昨今のデパートの地下食では、有名食材店、料理店がテイクアウト商品を販売している隣でカウンター席を設けて、あるいはコーナーを作って、食事をさせるところが目立つようになってきた。それをイートインと言うらしいが、鮨であったり、丼物であったり、フレンチ、イタリアンであったりと多種多様だが、伊勢丹の地下ではキャビアにシャンパンというような豪華なものまである。
デパ地下に買い出しに行って、小腹がすいた時に、デパートの食堂とは違う個性的な有名店の逸品を食せるのは嬉しいことである。
小生は、残念ながら、未だイートインの経験はない。大した理由はないが、人に見られながら食べるのは何となく気が引けるのと、食べたければ、何もこんな狭苦しい所で食べなくとも本店で食べればよいという気になってしまうからである。
おそらく一度体験すればどうってことのないことであろうが、未だそのようなチャンスが無いのである。
先日、六本木のミッドタウンに出かけた際に、留守番用の昼ご飯を買って帰ろうと、B1にある[RECIPIE & MARKET]に寄ってみた。何処かの雑誌に載っていたのをうろ覚えではあったが思い出し、探して行ってみたのである。
表に面してガラスのショウケースが並んでおり、中には何種類もの料理がガラス瓶に入ったものとプラスチックのパッケージのものと、2種類づつ並んでいた。瓶の方がイートイン用で、プラスチックの方がテイクアウト用とのことであった。イートインの場合は瓶をレジで買うと、そこでお皿に移してくれ、それを持ってテーブルに行くという、ハンバーガー屋と同じスタイルのように見えた。
小生は、「ぶりのマリネのサラダ、グリーンオリーブマヨネーズ」と「蒸し鶏と温泉卵、パルメザンチーズのシーザーサラダ」のテイクアウトを買った。
さて家に帰って、開けてみるとまず仕事の丁寧さに驚いた。野菜と肉魚は細やかにラップで区切られており、ソースはキャップ付きのボトルに入れられ、クルトンはビニール袋に入っていた。野菜はパリパリの新鮮そのもので質が高く、ブリの薄造りは、きちんと鮮度を保っており、蒸し鶏もぱさぱさ感は微塵もなく、ソースの旨さと言い、まるで一級のレストランで出されたような味わいのお皿になった。
ワインを一杯飲んで、ずいぶん贅沢な気分の一人ランチになった。
値段はいずれも700円台で、半額程度とはいえコンビニのサラダは一体何なんだろうか、あるいは高い一流ホテルの有名シェフのデリカテッセンとは何かと考えてしまった。
コンビニサラダのおよそ5~10倍の価値はあるだろうし、有名シェフの総菜より、ブランドに驕りが無いぶん神経が細やかで出来がいいのである。
これだけのものをこの価格で提供する料理人はどんな人物か興味が湧いたのでネットで調べてみた。
小生は行ったことはないが青山のL`ASというフレンチンレストランのオーナーシェフ兼子大輔氏がオーナーで“テイクアウトでも、気持ちがあればこれだけのものが出来るぞ”という意気込みで始めたらしい。
履歴を見ると、大阪のラ・ベガスと三田のコート・ドールで修業して渡仏とあるから鉄壁のキャリアである。フランスでは何処のレストランに居たかは書いてなかったが、それ相応のシェフの所で学んできたに違いないだろう。
おそらくL`ASはそれなりのお店であろうと想像でき、食べる前から先入観でモノ言うは私の主義主張に反するが、まずは外れてはいまいと思わせ、久々に新規開拓意欲が湧いて来た。
近日中には訪れるつもりであるから、その結果は又ご報告するので、乞うご期待です。