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グルマンライフ

インド料理 スーリヤ 東麻布本店「インド料理に開眼,優しいインド美人のサービスも心地良い。」

まず私のインド料理の体験は少ないことが前提になります。せいぜい銀座のナイル,ミッドタウンのニールバーナニューヨーク,東麻布のガネーシャくらいで,それらを総合したものかスタンダードになる。スーリアはランチの経験が2度ほどあるが,そのときは近場の勤め人達が,お腹を満たすにはコスパの良い店として来ている感じで特別感は無いなと思っていたが,初めて、ディナー出来てみて、正直見直した。カレー以外のメニューは平凡だが,味は丁寧に料理されていて奥が深い。ほうれん草のサラダは,パリのビストロのランチのサラダのように素っ気はないが,とても美味い。シーザースサラダのドレッシングソースに似てなくもないが,独特の初めての味だ。シシカバヴゥはまるで良店のつくねのようにジューシーだし,タンドリーチキンも初めてその味を知り、本当は美味いものなんだと知った。またナンも同様である。どこよりも大きくバターの香りが強いく熱々で出される。カレーはココナッツとバターチキンにしたが選択ミスだったかな。具が動物性だと,すでにお腹がよくて胃に重いしバターは風味はナンと重なってしまう。ちなみにナンは食べきれずにお土産にしてくれた。飲み物は種類も多くカクテルが多いのがインド料理の特徴なのかな?度数低めのモヒートがとても相性が良くグラスの大きいのも嬉しい。
そして特筆すべきはサービスの良さだ。食べログで見たでドリンク一杯がサービスでつき、おまけにフロアのオネーサンがとても感じが良い。今時の日本の女子大生より優しい美しい日本語で語るインド美人で癒される。老人が料金を慣れないPAY PAYで払おうとしたら,向かい側から操作して助けてくれた。銀座で高い金を使う意味が無くなったなと思ったが,カレーで粘るわけにもいかないしな。願わくはインテリアをもう少しだけ。ナイルの重厚さやニールゥヴァーニヤのスタイリッシュさまでは求めないが,もう少しだけ。美味いしサービスもいいのだから惜しい。

富士鮨「心意気はかんじるが、大将の食べさせたい寿司とは?」

富麗華の隣,抜群の立地で,たくさんのスタッフを抱えてこの値段でよく頑張ってるな,というのが第一印象。器や道具,ネタの扱い、スタッフの所作などにもこだわりを感じるが,完璧を目指す余りに何かが一つ抜けている感じがする。奥で支度をしたネタを春慶塗りの菓子器のような箱に入れて板前に持ってくるのは少し大袈裟ではないかな,寿司は本来それほどやんごとなき食べ物ではないはずである。品の中に粗雑さが少しはあってこそ粋ではないかと思う。お茶もアカのアンティーク風な急須で小体な湯呑みに入れるのは良いが,注ぎ足しはいただけない。寿司はシャリは白酢で加減も良いし握りも米が立つようで上出来である。小肌の締め具合も良いが,寿司全体に何かが欠けている。それは個性というか大将が身に着けてきたアク、オシのようなものかもしれない。厳しい修行の中で彼が見つけたコレダというものが見えないのである。店構えも良いし気遣いもあるし,味もそこそこ合格点であるが,飾り棚の生花が少ししおれていたように,不明だが何かが満たされていないというのが私の感想である。一斉スタートでなく,おまかせ一本でもなく,昔ながらの鮨屋のスタイルであり,ちょいとつまんで帰ることも可能で、かつおしゃれで明朗会計で使い勝手も良い店なので,今後の成り行きに注目したい。昨今の鮨屋の半額あまりで多くのスタッフを抱えてなぜ成り立つかのか誠に不思議であるが,もう少し肩の力を抜いて町寿司のような存在になってくれれば近場の住人にはありがたい店である。ここ十番界隈には高級店も多いが、遠方から来てもコスパが良いのに越したことはないはずだから,一度は来訪して,あとは自分に合うか決めるのが良いお店とおすすめします。

