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同伴でも行ける美味しい、まともなイタリアンーAWキッチン丸の内店

お盆休みに、家庭の事情で、一人飯の日が続いたので、珍しく同伴出勤というものをしてみた。
小生が通うお店だから、銀座とは言え、高級店ではなく庶民派の代表的なお店なので、同伴出勤時間は7時20分までにと早い。7時に食べ終わることが出来る、まともなレストランがあるとは思えないので、「吉牛」にしようかと言ったら、お相手の淑女が、まさかと言って、探してくれ予約までしてくれたので、間抜け面下げて新丸ビル5階にある「AWキッチン丸の内店」に5時に出かけた。

 結論を先に言うと、これがまた、とても良いイタリアンレストランでありました。

バーニャカウダ

バーニャカウダ

 オーガニック野菜を自慢にしているだけあって、バーニャカウダはパリパリの味の濃い野菜ばかりで、季節柄、色の濃い夏野菜が中心でしたが、なかには知らない黄色のズッキーニ風の珍しいものや、近頃人気の紅芯大根などもありました。
 ソースはニンニクもアンチョビも控えめであり、これからお仕事のある淑女や、未だこの先予測不能のカップル向けになっていました。
 ではあのポタージュ状の液体は一体何なのでしょうか?

ビルの谷間が黄昏て

ビルの谷間が黄昏て

 時間は夕暮れ時で、窓の外に目をやれば、丸の内の高層ビルの窓が黄昏色に反射し、
今は都会のど真ん中で少し不謹慎な愉悦に遊ぶ我が身を反省しつつも、野菜のスティックは那須の二期クラブの朝食で出た自家菜園の野菜サラダを思い出していたのであります。
 かようにここの野菜は、美味しかったのであります。

 メニューは多くが野菜中心の料理ばかりだったので、メートルドテル風の紳士に、動物性タンパク質はおありかと尋ねると、厨房に行き、フレッシュフォアグラが一枚あるからソテーはどうかと問うので、お願いすると、とろけるように焼いた丸ナスの上にフォアグラを乗せたお皿が運ばれてきた。

フォアグラソテー

フォアグラソテー

 ナスは、米ナスを揚げた田楽風のものとも違い、皮も実も形がしっかり原形を残しているのに、皮が自然に剥がれ、身はとろけるように火が入っている。どのように調理したのか分からないが、並々ならぬ技術であろうと、素人目には思えたのであります。
 それにフォアグラの火加減も良かった。
 付き添えのトウモロコシも、昨今長野で採れる、生で食べるスイーツコーンのようであった。

トロフィエアラビアータ

トロフィエアラビアータ

 最後はお店の自慢料理でもある、ショートパスタ、トロフィエのアラビアータにした。
アラビアータはトマトソースに唐辛子を効かせたソースが命のような料理であるが、トマトソースが、極めて丁寧に作られており、自慢するだけあって絶品と言うにふさわしい一皿であった。
 実は自分でも、かつてペンネアラビアータに凝ったことがあり、唐辛子とニンニクを焦がさず、香りと辛みを絶妙に引き出すのがいかに難しいかは知っているつもりであるから、なおさらそう感じたと思うのである。
 トマトソースも玉ねぎ、人参やセロリなど香味野菜を焼いてからホールトマトと煮込んで、シノワで濾して作ったのではと思わせ、料理の丁寧さがしのばれるものであった。
 ただトロフィエと言うパスタはニョッキのような弾力は良いのであるが、形状は寄生虫学を思い出させて、その点だけは、小生には、いけていなかったのである。

 ここまでで1時間であり、デザートとお茶を飲む時間は十分にあった。と言うか、結局余裕があり過ぎ、時間調整をしてタクシーを拾った。

 さて、無事時間は守って、入店したのであるが、席についてしばらくしてもお相手の淑女は顔を見せないのである。
 なんと、あろうことか、他の席についていたのである。
 後で事情通に聞くと、淑女は、店に入った客の指名順で席に着くそうで、同伴した小生は一番目の客ではなかったので、後回しにされただけとの説明であった。
 このような夜の社交界?のルールに疎い小生は、何か腑に落ちなかったのであるが、
夕方5時からやっていて、1時間そこいらで十分満足のいく食事をさせるところがあることを教えてもらった満足感が、それを上回ったのである。
もちろん、付き合って頂いた淑女が、外で会っても、益々魅力的であったことが、(実はこの事実こそが超稀少な現象なのですが、)大きなポイントになったことも言うまでもないことであります。

AWキッチンは表参道や、麻布、中目、二子玉にもあり、多店舗展開しているA.W.と言う日本人がオーナーのお店らしいが、野菜へのこだわりが徹底していて、時間が許せば、食べてみたいと思うような、ブルスケッタ、スフレオムレツ、フルールトマトの冷製スパゲッティーニ、等のメニューが満載であった。

 したがって、AWキッチン丸の内店が、「私の又訪ねてみたいお店」のリストに入ったのは極自然の流れであったのである。

 ところで、肝腎の銀座のお店の方であるが、「私の又訪ねてみたい店」に残ったかどうかは,内外にデリケートな質問であり、ここでは答えを明かせないことは、賢明なる紳士諸兄にはご理解頂けることと思います、ご同輩。

 

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