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空耳妄言㉓:人質になった「日本」ー世界秩序のために日本国民の犠牲はやむをえないのか

空耳のように聞流しても良いが、誰かが囁いたほうがいいような話もある

本日2017年8月29日北朝鮮は弾道ミサイルを日本列島上空を通過させ北海道沖に着弾させた。先日来、グアム島近辺に落下させると言っていたのを、変更した形になった。アメリカ領土のグアムでは挑発のリスクが高すぎると判断しての結果だろう。

つまり、ここではっきりと日本は北朝鮮の、アメリカに対する脅しの材料、人質になったのである。
トランプ大統領や多くのアメリカ国民はこれで安堵したのではないか。
トランプ大統領は、今朝「今回のミサイルは北米の直接の脅威にはならない」と言ったし、かねて「戦争はやっても向こう側でやる」と言っていることから、米朝戦争は、日韓を盾に朝鮮半島、日本列島を戦場にして始まるシナリオがハッキリして来たから安心したのではないか。

一方日本政府の対応だが、型通りの焼き直しの声明「明確な安保理決議違反であり断固許せるものではない。最高度の抗議をし、更なる圧力を断固強めていくことで日米は完全に一致している。国民には万全の安全・安心の対策を取っているから不安にならず冷静に行動するように」を出した。
せめてもの救いは、防衛大臣が稲田氏から小野寺氏に変わっていて、防衛省声明も緊張の中にも状況を把握し、自分で理解し喋っている点であった。
それにしても、ミサイルが日本の領土上空を通過するのを看過し、安心安全は守られているというのは一般国民に説得力があるだろうか。イージス艦、パック3で防衛体制は万全と言うなら、撃ち落として見せて欲しいものだ。(間に合わなかったか、あるいは失敗を怖れて見逃したと勘ぐられても仕方ないだろう)
政府は、国民にはきちんと警報を出した(Jアラートは機能した)ではないかという言い分のようだが、たとえ2分で室内に退避し、机の下に潜り込んで頭を手で覆ったとしても、それで安全が確保されると信じる国民がいるとでも思っているのだろうか。
北朝鮮には厳重に抗議し、更なる圧力を強めると言うが、その有効な手立てが今更あるとも思えない。

つまり政府の言うことは、余りに言葉が軽く空虚なのである。安倍内閣は日頃から言葉が限りなく軽いのだが、安全保障に関しては、軽さは虚しさを越え、空虚となっている。

外に聞こえてくるのは、トランプ大統領や韓国文大統領と電話会談しては、アメリカのとるどんな選択肢でも支持し日本は日米韓と共同行動をとるという話ばかりだ。

日本は国の安全保障のために、日米同盟(日米安保条約)を結んでいるが、今は逆にそのために国の安全が大きく揺らいでいる。日米が軍事的に一体化することで、日本を守ってもらう限りはアメリカのリスクは我がものとして受け入れるという建前論は理解できるが、それは相手国であるアメリカも同じ建て前を守ることが担保されて正当性があるのであって、そうでなければ日本はただの都合のいいアメリカの盾に過ぎないのである。
時に、盾となった人質(日本)を生かすも殺すもアメリカのご都合次第になってしまうのである。

トランプは、アメリカファースト、アメリカの利益が最優先を公約とし、また白人至上主義者でもある。トランプは自身の支持者のために政治を行う姿勢を鮮明にしているから、果たして、トランプと思想を共にするトランプ支持者達が日本と運命共同体となって米国民、米国本土を犠牲にしてまで戦えと言うだろうか。
彼等は、覇権国アメリカの言うところの世界正義・秩序のためにはアジアの島国の1つや2つは犠牲になっても仕方ないとご都合主義を弄するのではないかと危惧されるのである。

同盟が相互の利益のバランスが崩れて、一方的に反古にされた例は歴史上、枚挙に暇がないほどある。
また人間の意思決定は、ことが切迫して重大であるほど、情動が理性を支配するというのは、扁桃核の働きを明らかにした最近の脳科学で証明された心理学の真理である。
これらを考えると、小生は日米同盟の是非を改めて考え直す意味があるのではないかと思うが、もう手遅れか。

日本の政治責任者、安倍首相が、今果たしてどのレベルでアメリカと合意しているか本当のところは分からないが、問題なのは、彼の今までの政治手法から判断して、政治的決定にあたって国民の命、生活は常に二の次であることが確かなことである。

それが今の日本の最大のリスクファクターであると思う。

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