南青山エッセンス「シェフの料理への誠実さが一皿,一皿に表れており,思わず姿勢を正してしまう」

サントリーホールの帰りで21時頃になったが,アラカルトで自由に食べられるのが有難い。前がランチだったのでディナーは初めての来訪。本日のおすすめメニューから全て組み立てた。前菜はお任せ前菜6種盛り合わせに、干し肉の照り焼きを追加しようとしたら,それを6種の中に組み込んでくれる気遣いをしてくれた。6種は一つ一つが一品になるくらい手の込んだものばかりであった。魚系は全て焼津のサスエ前田魚店の魚介に渾身の調理がしてあるのだから外れようもない。あらが終わっていて太刀魚の揚げたものを食べたがトマトの油淋ソースが,中華の当たり前を外しているが、とてもマッチしていた。薬膳スープは,あまり詳しくはないが文句なしに美味い。福臨門の佛跳牆ぶっ飛びスープのようにナマコや朝鮮人参がこれ見よがしには入ってはいないが,薬効は十分に考えられているのだろう,スープには品の良い力を感じる。肉系はアキレス腱とトリッパの煮込みにした。クセのある2品だが,コラーゲンの適度な柔らかさと、トリッパのモツの臭みの消し具合は流石であった。柱侯醬という味わいは初めてであったが,奥深い味であった。締めは五目あんかけ焼きそばにしたが,麺の太さと硬さのバランスがよく,あんの中の海老はプリップリで,サスエのサイマキ海老だろうなと納得した。デザートは,前と同じココナッツ団子で美味さを再確認した。
他には類のない中華料理店だと思う。何より料理から伝わってくるのは料理への真面目な姿勢だ。当然のように食材にはとことん拘っている。次回こそ,フカヒレに挑戦してみようと思う。

とんかつ ここまでやるか。「ここまでやるかって、ここまでですか。」

期待を込めて初訪問。とんかつ好きは自認するが,それほど食べ歩いてはいない。最近では,とんかつじゅんちゃんが最も近い。
前評判も高かったが初めてなので,百花総覧のコースを頼んでみた。鮪、鰆やら爆弾やら七唐、マッシュルーム,車海老が相次いで出されたが,いずれも平凡な出来具合であった。海老はサイマキではなかったし,野菜のフライは六覚燈の方が上だろう。トンカツはロースが2種出たが,いずれも火入れが強くジューシーさに欠け,脂身の芳醇さが乏しい。フィレは,あくまでも柔らかく本日の一番の出来具合。ソースも何種類も用意されていたが、トンカツソースが好きな口だから,これぞと感心したものも無かった。トンカツソースは,甘さ控えめで炒りごまによく合い,もっと早くから出して欲しかったと感じた美味さであった。口取りにシラスや菜の御浸しが出たが,キャベツの千切りの王道が良かったかな。総じて言えば,期待値が高かったせいもあろうが,ここまでやるってここまで?という感想である。これならかっての斎藤元志郎氏の赤坂見附のフリッツ,今の淡路町ポンチ軒、高田馬場のフライ家の方が極め感が強い。
Malcaのシェフは,フライの経験値は高くはないのだろうな。異業種出身のトンカツなら,じゅんちゃんは痛み分け、たそがれが一歩リードという所が私の実感であった。スタッフのサービスは一流のレストラン並みで心地良かったことは,言い忘れてはならないだろう。

たそがれ「安定した旨さ,唯一無二のビストロ」

ビストロが気楽に食べられるフレンチだとすれば,たそがれはまさにビストロの名に相応しいだろう。オーナーシェフは四谷の北島亭の出身で,そこでソムリエールをしていたのが,たそがれの現ソムリエールでマダムのみどりさん。気さくで,話し易い,気の休まるビストロだ。メニューは一言で言えば,無国籍料理だろう。一年前に松茸を一箱持ち込んで色んな料理にしてもらったが,松茸ご飯こそなかったが,焼き松茸,フライ、サラダ,洋風土瓶蒸しなど自在に料理してくれた。メニューは手書きで,旬の食材によって結構な頻度で変わる。今日はコハダ。穴子。鱧を食べた。メニューを写真に載せたので,写真の料理を当てて欲しい。今回はパスタにしたが、定番で外せないのはカツサンドだ。もともとトンカツが好きで色々歩いたがたが,一流プロのトンカツに勝るとも劣らない旨さである。シェフは揚げ物は得意と見たが,豚肉も良いのであろう。まるでイベリコ,ベジョータかと思わせる脂の旨さである。
職人の腕は,同業者でないと本当はわからないものだと思うが,たそがれは,日本料理かんだの主人神田氏も足げく通い,著書まで贈呈していた。
暗闇坂の下のビルに入っていて入り口は閉まっているので,予約は必定だが,中は至って開放的だから気楽に尋ねられるのが良い。蛇足ながらシェフはリーゼントのイケメンだから,女連れは心して行かれるが良いだろう。

