ホームへ戻る

ル・クリスタリーヌ―光の演出の正体は?

小生も、今流行の糖質(炭水化物)ダイエットを始めて、5か月が経った。お蔭でめっきり外食の機会も減り、従ってアルコールを飲む機会も減り、酒量も一段と減った。それは年のせいもあるのだろうが、ワインなどグラスの3杯も飲めば早くも酩酊状態になる始末である。しかし、それにはそれで良いこともあり、お蔭で糖尿病の指標でもあるヘモグロビンA1cは6.8から5.8と正常になった。
そんな近況の中で、久方ぶりにフレンチレストランに行った。青山は骨董通りのニッカビルの横を入ったところにある「ル・クリスタリーヌ」である。この店は、小生の唯一の芸能関係の女友達K.L嬢の行きつけで、これまでに数回来たことがあったが、今回は美女4人を交えて初孫誕生のお祝いをした。
ル・クリスタリーヌの名前の由来はマドモアゼルの名前かと思ったが、クリスタルから来ているそうで、お店のキャッチは食事と光のハーモニーだそうである。お店は入り口にオープンテラスがあり、花の鉢も置かれ、女性受けを狙った店作りであろうが、全体のインテリアのセンスは昭和チックであり、現在のこの界隈のモードからは少しずれているような感じである。
昔のことは知らないから、本当のことは分からないが、イタリアンのキャンティやアントニオのように、かつては自他ともに認める最先端のレストランであったのが、今はノスタルジックに時代性から遅れているのに、それに気付かない、変に洋食屋っぽい、奇妙なちぐはぐさがあるように思えてしまうのである。

さて注文したのは「6月の料理フェア、フランス風ローストビーフ&ワインフェア」でワイン飲み放題のコースであった。実は予約を決めた時点では、アスパラガスのコースがあったのでそれにしたのだが、当日行ってみると、終わっていてないという。少々合点がいかなかったが、自分で直接予約をしなかったから、誰のせいにするわけにもいかないが、店のホームページにも限定期間を載せるべきではなかったかとは思う。

さて、当日の料理をご紹介しよう

鯛のマリネとブロッコリ―のタルタル、 赤スグリのドレッシング

鯛のマリネとブロッコリ―のタルタル、
赤スグリのドレッシング

フォアグラとトリュフのスクランブルエッグ

フォアグラとトリュフのスクランブルエッグ

冷製人参のポタージュオレンジ風味

冷製人参のポタージュオレンジ風味

お口直しのシャーベット

お口直しのシャーベット

ブルゴーニュ風ローストビーフ

ブルゴーニュ風ローストビーフ

パリ風ローストビーフ(マッシュルームのソース)

パリ風ローストビーフ(マッシュルームのソース)

フランボアーズとシャンパンのスープ パセリのアイスクリーム添え

フランボアーズとシャンパンのスープ
パセリのアイスクリーム添え

白ワインはミッシェル・ランシュ(ソーヴィニオン・ブラン)
赤ワインはヴァルモン(カベルネ・ソーヴィニオン)

最初のオントレと最後のデザートのお皿はテーブルの下からライトが射し込み、ガラスのお皿を通して料理が光る寸法になっているのである。これこそがお店の名前の由来となった光の演出なのである。

小生のグルマンライフで取り上げるお店の採用基準は、1)高級だが、確かにそれだけの価値がある処、2)安いが美味く、コストパフォーマンスがとても良い処、3)お店のホスピタリティが並はずれて優れていて居心地が良いところ、4)お店のインテリア、設えが非常にセンスが良く群を抜いている処、5)今は未完成で問題もあるが近い将来は大化けしそうな予感がする処、などであるが、クリスタリーヌは、正直どれにもあたらない。

しいて言えば立地、店構えの割には価格設定が安いことであろうか。ディナーコースでもランチメニューがあり、1750円、3800円、5500円、それに季節替わりのスペッシャルコースで7500円である。もちろんアラカルトもある。おそらく廉価なコースではコスパが良いのではないかと推察できるが、味に特段拘らなく、ワインをたくさん飲める人は、飲み放題にしてはワインの選択が良いので、店のスタッフの心配を気にせず、どんどんリクエスト出来る人ならスペッシャルコースが価値があるかもしれない。
但し、フロアースタッフは慇懃無礼を絵にかいたような態度で、いくつかのグラスのワインが干されていようと、遠くに立っていて、声を掛けねば気にも留めない風情なのである。

そして何よりも、当店の最大の取り柄は、光のパフォーマンスに感動してくれそうな、未だ大人のレストランも南青山界隈も未体験なウブな女子を喜ばせるには最もコスパが良いと言える点であろう。

ちなみに光の演出は、決して前もって、連れには教えないのが鉄則である。
それはミステリー小説のトリックを教えないのと同じである。

逆にあらゆる点から、オヤジだけで行っては、意味がない店であると断言できるのもル・クリスタリーヌである。

ログイン