鑑賞させているという存在を知りえただけで、自分の夢があたかも実現で来たかのように思われ、十分満ち足りた感激に浸ることが出来ました。

谷川温泉水上山荘の温泉旅行は、思いもかけず、発見と感動の旅行になりました。

群馬に来て早3年になりますが、今回がこの地での最良の休日、温泉旅行になったようです。

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