“ごちそう”という意味らしい、割烹らしくない名前が目を引いたので、数年前開店早々に出かけたことがあるが、今回は息子夫婦が私達夫婦の誕生会で招待してくれ2度目の訪問となりました。西麻布の交差点の利庵の前を渋谷方面に上がったところの入り口の分かりにくいところと思って出掛けたが、やはりわかりにくく少し迷った。
アプローチもインテリアもおよそ和食屋らしくないモダンなデザインになっており、今回は個室が予約されていたが、個室も木をうまくあしらった和モダンで、チープではなく、なかなか趣味が良い。それに今風を装っている割には従業員のマナーはきちんとした料理屋のようで、気持ちが良い応接であった。
前回の食事はあまり印象に残っていなかったが、改めて食べてレベルの高さに正直驚いた。何より仕事が丁寧である。料理は創作というだけあり、基本を踏まえた上で、一工夫してあり、それ以上に料理の名前が創造的?である。トンチをきかせて、考えながら料理を予想して待つという楽しみがサービスになっているのだが、心に余裕がないと楽しめないであろうから、そういう状況の客には来てほしくないというメッセージでもあるのだろう。面倒なら考えなければ良いだけであるが、やはり素直に相手の手に乗った方が料理も酒もおいしく楽しめるに違いない。
たとえば“29unきもマキ”とある。鮟肝を肉で巻いてあるのだが(逆だったかもしれない)、肝は一つという訳である。あとは料理の写真に名前を付けておきますので、考えて楽しんでください。
いずれも、名前の軽さとは違いしっかりとした一皿になっており、料理人の修行の成果が見て取れ、きっとそれなりのキャリアの方ではないかとうかがわれた。
よくある居酒屋に毛が生えたような、〇〇ダイニングの創作料理とは一線を画すものでしたよ。
今回は美味しかったばかりでなく、財布も傷まず誠に結構な晩餐になりました。
次は誰と来ようかなとヨコシマな考えを隠しつつ、しおらしく帰途についたのでした。