私の週4泊4日の高崎生活は、基本的に外食はせず、いわゆる自炊生活である。毎日のことであるから、そんなに手の込んだことは出来ない。
最も簡単にできるものの一つは、ステーキである。だから日頃ステーキ肉はストックがある。
大体和牛のイチボ肉を1Kg前後買い、150g位に切り分け冷凍しておく。
私はロースより断然イチボ派である。
若い頃はともかく、もうここ20年位はサシの
一杯入ったサーロインはステーキではまず食べない。
ただ、問題なのはイチボの良いものが手に入れにくいという事である。
もちろん高崎では無理である。
所詮、肉屋がイチボを知らないレベルだから。(イチボは腿より上部の臀部に当たるところで、もも肉よりは少し脂肪があり柔らかいが、歯ごたえがあり、肉に味わいが濃い。食感は昨今流行の短角牛や北里牛の赤身肉、米国アンガス牛の上物に近いかも。)
昔、世田谷に住んでいた頃、近所の商店街の肉屋の親父に言われたものである。
「旦那、旨いもん食いたけりゃ、肉屋の親父と仲良くならなきゃだめだよ」って。
よくAの何級とかいうランク付けとか、高級スーパーでグラム何千円とかで
評価し、お金さえ出せば美味い肉が手に入ると考える人が多いが、基本的に大間違いではないにしろ、食の世界は、買うにしろ、食べに行くにしろ、美味い物を食べるのに最も大事なのは人脈なのである。
そこを理解しないで、値段で味が決まると思う人達はまだ食の道楽の
入口にも立っていないというべきであろう。
個人的に不運だったのは、最初に仲良しになった肉屋の親父は数年で
ガンで亡くなり、二人目は市場の閉鎖で移転してしまった。
現在の3代目は東麻布の有名ハム屋のスーパーの副支配人兼、
精肉部の部長で、業界では肉通で知られた人である。
彼がくれるイチボは物もいいが値段も安い。
焼肉用のザブトン、ミスジもありますよ。
ここは場所柄外人が多く、肉は安い輸入ものしか買わないし、
味覚音痴でつまらないそうである。
ちょっと前の話だが、投資証券系の人とか、中華系の人達はホームパーティ用にグラム数万の肉を百万単位で買って行ったそうである。(これは新宿伊勢丹地下食に出店している系列店の話だが、と言って(あざ)笑ってましたよ。)
サテ、N風ステーキの作り方を御紹介します。
これは最初の重要ポイント?です。
まず、肉は解凍して、室温に戻しておきます。
包丁を立てて肉の筋を切り、
焼く直前に塩コショウを多めにします。
フライパンにサラダオイルを多めに入れ、ニンニクスライスを入れてから
火を付け弱火でこんがり色が付いたら取り出します。
次に肉を入れ、中火中?強で片面をしっかり焼きます。
焼くというより、揚げる感覚に近いと思って下さい。
肉の厚みにもよりますが、5、6分でしょうか。返して同じように焼きます。昔は表裏、7:3位の火入れとか言っていましたが、5:5で構いません。
慣れないうちは、肉の中心に金串を刺し、唇の下に当て温みがあれば
オーケーです。
この後が重要ポイント?で、アルミホイールの上にキッチンペーパーを
置き、それで肉を包みむらします。
時間は最低でも5、6分、辛抱強く10分以上は我慢しましょう。
この間にサラダでも作るのが、間がもてていいでしょう。
要はローストビーフと同じで、余熱を利用して内部に火を入れるというわけです。
肉は最低でも1.0?1.5cm位の厚みが欲しいですね。
薄いと火が通り過ぎて焼き過ぎになる事が多いです。
慣れないうちは中央を試し切りして、万が一レア過ぎたら、再度アルミで
包んで待ちます。
少々筋肉色が強くても、切って少し経つとヘモグロビンが酸化してロゼ色に変わってきますので心配いりません。
にんにくスライスを添えて食べます。
ソースは作りません。
下味の塩コショウとマスタードで十分かと思いますが、もの足りない場合は、お好みですが、大根おろしに醤油がお勧めです。
どうしてもソースと言われるなら、油を落としたフライパンに、赤ワイン、
味醂、醤油、バター、バルサミコを入れ煮詰めて作ります。
もちろん、肉食系の方はもっと大きい塊を焼いて、そのまま御自分でカットしながら食べるのも旨いものですが、私は健康に留意していつもは控えめです。
今夜は、勤務先群馬病院のパン工房の新製品、オレンジピール入り
ペイザンとグラスワインと伴に。
どんなに上手く焼けたとしても、一人飯はわびしいもので、
二人飯や家族の団らんご飯には絶対にかないません。
一人ごはんで同じ思いの方、いつでも御馳走しますよ。