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ウエストサイズストーリー-平均年齢62歳、平均ウエストサイズ90センチのオヤジ達のミュージカル

プログラム表紙

プログラム表紙

チラシ

チラシ

 六本木界隈をうろついている、平均年齢が60歳(最高84才)を超えた男達が集まって、自然発生的に出来た合唱グループがあるらしい。六本木男性合唱団倶楽部(六男)というらしいが、そのグル―プがなんと、Bunkamuraオーチャードホールでミュージカルを公演したので見に行った。
 友人でもあり、帝国プラザのクリニークデュボワに美容整心精神科を開設させていただいたりしてお世話になっている中原悦男先生が六男の副団長をされている縁で(決して義理ではありません)、1月15日の昼公演に行った。

 木曜の昼間というのに会場は大変な賑わいであった。オヤジ達の会らしく綺麗どころも集まり、ちょっといつもと違う華やいだ雰囲気もあった。

ホワイエでの賑わい

ホワイエでの賑わい

綺麗どころも

綺麗どころも

 ミュージカルはウエストサイドストーリーをもじったものであり、原作の筋書きに沿っているので、ダンスがふんだんに入っているのが、(ミュージカルであるからには当然ではあるが、それが)痛ましくもコミカルに仕上がっていた。
 ま、介護なしでは歩くのもままならぬような老人にステップを踏ませようというのだから、演出も大変だろうが、それにしてももう少し歌を主体にすれば、馬脚を現さずに済んだろうに、という場面が多々あった。聞くところによれば、出演者は女性役希望が多く調整が大変だったとか、セリフも平等に振らねばならないだろうし、演出家も苦労の多い話であったであろうと推察できる。

 出演者は、基本的にお金と時間に余裕のある、世にいう成功者ばかりである。音楽監督はかの三枝成彰氏であるし、出演者の主だった顔ぶれには鳩山由紀夫元首相をはじめ、日赤社長の近衛忠輝氏だの五井平和財団理事長の西園寺裕夫氏などのやんごとなき方々が名を連ね、名の通った名士ではオリックスの宮内義彦氏,服部セイコーの服部真二氏、元厚生大臣の林芳正氏等、ほか幾人もの政治家も並んでいる。その他多くは企業経営者、弁護士、会計士、医師、歯科医師などである。
 紅一点で作家の林真理子氏が出ていたが、いつも思うのだが、彼女は多く場面で、出しゃばり過ぎで目障りにしかなっていないとなぜ気が付かないのでしょうか?小説家というものは、意外と現実検討識は低いものなのですねえ。それにしても、皆の頑張りに見合うような努力も(日頃挑戦しているというダイエットを成功させて)見せてほしかった。

 

 ポスターには「戦後の日本を支えてきたすごい男

キャスティングープログラムから

キャスティングープログラムから

たち150人が男女を演じる」とあるから、メンバーは、それなりに自負心も顕示欲も強い方達なのでしょうが、それでも延べ1200時間以上の猛錬習を重ねてきたというから、意気込みはマジで真剣である。
 事実、友人は、この数か月は練習最優先の生活をして来たようである。ちょうど主役どころとバックのオオゼイのダンサーとの中間にいる人達は、舞台の成否を握るカナメに当たる40,50代の人であろうか、彼らはダンスも形になっており、その代表格の友人はまさに練習の成果が実を結び、まるでジョージ・チャキリスのように脚は高く上がっていたし、飛び上がって足で拍子をとるような仕草も様になっていた。特に劇中のSinging in the rainは良かった。

 概して独唱、合唱は予想以上に上手であった。日頃から六男は毎週定期練習をしているそうであり、歌はさすがにその成果が出ていたように思う。

 ちなみに西に宝塚、東に六男ありというそうだが(ポスターのコピーから)、最近は「名古屋にカズラカタ歌劇団あり」とも言うそうである。
 僕の出身校でもある名古屋の東海高校の学園祭の出し物が発展してカズラカタ合唱団(タカラヅカの逆読み)を結成して定期公演をやるようになり、今や名古屋では入場券にプレミアがつくほどの人気らしい。
 東海高校は男子校であるから、昔から文化祭ともなると女装する出し物は必ずあったし、ボンボンの美形も多かったから、それは、何となく頷けるのである。
 You tubeで見てみると、舞台は女子高生ばかりか母親年齢を超えるような女性達の手拍子で宝塚以上の大変な盛り上がりである。

 カズラカタ歌劇団は、六男と違って平均年齢は17歳と圧倒的に若いので、ダンスも美貌も比べようもないが、六男は,先駆者のプライドをかけて、名古屋を、それなりに意識しているらしい。
 しかし、僕から見れば、六男は女装にしても男の履歴書からくる凄味が感じられ、こればかりはカズラカタではかなわないだろうと思うのである。

下の写真の中央先頭が友人です。-プログラムから

下の写真の中央先頭が友人です。-プログラムから

 六男を男の道楽と片付けるのは簡単だが、道楽というには向上心が強いし、趣味というには金がかかりすぎているようにも見える。(ちなみに公演費用は億円単位と聞く)

 そもそも趣味と道楽の違いは何か?

 畏敬するタレントのなぎら健一氏は、“道楽はお金さえ払えば誰にでもできるもの、趣味はその人の努力で達成されるもの”と言っていたが、そうだとすれば六男は基本は趣味であろうが、いささか自己顕示欲が強く、その為には金を惜しまないところで道楽にもなっているのだろう。

 いずれにしても趣味も道楽も持てず、人の趣味道楽に付き合う位しか能のない我が身を思うと、帰り道の冬の夕焼けの中で、我が人生は悲しくも寂しすぎると思ったものである。

 最後に六男のお知らせです。2月22日東京マラソンのオープニングパーティでは都庁前で歌うそうです。3月11日はサントリーホールで、9月はサンクトぺテルスブルグで公演ですと。
 ちなみにウエストサイズストーリーの舞台中継のテレビ放送は2月15日深夜25時から(16日1時)BS朝日で放送されるそうです。
 これもメンバーが自らスポンサーになったのではとの疑惑があります。

 

 

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