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パトゥ-料理に集中する圧倒的な姿勢に,些細な問題は消えてしまう

孫の帰国に合わせて1ヶ月前から予約していたが,その間に入院するハプニングがあり,いみじくも退院日が予約日となった。つまり退院祝いに伺う事になった。当方がボケていて開店スタートを30分早く出向いてしまい,雨の中を外で待つ羽目になったが,階段下に幸いな事に紅茶専門店があり,そこで時間潰しをさせてもらった。好きな茶葉とティーカップを選べる英国の貴族のカントリーハウスを思わせるとても感じの良い店であった。TEAPONDといった。さて時間通りにお店に行くと,恐縮されながら暖かく迎え入れてもらえた。すでに3卓は客は揃っていた。シェフが一人で作り,マダム一人がサービスなのでてんてこ舞いの忙しさである。かと言って二人でやっている店は珍しくはないから、緊迫感を与えるのはキッチンで響く食器や調理器具のたてる音のせいのような気がする。なんらかの事情があるのだろうが,ガラス皿の扱いが尋常ではない。しかし器に盛られて運ばれてくる料理は,どれも手の込んだ隙のない完成度の高いものばかりである。特に野菜の使い方が抜きん出ている。一皿目のとうもろこしのムースにトマトのジュレは,月並みに表現すればとうもろこしの甘さとトマトのわずかな酸味のマリアージュが素晴らしいと言えるだろう。ふた皿目は恒例の野菜のエチュベにメヒカリのフリットを合わせたもので,孫はサーモンが美味いと興奮していた。三皿目のカナッペ風の皿には燻製バタートーストに島根産のドンチッチ鯵のマリネにサマートリュフを重ねたもので,スモークとトリュフの重奏感が半端ない。ついでセロリのスープに生の白桃を浮かせたもの。セロリが苦手な孫もペロリと平らげ母親もいたく感激していた。香川県産の白桃はもうこんなに美味いんですね。魚料理はカスベのブイヨン煮とキャベツのプレゼにシェリービネガーソースをかけたもの。エイの軟骨感もありキャベツの扱いがまた素晴らしい。肉料理はブルターニュの仔牛のフィレ肉のロースト。仔牛のフィレも珍しいが,わずかにミルクの香がして箸で裂けるほど柔らかい。デザートは柑橘,パッションフルーツのスープ仕立てとジャスミンティーのブラマンジェと黒イチジクのコンポートとスモモのソルベと,完璧だと感じた。これで3時間は長すぎることはないが、子供は間が持てなくて寝てしまいそうなった。小学生ならマナーも守れるし,食事の量も十分こなせるから大人扱いで良いと考えて連れて来たが、昼間遊んだ後では睡魔には勝てないという弱点に初めて気がついた。寝入りそうになれば,新しいゲームの説明をさせれば目を輝かせて眠気も飛ぶという手があることにも気がついた。それはともかく,キッチンにスーが助手でも一人でもいれば,どんなに平穏な雰囲気になるかと思うと,改めて少し残念な気がした。しかしシェフの料理に集中する様は神がかっていて圧倒される。

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