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PRISMAー敬愛する料理人斎藤智史氏夫妻の至高のリストランテ

修善寺のあさば以来久しぶりにY氏夫妻と食事をすることになり、互いになじみの青山PRISMAプリズマに行ったので、プリズマのご紹介をしようと思います。

プリズマファンは多分広尾にあったぺルゴラ時代からの方が多いかと思いますが、ここは限られたリピーターで持っているようなお店で、あまり派手にメディアには出てこないし、場所も探していくような所にあって、ミシュランの星好きのような方はあまり来られないようです。

場所は根津美術館から骨董通りに向って歩いて数分、フェラーリとイタリアモダン家具のB&Bの間の階段を下りていくと、テラスが付いた大きなガラス窓で囲まれたスペースのお店がまさにひっそりと佇んでいます。

入り口

左に回り込むと入り口があり、ドアの取っ手にささやかにPRISMAとお店の名前が刻印されてあります。

プリスマ入り口ドア

この辺りは新しい中華料理スタイルを創ったダイニーズテーブル、ジャズライブのブルーノートやジルサンダーの旗艦店が以前からあり、ある種の人種にはなじみ深い場所ですが、最近になってフェラーリやB&Bが出来たりしてイタリアの高級ブランド通りの体をなし、根津美術館も新しくなったことで、すっかりハイセンスな、いい感じ通りになりました。

かつては、岡本太郎美術館の隣に創作家具、インテリア小物、アジアン家具の元祖のイデーの本店がありましたが、数年前に移転して行きました。どこかに書きましたがイデーは商売がスマートではなかったので、個人的にはすっきりした思いです。

プリズマは表通りからは外れていますが、立地的にはお店によく合ったセンスのいいところに来て良かったと思っています。

ため息の出るような車や家具を横目に見ながら食事に行くのも悪いものではありませんから。

さてリストランテの紹介ですから、料理の話になるところですが、料理をどんなに言葉で表現し、褒めたところで結局のところは食べてみるにしくは無しなので、ここでは、私の体験した、いくつかのプリスマにまつわるエピソードをご紹介して、そこからプリスマの料理の真髄を想像して頂きたいと思います。

広尾にあったぺルゴラからこちらに移る時は発展的展開であった訳ですから、普通はお店を大きくしてそれ以上にテーブル数を増やすのが当たり前に考えるところですが、オーナーシェフの斎藤氏は、確かにお店の総面積は3,4倍位にはなり厨房スペースはさらに大きくなりましたが、なんとテーブル数、席数ともに減らしたのです。

自分が自信をも持って料理を供せる人数にこだわったのです。

お蔭で他店では経験できないような、ゆったりとしたテーブル間隔でプライバシーに臆することなく食事を楽しめます。

余裕の配置、奥がキッチン

彼がしたかったのは、料理の質にこだわり、席数を減らし、その分料金を上げてもやっていけるかの挑戦だったのです。

斎藤氏は元来、車が好きでマセラッティが欲しくて欲しくて仕方なかったんですが、お店が軌道に乗って、ようやくマダムのお許しが出て、移転直前には、Y氏と一緒にあちこち物色し歩いていたらしいのですが、新しいお店の厨房システムが予算オーバーしそうになると、きっぱり車をあきらめて厨房を優先させたのでした。

車好きの心境から見るとかなり苦汁の選択であったろうと、気持ちがわかるだけに、料理に向かう彼の真摯な姿勢に感心しました。

これはある料理雑誌に出ていた話ですが、ふつう仏、伊系の料理人は魚介を築地から仕入れるにしろ、すし屋の後でいいや位に考えているそうですが、彼はすし屋に負けない魚介の質にこだわって毎日自ら早い時間に築地に買い出しに行くそうです。

客から見れば、その心意気が嬉しいではないですか。

プリズマは見事なまでにオープンキッチンになっており、誰が今何をしているかが一目瞭然です。

厨房

調理は基本的に斎藤氏が一人で全部作っていますが、今回訪ねたときは、弟子がいなく全くの一人で調理し、出来あがると、手前のカウンターでマダムが手伝いながら皿に盛りつけをし、それをすぐにマダムが客席に運ぶという手筈で流れていました。

斎藤シェフー修行僧のような顔つき

ぺルゴラ時代からそうでしたが、斎藤氏が厨房にいないという事態はあり得ませんでした。

ちょっと売れてくると、客席をうろうろして愛想を振りまいていたり、ひどいのになると遊ぶのに忙しく店に殆どは居ないなんて本来、料理人の資質に欠けるシェフはざらで、あるいは店舗数の拡大に走り、もとより料理人である自覚に欠けるオーナーシェフが多い中で、斎藤氏の求道的な一途さは気持ちの良いものです。

また食材へのこだわり、誇りも高く、例えば日本中のどこのリストランテを探しても白トリュフが置いてなかったとしても、プリズマに来れば必ずやアルバ産の白トリュフが賞味出来るでしょう。

必要なもの、客のためにあるべきものは妥協せず、どんなことをしても手に入れるという料理人としての矜持が見てとれます。

これらのエピソードからプリズマの料理の質の高さは自ずと想像つくとは思いますが、今回のメニューと料理の写真を載せますのでご覧ください。

まずはお出かけになってみてください。

それが一番です。

 

バッカラ・マンテカートとじゃがいものスフレ

ヤリイカと生うにのインサラータ

フランス産ホワイトアスパラのフォンドォータ

トマトのタリオリーニ

 

青首鴨のトルテッリーニインブロード

丹波篠山熟成牛のビステッカ

マダムの心遣いー家人の誕生日を覚えていて

最後のお茶菓子ーホホズキが名物です

ごちそうさま

シェフ夫妻と記念写真

かって修善寺あさばに一緒に旅行した時のもの

 

 

 

 

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