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蕎麦屋しもさか

私の蕎麦屋べスト5に入る蓼科プール平上にある『しもさか』の紹介です。
車の雑誌「NAVI」の中に、フェラーリをそばの実の色(鶯色?)に塗り替えるほどの蕎麦好なエンスージアストが、全国の蕎麦屋をめぐってルポを書くコーナーがあって、その中で紹介されていて、苦労して探しあてて行ったのが始まりです。

蕎麦屋しもさか入口

当時は地面から10?位の所に30×10?くらいの看板(イヤあれは単なる標識だろう)しか出ていなく、ビーナスラインを何度も往復してようやく見つけました。

渓流のそばにあります

水が、一年中滔々と流れるせせらぎの傍にひっそりと建つ民家風の建物で、椅子のテーブルが3つと、和室に座るテーブルが2つ、テラスに1つと言う、小体な構えです。

蕎麦はざる蕎麦、蕎麦がき、お汁粉、のみという潔さです。酒はビールと日本酒ですが、おつまみ(アテ)となるようなものはありません。

主人から直接聞いた訳ではないので、確かではありませんが、見るからに脱サラ組の様です。
脱サラ組は汁物や小料理を出すと、大抵、期待を裏切りますので良い選択かと思います。

その点しっかり修行してきた正当蕎麦屋は卵焼きや天麩羅等が美味くて(特に白金の三合庵は、原宿の日本料理の名店、茂よしで習ってきただけに秀逸です。)、
飲むには嬉しいが、今日のように飲酒運転が悪魔の所作のように言われるのでは、実際には蕎麦やで飲む機会は随分と減りましたので、しもさかに左程の不満はありません。

確かに揚げたての芝エビのかき揚げがジューと音のする天ぷらそばも捨てがたいものではありますが(これは島田の藪宮本と柏の竹やぶがお勧めです。)箱根の方はちょっと、、。

ざる蕎麦並盛

蕎麦汁粉

さて、今回食べたのは、ざる蕎麦並盛とお汁粉で、いつもと同じ定番です。(昔はビール小瓶くらいは飲んでいましたが。)
蕎麦粉のウンチクは語れませんが、十割蕎麦で、太めで色の濃い野性的(更科系ではない田舎風の)なのが特徴です。
つゆはやや甘め、こくにやや欠けるのが限界。
蕎麦の出来に変動があり、ひどい時は5?位にぶち切れ状態でしたが、今は安定して繋がってきました。
亭主が一人で全部こなすので、少々待ちますが、苦になるほどではありません。
蕎麦掻きはふんわりと柔らかい仕上りで、お汁粉との相性も抜群です。
連れ合いは好んでこちらを食します。

蕎麦が切れると、打ち直しますが、その技を見ながら待つのもいいのですが、僕にはそれだけの忍耐力はありませんので、出直すことにしています。[シーズンは14時までに入るがよろしい。開店は11:30]

言い忘れない内に言いますが、値段は決して安くはありません。
二人でざる、蕎麦がき、汁粉のうち二品づつ頼むと5000円ではあがりません。
雪の深いリゾート地では、稼げる日は限られるから無理もないと、私には珍しく寛容な理解を示しております。
それでもコストパフォーマンスは悪くないと思っています。

雑誌NAVIの話に戻りますが、かつての車雑誌は車のメカ好きに内容を合わせてスペックなど車両に限定した話題しか載せませんでしたが(カーグラフィックやモーターファン、ゲンロクのように)、NAVIの編集長が鈴木某氏に変わると、エディターズエディッションでは社会や政治についての斜め方向からの論評があり、またページの半分位が服、時計などのファッション系の内容になり、新しいちょっとレベルの高いライフスタイル雑誌に変貌しました。

出版社の二玄社の方針で読者のターゲットを変えたのだろうと思いますが、これは思惑通りに当り、部数を延ばしたと思われます。
私も網にかかった一人で毎号必ず読んでいました。

ところが、あろうことか鈴木編集長が新潮社に移りENGINEというライバル誌を発刊したのです。

NAVIはしばらくして廃刊になりました。
事情は知りませんが、ちょっと違和感がありましたね。

今度は幻冬舎の例の凄腕社長の所に移るのでは、と要らぬ心配をしております。

鈴木氏とは学生時代に面識があり(同学で学部は違いましたが)、その後クラッシックカーのレース、ミッレミリアでも一緒になりました。
学生時代と変わらないのは、ちょっと奇抜なファッションと、ガリ切りで磨いた文章力で、社会を見る洞察力は並の編集者以上のものがあり、改めて有能な人と認識しました。

そう言えば,恵比寿の蕎麦屋「翁」(ここの蕎麦会席はやり過ぎ、高過ぎ)で、坂本龍一やユーミンの旦那様、松任谷氏と一緒の所を見かけた事があります。

同じ臭いがする者同士は群れるのでしょうか。(もちろん出版社の一席のようでしたが。)

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