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白トリュフのタリオリーニープリズマの秋の一品

10月のある日、新歌舞伎座の杮落しの歌舞伎観劇の後、Y氏夫妻と半年ぶりにプリズマに行った。

今回の目的は一つ。

白トリュフのタリオリーニを食べることにあった。

白トリュフのタリオリーニ

プリズマの手打ちタリオリーニ(きしめんみたいな平たいパスタ)はトマトソースで、プロの評論家の選んだ、「日本一の皿」のパスタ部門に選ばれたことがあるほどの定評のあるもので、それがアルバ産の白トリュフソースとあれば、聞いただけでも味のほどが想像出来るかと思います。

なんだか、ご紹介するのが気が引けるような贅沢をした気分で恐縮です。

トリュフといえば、黒トリュフが一般的ですが、実は白トリュフの方がン10倍も価値があるらしい。特にアルバ産は特別で、松茸でいえば園部の丹波産のようなものと聞きます。

アルバ産のトリュフの箱

若かりし頃、1980年のことですが、留学中の思い出にと、パリのシャンゼリーゼ通りにあった当時の三ツ星レストラン、ラ・セールでトリュフのサラダを頼んだことがあった。

当時のことゆえ、それこそ冥途の土産にという位の意気込みで頼んだのが、私のトリュフの初体験でした。

レタスのような葉っぱの上にスライスした黒トリュフが散らばっていました。

美味くもなんともないな、というのが、その時の感想でした。

当時の日本は、経済が、まさに日の出の勢いで、サントノーレのルイヴィトン本店では、日本人がお店を占拠する有様だったので、(丁度今の銀座の中国人のようなものだったんでしょうか、)レストランでも、訳のわからないジャポネの若造がトリュフかよ、という風に思われたんでしょうね、きっと。

ちなみにお値段は、その時の料理の値段の半額を占め、ビックリしました。

そのあとのトリュフ体験は、1981年に西麻布に出来たばかりの、ひらまつ亭のフォアグラのキャベツ包みのトリュフソースになりますか。(いまだに、ひらまつの看板料理です。)

印象深いのは、乃木坂上のアモーレの前身、六本木星条旗通りにあったラ・ゴーラの数ミリはあろうかという分厚い黒トリュフのパスタの思い出でしょうか。

ラ:ゴーラはすべてが豪快でしたね。

ラゴーラでは、なぜだか、どこかの同業者かフードジャーナリストに間違われて特別扱いを受け、シェフからお土産にチーズのハーブオリーブオイル漬けなどを頂いたりしましたねえ。

所で、プリスマの白トリュフは、目の前で、マダムがスライサーで削り落としてくれるという演出つきですが、カビのついた高級なかつお節を削るように、薄く、あくまでも薄く、巧みにスライスしてくれるのです。

但し、その分、マダムの手の運動回数は多いのでありますが。

スライスしてかけてくれます。

薄く、あくまでも薄く。

 

もっとも、厚ければよい、というのも貧乏人の根性なんでしょうね、かつお節だって、経済効果だけで薄く削るわけではないでしょうから。

それに白トリュフの価格を知れば、無理もないと十分納得するものではありますが。

ともあれ香りの芳醇さは、これ以上のものはありませんね。

ちなみに、デザートも焼き栗のトリュフかけを頂きました。

デザートは焼き栗にトリュフをかけて。

 

はい、今年も白トリュフを頂ける幸運に恵まれて幸せでした。

斎藤シェフ、ごちそうさまでした。

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