*安保法制の違憲論議
自民党推薦の憲法学者もが、集団的自衛権を違憲と国会で証言して、国会の安保法制法案審議も入り口の憲法論争となってちょっと安心した。当初の国会審議のように、いきなり具体論に入ってしまえば相手の思うつぼと思い、野党も阿保だなと思っていたからだ。
野党と政府では、情報量が圧到的に違い、具体論では野党は不利にきまっているからだ。それにしても違憲論者の憲法学者を推薦した自民党の船田元という議員は、間抜けというしかない。彼は大物議員を父親に持ちながら、アナウンサーとの不倫結婚で栃木選挙区で落選を経験し、最近ようやく蘇ったかに見えたが、これでもう永久沈没であろう。
以下は、日経新聞2015.4.23の「春秋」欄からの引用を元に少々私案を加筆したものである
集団的自衛権の合法化の理由は、国際情勢の変化に対応して自衛権の範囲も変化してもよいとするものだが、そのアジア情勢危機を招いている中国を批判して、安倍首相はアジア・アフリカ首脳会議で格調高く述べている。
「強いものが弱い者を力で振り回すことは断じてあってはならない。法の支配が、大小に関係なく国家の尊厳を守る。」と。
全く同感である。後段の「大小に関係なく国家の」部分を「多数派、少数派に関係なく個人の」と置き換えれば、民主主義の原則そのものであるからである。
民主主義国家であるかの大きなポイントの一つが、時間を費やしても少数意見を尊重することだからである。
その精神を安倍内閣は国会審議でも発揮してほしいものである。都合の悪い報道があれば、自民党がテレビ局幹部を呼びつける姿。あるいは、国会で安保法制を「戦争法案」と呼んだ野党議員に修正を求める姿。労働者派遣法改正法案では、強行採決を阻止しようとした野党に対して、委員長と首相が、頸椎捻挫2週間の診断書を掲げて謝罪を求める姿、米軍基地、辺野古移転反対の県民民意を代表する翁長知事に安倍首相は会おうともしない姿、等々「強いものが弱い者を力で振り回す」ことが常態化してはいないか。
最近の海老坂武著「加藤周一」の中でも、加藤は民主主義の在り方について同様の見解を述べている。
*消えた年金から漏れた年金への必然性
年金機構がまた大へまをしでかした。100万人以上の年金情報(年金番号、氏名、住所等個人情報)が、ハッカーに盗み取られたのである。
セキュリティ専門会社ラックによれば、何でも、中国、ロシヤ、北朝鮮、米国など(今回は状況証拠から中国と推測されるそうだが。)は熾烈なサイバー戦争を繰り広げ、国家が組織的に他国のあらゆる公的機関、企業を狙ってあらゆる情報を日常的に盗み取っているそうである。私達のメールさえも、すべて盗み取られ読まれていると考えた方がいいそうである。
今回も、特に年金機構を狙い撃ちにした訳ではなく、年金機構が余りにセキュリチィが甘く、かつ職員の当事者意識が低いために、たまたま年金機構から情報が漏れたにすぎないのだという。(年金機構のトップから末端までの当事者意識の無い無責任体質が原因と指摘されている。)
年金機構は、旧社会保険庁の頃には5,6千万人分の年金が不明になるという年金管理の余りのずさんさと、また一人の職員による数十億に及ぶ年金横領着服事件が発覚し、数兆円の不明金には他の職員の横領分も相当額にのぼるとされながらも、結局はうやむやにされてしまい、誰一人として責任をとらず、組織の看板だけを年金機構と変えて職員は上から下まで横滑りで生き残ったものである。
この時、「不明金の最後の一円まで、最後の一人まで、不正は許さない、必ずすべてを明からかにして、けじめはつける」と言って大見得を切ったのが、当時の厚労大臣、現舛添東京都知事であったことは覚えておこう。
この年金不明事件だけでも、欧米諸国なら、相当数の関係者は逮捕され監獄行になったであろうし、共産主義国家なら公開処刑になったであろう。
国民の生活に直結するような大問題であるにもかかわらず、現に今の年金の資金不足は、この不明金に端を発しているというのに、今や誰もそのことを言わないのである。我々は、誠におめでたい国民と言わざるを得ない。
一方、国立大学病院の器材購入の口利きでは、担当者が数万から数十万の賄賂を受け取った嫌疑で、即逮捕されるという警察のちぐはぐさである。
公金不明に対して、この甘さでは、年金機構の職員の腐敗しきった無責任体質も変るはずもなかったであろうし、これからも同じような不祥事が起きて行くことだろう。
旧社保庁、現年金機構の職員は未成年ではないのだから、更生する機会を与えるのではなく、職を解き、罰を与え厳しく責任を問うのが、このような度重なる不祥事の再発を防ぐ唯一の方法ではないかと思う。
今までの、公金の不正に対して責任を厳格に問わない社会、政治体制では、年金機構の不祥事再発(再犯)は必須と小生は見ている。

