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都内散歩?根津から明治神宮界隈

 今年の不純な天候の合間に、5月らしいさわやかな土曜日があったので、早速、ご飯を炊いて、おにぎりを作って、都内散歩に出かけた。
5月恒例の「光琳のカキツバタ図」を見ることにし、まずは南青山の根津美術館へ。さすがに美術館は混んでいたが、庭はそうでもなく、ゆっくり散策が出来た。最近は、もう常設館は見ないし、カキツバタ図も数えきれないほどに見ているので、目的は庭である。

根津美術館

根津美術館

有名なアプローチ

有名なアプローチ

入り口の舟石

入り口の舟石

企画パンフレット

企画パンフレット


 僕の学生時代は、根津美術館の入り口は骨董通り沿いにあり、庭の外周を歩いて行くと、美術館があるという感じであったような気がする。今も残っている木の大きな山門のような門が入り口であった。

庭園外周の道

庭園外周の道


もっともその頃、先代の美術館すらあったかどうか記憶ははっきりしない。
 で、つい先日買った「東京建築マップ」で調べようと思って探したら、もうその本が見つからない。こういう事態に、最近はもう驚かなくなったが、歳をとると言うことは、何かと面倒ではある。

 とにかく当時は、お金を払った記憶はないから、入園は無料であったようだ。
多分、先代の建物が出来た時に、入り口が今のところに変わり、有料になったようだが、庭だけなら自由に入れた。今のように庭も有料ゾーンになったのは今の隈研吾の建物になってからである。

 有料は仕方ないこととは思うが、昔を知るものにとっては別天地をなくした思いではある。都心も超一等地に、あれだけの広い庭があり、自由に入れて昼寝が出来たのである。

 それに庭の趣味もすこぶる良い。中央アジアの仏教美術のような造形物が、あちこちに置いてあるが、庭は京都の寺院ほどデザイン性が強くなく、東京の大名屋敷の庭のようにいかにもというような力が入ったものでもなく、自然をそのまま残したような、手が入り過ぎず、手を抜きすぎず、いいバランスが保たれている。

新緑でした。

新緑でした。

庭の置物

庭の置物

庭の仏像

庭の仏像


 この庭で見つけた、朝鮮の石造物、人柱の印象が強く、後日あちこち探して求め、今は蓼科の私の山荘の門になっている

当日は庭のカキツバタも満開であった。

カキツバタ遠景

カキツバタ遠景

カキツバタ近景

カキツバタ近景

 カキツバタといえば、伊勢物語の中で、在原業平が都落ちの際、三河の国八つ橋に群生していたカキツバタを見て望郷の念に駆られ歌を詠み(ら衣 つつ慣れにし ましあれば るばる来ぬる びをしぞ思う)、涙するという場面で有名になった花であるが、光琳のカキツバタは、それをモチーフにしているという。
「三河の国、八つ橋」という地名は、実は私の生まれ故郷のすぐ近くの愛知県知立市にあり、私が名古屋の大学病院で研修医をしている頃は、自宅からの通勤途中にあり、今頃になると、明けやらぬ早朝か深夜によく寄ったものだ。僕は貴族の都落ちではなかったから、それを見ても悲しくはなかったし、知立名物の「大餡巻き」くらいしか今は思い出さない。

 おにぎりを根津の庭で食べようと思ったのだが、さすがに家人にたしなめられ、明治神宮に移動することにした。

 明治神宮も学生時代からのお気に入りの場所で、学校をさぼっては良く来たところである。なんせキャンパスのあった信濃町から近いのである。

 当時の原宿は、まだ辺鄙といっても良いくらいのところで、多分東京オリンピックを契機にようやくお店が出来始めたところであったのではないかと思われる。(私はオリンピックの翌年に入学し上京した。)
 「銀座ステーキのスエヒロ」がその頃は高級店として営業しており、交差点角には、「八角館」と言う焼肉屋があったが、今は大きなモニターのついたビルになっている。
 今の千疋屋の地下に「青葉」という天ぷら屋があり、僕が天ぷらの開眼をしたのもそこである。
 「オリンピック」という今もある日本初の超高級マンションは、近寄りがたくそびえていた。その地下に「重よし」という、割烹料理屋があったが、今も食通の店として名を成している。今のNHKの辺りは、まだ造成もされず、赤土の空き地であった。

 すべてが、もう半世紀近く前の事である。

 つまり、それだけ明治神宮界隈には通ったということになる。明治神宮は明治天皇が亡くなってから造成された人工林というから、今の神宮の森の1/3の歴史は知っている計算になる

 明治神宮の代々木口の方にだだっ広い芝生の庭に大きな木が生えているところを御存知だろうか。「この木どこの木」の日立のコマーシャルに出た木に負けないような大きな木が何本もある。
 若い頃、登って警備員に叱られたことがあった。

 寝転んで空や雲を見るのがとてもいい。
 今は、代々木のエンパイヤ―ビルが見えて都会的な風景になった。

 世田谷区立砧公園にも同じようなところがあるが、そこも好きだ。
 あそこは元ゴルフ場だそうで、道理でグリーンが広がっているわけである。

 この広場と、清正の井戸があり、菖蒲園と蓮の花がきれいな池のある一画(有料であるが、)が、明治神宮の特にお気に入りの場所である。

 今回はそのいずれにも行かず、第3駐車場どまりで終わった。
そこで念願のおにぎりを食べ、満足して帰ったのである。

明治神宮駐車場に停めて

明治神宮駐車場に停めて

おにぎりを食べる

おにぎりを食べる

 なお、明治神宮は原宿から代々木へ抜ける、最短の近道、抜け道になることを御存じでしょうか。原宿側の入り口で「参拝です。」と言って、駐車カードを受け取り、代々木口で渡して出ればよいのである。もちろん逆も可です。
 但しタクシーでは、それは出来ないのが残念。

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