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谷川温泉―金盛館せせらぎ

寿司屋は、やはり行きつけが無いと寂しいものである。

前にどこかでお話ししたように、私が行きつけにしていた、赤坂にあった喜久好は親方が引退すると言って、店を閉めたので、私は現在,行きつけの鮨屋を探索中である。

従って気の向くまま、いろんなお寿司屋に行ってみるのだが、先日、その中のある一軒で、取材で来店していたと見受けられた、プロと思しき一人のご婦人と隣合わせになり、知り合った。

私も家人も人見知りで、初対面の他人と口をきくことは滅多にないのだが、なぜか家人が話し込み、話が温泉に及んだようだ。

その御婦人が、みなかみ谷川温泉によい宿があると言い、薦めてくれたのが、今回ご紹介する「金盛館せせらぎ」である。

玄関

私達は、偶然にも、昨年の12月に行っていたのである。

それで、今回はここに取り上げさせていただくことにした。

先に、この欄で、すぐ隣のにある「水上山荘」(2013.5.16.)を書いているが、その前にもみなかみ向山温泉「尚文」(2013.2.23.)、を褒めてスグに書いている。

余程この辺りは私共に相性がいいのかもしれぬが、そういう意味では金盛館は、それほど印象深くはなかったのかもしれない。

私達が行ったときは、丁度、前日から雪が降ったとのことで、12月にしては雪が多かった。正面ロビーは水上山荘と同じように谷川に面しているのだが、少し曲がったところに位置するからか、谷川岳は水上山荘のようには視野には入ってこなかった。

目前に樹氷が迫る

?その代りか、宿はロビーに卓上の囲炉裏を置いて、こんにゃく玉の食べ放題のサービスがしてあった。竹の串に刺して食べるのだが、味がしみていて大層美味しかったように思う。残念なことに日本酒のサービスは無かったが。

囲炉裏でこんにゃく玉食べ放題

こんにゃく玉をみると山形の天童の山寺を思い出す。あのセミと岩の句で有名な山寺である。登山を挫折し、寺の麓で食べたのが、こんにゃく玉の最初の経験で、旨かったので味をしめたのである。

確か一串に2、3個ついて100円かそこらだった。店先に大きな釜が置いてあり、その中で煮えている形は、子供の頃の駄菓子屋の関東煮と同じである。

なぜだか山形に行ってみたくなり、電車を乗り継いで行ったのだ。会津にも寄って、野口英世の生家にも行った。
まだ5,6年前の事だろうに、走馬灯のように、ずいぶん昔の様に思い出す。すべてが幻のように、人はこうして年を取っていくものかも知れない。

さて「金盛館せせらぎ」であるが、ここは若山牧水ゆかりの宿で、当時と同じく、川端に素朴な露天風呂があり、風情満点なのだが、雪の中を長靴で行きながら、更衣場所を間違えて、吹きさらしの濡れた石の上で着替えてひどい目のあった覚えがある。間違えた自分が悪いのだが、行ったなら、注意された方がいい。

雪の中を露天風呂に向かう

露天風呂

入浴者の目

食事は、かの御婦人が褒めていたのだから、悪くはなかったと思う。

夕食

夕食

夕食

夕食

ワインクーラーも粋

朝食

群馬の温泉は概して食事は駄目なのだが、谷川温泉は例外的に良い様だ。

というか、珍しく‘おもてなしの心’が宿っている。

その時は、天一美術館にも何処にも寄らずに、真っ直ぐ帰ったように思う。

それが、私の4年に渡る群馬滞在中の最後の温泉泊りになった。

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