2月中旬にサントリーホールで辻井伸行のピアノコンサートがあったので行ってみた。
大和証券が顧客にために企画したプレミアムコンサートであったので、観客は全員大和証券の顧客の招待客であった。
従って小生のように日頃はクラシック音楽には縁の無いような人も少なくなかったようで多少は気が楽であった。
小生にはチケット2枚が与えられていたが、なんせ由緒正しいクラシック鑑賞などほぼ初めての経験であったので、ピアノをする友人に付き添いをお願いして行った。
当日は、サントリ―ホールは全館貸切になっており、小ホールの方は、開演前に飲み物や軽食が用意されていて、小生達が行った時は開演30分前だったが、食べ物はあらかた片付いていて、かろうじてシャンパンとサンドイッチの残りものを探しだし意地汚く食べた。
コンサートは、前半は辻井伸行のピアノ・ソロのリサイタルで、後半は角田鋼亮の指揮で東京交響楽団との協奏曲で構成されていた。
前半の曲目は、ショパン:英雄ポロネーズ、ドビュッシー:月の光、ラヴェル:水の流れ、リスト:ラ・カンパネラで後半はメンデスルゾーン:序曲《フィガルの洞窟》作品26、グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調作品16、であった。
いずれも門外漢の小生でも、どこかで聞いたような記憶のあるような旋律のもので、特にラ・カンパネラはかつてテレビのフジ子・ヘミングのドキュメント番組を見て、演奏の難解さを知っていたので、ひときわ関心も高く聞いた。果たして辻井のラ・カンパネラが、どれくらい優れた演奏なのか小生には判断も出来なかったが、とにかく信じられない速さの旋律に圧倒された。
このような楽器の演奏とか、体操競技とか、今回のオリンピックのスケートやスキーの競技を見ると、小生には天地がひっくり返っても、100回くらい死ぬほどの練習をしても万分の一も出来ないであろう別次元のことのように思え、現代が音楽や運動の能力だけで評価されない世界で本当に良かったと安堵いたのであった。
辻井は、コンサートの終わりにはお決まりのアンコール拍手でなんどもステージに呼び戻され、結局それに応えて2曲もサービスして演奏したが、辻井は視力障害があり歩行もままならぬのだから、何度も何度もアンコールを強いるのは、観客が無神経な気がしたが、それは気の回しすぎであろうか。
今回のコンサートのスポンサーであった大和証券は、ご存知の方も多いと思うが、テレビコマーシャルが、ジャズを複数のプレーヤーがリレーでつないで演奏するものでひときわセンスが良いと思う。
小生は決して熱心な投資家ではないが、いわゆる資産株と言われる安定したものを預金がわりに少々持っているが、それでもMUFJMS証券では損を出すばかりで,それにその間の対応も極めて不親切、杜撰であったので、テレビコマーシャルが気に入っていた大和証券に乗り換えたばかりであった。取引が始まったばかりの新規の客であったため、飴を与えておこうと思われ招待されたのであろうが、それでもこの粋な企画に参加出来て良かったと思った。
大和証券の社長が音楽好きで、その趣味もあって、例のコマーシャルも、今回のような顧客サービスも企画されているらしいが、企業も結局はトップの人となりが大事だと思う。
小生は車が好きな方だが、トヨタ車は趣味に合わず乗ったことはないが、トヨタという会社は嫌いではない。トヨタの今の社長が、自らハンドルを握りラリーを走り、根っからの車好きであることが伝わってくるからである。それに小生に似て三河人(トヨタ自動車は愛知三河で創業した豊田織機が原点である)の朴訥さが見えるからである。
公演が終わってから食事をしようと思ってネットで探したが、近隣の殆どの店のラストオーダーが21時で間に合わない。芝居でもそうだが、開演前に夕食をとる余裕はなく、終わった後では間にあわないということが少なくない。生活習慣が違うからヨーロッパと比べても仕方ないかもしれないが、わが国もそろそろラストオーダーの遅い真っ当なレストランがもう少し増えて来ても良いのではないかと思う。
仕方ないから馴染でワガママがきく、紀尾井町の「オー・プロヴァンソー」を予約しておいて遅いディナーを摂った。
プロヴァンソーの訪問は2か月ぶりで、前のメートルドテルが辞めていて、当時のス―が昇格していたが、中野シェフの料理は変わらず美味しかった。ここであれば、悪いとは思いながらも一皿づつをシェアしながら多種類のメニュをオーダーできるのも大きな魅力である。それに食べた料理のメニュを後日メールで教えてくれる親切さがある。
諸兄もご経験あろうと思うが、食べた料理を写メに残しても、それが何という料理であったか記憶にとどめておくのは容易ではなく、ブログに載せようとする時にはもうすっかり忘れていたり混乱しているものである。
今回も、せっかく新人メートルドテルがメールで送ってくれたので、その気持ちに応えて当日の2月のメニュを載せておこうと思う。
3月になると、また恒例の春のアスパラガス尽くしのスペッシャリテが始まるそうだが、毎年それだけは食べそこなわないようにしている。
プロヴァンソーの春のホワイトアスパラコースは小生お薦めの「美食の一皿」である。