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赤坂の洋食屋、東洋軒を初訪問ーエビフライの真髄は何か?

かつては宮内庁御用達であった三田の洋食屋、東洋軒が赤坂に復活したとニュースになった時は、むしろ青山一丁目のNARISAWAの成沢良浩シェフがプロデュースした店として驚きと共に伝えられた。

 東洋軒の名前は、明治、大正時代のかつての名門とはいえ、戦後生まれの小生が知る由もないが、ナリサワは有名すぎるシェフだから小生も小田原早川港に店があった時から知っているだけに関心があった。

 赤坂に仕事場を持って、より身近になったのだが、なかなか行く機会が無くようやく先日、観劇の後に早めの夕食で寄ってみた。

 場所は赤坂豊川稲荷の裏手にある赤坂Kタワーの一階にある。駐車場は地下の有料駐車場を使うが、お店の人が予約してくれるので、平置きが確保できた。エレベーターで昇って降りたところが入り口であった。
 お店は高い天井と茶系でカラーコーディネイトされたシックでスタイリッシュなインテリアであった。開店早々に入ったので他に客もいず、写真を自由に撮ることが出来た。

お店の空間

お店の空間

カトラリー

カトラリー

 メニュ―はアラカルトと2種類のプリフィクスメニューがあったので、お安い方の5800円のコースを選んだ。前菜2種とメインⅠ種を選んで、後は名物ブラックカレーかハヤシライスの2択となっており、それにデザートとお茶が数種類の中から選べた。  

 前菜は牡蠣フライとオニオングラタンスープにして、メインはメンチカツと海老フライとコロッケを頼んだ。それとカレーとハヤシライスを頼んだので、大方のお皿は網羅してしまったようなものであった。

カキフライ

カキフライ

オニオングラタンスープ

オニオングラタンスープ

メンチカツ

メンチカツ

フライ3種

フライ3種

ブラックカレー

ブラックカレー

デザート―モンブラン

デザート―モンブラン

コーヒーのプチガトー

コーヒーのプチガトー

 いずれも非常に美味しかった。とにかく丁寧に料理されているなあ、という印象であった。
 小生は愛知の出身なのでエビフライには一家言があります。エビフライは、デカければいいという名古屋の田舎者の発想を諸兄は予想をされるでしょうが、実は全く違うのですよ。
 愛知県と静岡県の境界にある浜名湖では知る人ぞ知る絶品のサイマキ海老が採れ、浜名湖の湖畔にある(あった?)寸座ビレッジというリゾートホテルではそれをエビフライにして供されたのですが、それが僕の人生のエビフライのスタンダードになっています。要するに、エビフライは海老の香りが命なのです。でかくとも冷凍ではエビフライになりません。
 香りの強い食材はいずれもフライにすると美味しいのは、松茸のフライをご存知の方にはよくお分かりの事と思います。
 東洋軒のエビフライは、パン粉も揚げ方も最高クラスでしたが、海老の香りとなると、愛知県人には今一つでした。
 しかし小生は東京での洋食の外食経験があまりないので正しい比較は来ませんが、東洋軒はグリル満点星のような庶民派ではないし、また、かつての斎藤元志郎氏の旬香亭やフリッツのように味にこだわり過ぎた押し付け感もなく、粛々とお皿が出され、淡々と食べた感じでした。ところが食べ終わると、言いようのない満足感で満たされたのです。それもノンアルコールビールでそれだけの気分にさせてくれたのだから、立派なものだと思います。

 ちなみに手元にあるグルメ評価本で東洋軒の評価を比較してみると、「東京いい店うまい店」では5つ星で最高の評価、「東京ミシュラン」ではビブグルマンでスプーンフォークが二つであった。「東京最高のレストラン」では4人の評者が王冠4ツを、1人が3ツと最高ランクの評価でした。
 3冊が揃って高い評価をすることはかなり珍しいので、東洋軒は本当に価値のあるレストランなのでしょう。その評価に、僕も別に異論はありませんし、又行きたいお店であることにも異論はありません。

 今は静岡に戻った旬香亭(現在は神田ポンチ軒、ごく最近は目白にステーキ屋旬香亭を開いたそうな。)の斎藤氏も、元は有名フレンチの出であるから、成沢氏との肌合いの違いが洋食にもよく出ていて面白い。両者のフライは甲乙つけがたいから、東洋軒も“とんかつ”を出してくれると、その違いが良く分かると思うし、フリッツの裏メニューにあった“ラーメン”まで行ってくれると、もっと良く分かるような気がするが、ナリサワにラーメン作らせたら一風堂からテロにあうかもしれないから、この話はやめておきましょう。

 

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