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富士鮨「心意気はかんじるが、大将の食べさせたい寿司とは?」

富麗華の隣,抜群の立地で,たくさんのスタッフを抱えてこの値段でよく頑張ってるな,というのが第一印象。器や道具,ネタの扱い、スタッフの所作などにもこだわりを感じるが,完璧を目指す余りに何かが一つ抜けている感じがする。奥で支度をしたネタを春慶塗りの菓子器のような箱に入れて板前に持ってくるのは少し大袈裟ではないかな,寿司は本来それほどやんごとなき食べ物ではないはずである。品の中に粗雑さが少しはあってこそ粋ではないかと思う。お茶もアカのアンティーク風な急須で小体な湯呑みに入れるのは良いが,注ぎ足しはいただけない。寿司はシャリは白酢で加減も良いし握りも米が立つようで上出来である。小肌の締め具合も良いが,寿司全体に何かが欠けている。それは個性というか大将が身に着けてきたアク、オシのようなものかもしれない。厳しい修行の中で彼が見つけたコレダというものが見えないのである。店構えも良いし気遣いもあるし,味もそこそこ合格点であるが,飾り棚の生花が少ししおれていたように,不明だが何かが満たされていないというのが私の感想である。一斉スタートでなく,おまかせ一本でもなく,昔ながらの鮨屋のスタイルであり,ちょいとつまんで帰ることも可能で、かつおしゃれで明朗会計で使い勝手も良い店なので,今後の成り行きに注目したい。昨今の鮨屋の半額あまりで多くのスタッフを抱えてなぜ成り立つかのか誠に不思議であるが,もう少し肩の力を抜いて町寿司のような存在になってくれれば近場の住人にはありがたい店である。ここ十番界隈には高級店も多いが、遠方から来てもコスパが良いのに越したことはないはずだから,一度は来訪して,あとは自分に合うか決めるのが良いお店とおすすめします。

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