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すっぽん大市―京都で最高に贅沢な昼ごはん

 いつの頃からか、京都に行くと必ず一度は大市で昼ご飯を食べるようになった。

 良くは覚えていないが、若い頃読んだ映画評論家の故萩昌弘の「男のだいどこ」か俳優の故渡辺文雄の沢山のグルメ本の何かに載っていて、これは食べるしかないと決めたものの、時代はバブルに向かっていて、なかなか予約が取れず、しばらくお預け状態であったが、やがてバブルが終焉して、普通に予約が取れるようになったので、通うようになったのである。

 昼ごはんにしては随分値が張るのだが、晩御飯に食べるにはコース内容が余りにそっけないので、せっかく京都に来たからには夜はもっと色んなものが出る京割烹が優先してしまうから、たまのことだからと、こんな贅沢もいいだろうと昼ごはんに奮発してしまうのである

 ちなみに予約が取れないときは祇園の「いずう」の鯖寿司を食べに行くか、あるいは「平八」か「美云卯」のうどんすき、はたまた、「権兵衛」か「おかる」の狐うどんにします。

 今回は学会に合わせて行ったので、予定は一年前から分かっていたので、早めに予約して無事大市にありつくことが出来ました。

北野天満宮お守り

北野天満宮お守り

 予約時間の20分前には千本通りに着いてしまったので、時間つぶしに近くの北野天満宮に寄ってみた。
 修学旅行の中学生に交じって、頭がよくなりますようにと、石の牛の頭を撫ぜたり、帰りに「学業成就」のお守りを買うと、
「お兄さん、まだ勉強しはりますの?」と連れが呆れて言いました。
「はい、男は死ぬまで勉強どすがな」と訳の分からない京都弁?で返事をしておいた。

 大市は創業300年以上の老舗で、建物も京都でもひときわ旧く、ちょっと前までは上七軒の花街とともに西陣の旦那衆で賑わったそうである。また、すっぽん料理は、いかにも田舎者の成り上がり侍が好きそうでもあり、そのためか玄関口の天井も鴨居も低く、刀が振り回せないようになっているが、それでも鴨居には新選組の刀傷が残っている。

丸鍋

丸鍋

 何と言っても有名なのはすっぽん鍋に使う丸鍋で、信楽焼きの底の浅い平鍋で、今では亀甲鍋の名で売られているものであるが、丸鍋は、刀鍛冶のフイゴよろしく、コークスを燃やすクドに空気を送り2000度にもなる火にかけるので、さすがに一年は持たないそうで、年中窯元が焼いて補充するという。

すっぽん時雨れ煮

すっぽん時雨れ煮

スープ

スープ

 さて料理であるが、まずは突出しとして「すっぽんの時雨れ煮」が出され、ビールで一杯やっていると、丸鍋が運ばれてくる。鍋の底は未だ赤い状態である。まずはスープのみが供される。これを日本酒で割るのを薦められるが今回は遠慮しておいた。うま過ぎて1杯では終わらないし、数時間後には夜の席が待っているのでここで酔ってしまう訳にはいかなかったからである。

すっぽん

すっぽん

 次にすっぽんのぶつ切りが2,3度に分けて取分けられ、鍋は底ザライされ完全に無の状態になる。
 そこで、一旦鍋が下げられ、しばらくすると、又同じように丸鍋が運ばれてくる。
二度に分けて出されるのが大市の定石であるが、一人で来ても同じようにされるかは、一人では来たことはないし、聞かなかったので分からない。

雑炊

雑炊

雑炊

雑炊

 鍋が終わると、次が私にとっての本命の雑炊が運ばれてくる。雑炊は鍋とは別のスープで作られる。スープが程よく染み込んだ状態のお米の上に生卵が二個乗っている。客の目の前で卵をほぐし、かき混ぜて茶碗によそってくれる。

 一般に雑炊は、汁っ気を米にからめて、ほとんどとってしまう作り方と、汁の中に米が泳いでいるような作り方の2種類があるが、河豚やすっぽんのように旨味が濃く汁が澄んだ鍋ものでは、雑炊は断然前者の方が旨いと個人的には信じている。

 これほど美味いのなら、雑炊のお代りを言う客もいるだろう、と尋ねてみると、それは可であるとのことであった。無論丸鍋の追加注文もありである。
 しかし、たったこれだけのコースでありながら、通常は満腹感も満足感も十分なのである。

アンコール

アンコール

 あとは果物が出てお終いである。今回はアンコールという柑橘であったが、
果肉は味が濃くて美味いのだが、種が多く女性が品よく食べるのは難しそうで、さすがの振る舞いの美しさを誇る京女も、やや勝手が違うように見受けられたのである。

坪庭

坪庭

 最後に一緒に行った連れの紹介をしておきます。そうでないと、誤解が元で家庭の平穏が乱れても困ります。

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 連れは、最近現役を引退した宮川町の元売れっ子の芸妓,年00さんです。以前のブログ(CASA=AF2012.7.7.)で嵐山の鵜飼や貴船の川床でも一緒にいましたおねえさんで,小生の花街唯一の知り合いです。
 かつては、京踊りでセンター?をとっていたほど島田髷の似合う京女です。ご紹介はここまで、以上です。

その夜は現役の宮川町の綺麗どころとご一緒しました。それはまた続編で。

 

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