Patisserie ondine「パリのケーキが復活した」

先日オペラシティのクラッシックコンサートに行ったら,ホワイエにこのお店が開店祝いで出店していた。珍しいことだが,なんでもオーナーのパティシエの一人がクラシック音楽業界の人らしい。その時買って来たのはドライケーキだったが美味かったので東麻布のお店に出かけてみた。お店の外観は特別感はないが,入ると一際綺麗なケーキが目に入る。このような繊細ないかにも高級そうなケーキはパブルの8,90年代には一世を風靡したが,いつの間にかなくなってしまった。今面影があるのは、せいぜい帝国ホテルのガルガンチュアくらいかもしれない。店内にはイートインに近いカフェコーナーが設けられているので,夏らしいものを選んでもらい,アイスティで一服した。食べてみると,懐かしくもとても新鮮で美味い。フルーツとシャンパンとスポンジとクリームのあしらいが絶妙。パリ帰りのパティシエで有名になった店はいくつもあるが変に日本風にアレンジし過ぎている。オンディーヌの菓子にはパリの伝統が息づいていてフランス人には嬉しいだろう。その日も若いフランス野郎が一人で食べていた。
近くにPSTという美味いピッツェリアがあるが,これでまた東麻布に麻生十番に勝る店が一つ増えた。

寺子屋 すし匠 「すしショーに参加して,満足してまた予約する」

四谷すし匠はつとに有名で,新参者は出入りできず,行ったことはないが,麻布台ヒルズに新店舗を構えたいうのでチャンスがあるかもと電話してみたら,キャンセル待ちで受付てもらえて1月ほどして初訪問となった。一度行けば次の予約が取れる仕組みである。予約は約半年後になったが,その間にキャンセル待ちがまた来てそれにも行ったら、間隔は3ヶ月になったという訳である。そんなんでもう4-5回は行ったので大体のようすはわかったつもりでいる。鮨の旨さは当然として,一言で評すればオーナー中沢氏演出のショーが始まり,客はそれに参加して,満足して次回のショーを予約して喜んで帰るという構図である。今のスターはすし匠の番頭杣木氏である。すし匠は弟子の育成に熱心で吉田松蔭の彫刻を冷蔵庫の扉に配して店の名前も寺子屋がつく。教育は全寮制の体育会系であるから、そこで長年寮長をして人望を得たのが彼であり,その寝食共にした信頼関係はゆるぎないものとなり、店の流れは阿吽の呼吸で,まるで一つのチームのショーを見るかのようである。酒のアテと握りが交互に出され,その間にも客に退屈させないように等しく話し掛ける。それは客に押し付けがましいところはまるで無く、ショーに参加して楽しい気分にさせてくれる。鮨の話をすると,シャリの旨さが卓越している。赤酢と白酢のシャリを使い分ける。箸でとると割れてしまいそうな握りであるが,今風に小降りで食べやすく,どれもハズレはない。握りは一通りコースで出たあと,コースに入っていなかったものを中心に本日のネタが示されアラカルトで注文出来る。いくつ頼んでも良い。最上等の大トロを巻いてもらうこともできる。握るのは杣木大将だけだから客も変な気遣いもいらす安心で切る。料金も常識の範囲であれば、5をこえることはない設定みたいなので,気遣いなくたくさん食べた方がお得な気がする。運が良くチケットが手に入るならば金を借りてでも参加するのをお勧めする。最後に一つご注意を。次回の予約ができるのは1組だけだから,その権利を同行者に譲ってしまうと自分は途切れしまう。情けはかけないことである。

麻布台 粋 稲葉「銀座の名店が麻布台でカジュアルに登場」

親方を頭に、調理場、客席のスタッフの連携がよく居心地が良い.アラカルトも豊富で、こちらのペースで食べられるし、シェアの対応もとても良い.洗練された和食屋としても高級居酒屋としても使い勝手が良い、ありそうでなかなかない貴重なお店、難点は、間口が広く開放的すぎて食べながら外が気にになることだな。これはひと工夫欲しい。

旅館花屋「素晴らしい建築,庭園と料理のギャップに驚く」

別所温泉の風情と秋の松茸を食べたくて来訪した。夏に一度殆ど行き当たりばったりで宿泊したことがあり,大理石のお風呂の大正浪漫のデザインが記憶にあり、今回はかなり前から計画を立てて来た.改めて素晴らしい建築である.庭の多くを占める池を四方に渡る回廊はデザイン的にも美しい。部屋の床の間の書院作りも,当時の和モダンなのか、障子の桟の組手も粋である。評判のお風呂はもともと混浴であったものが今は一つになっているので最初は躊躇うが,中のステンドグラスの配置などのデザイン性はなかなか類を見ない見事なものであるし,個室の露天風呂も、その意匠を組んだ源泉掛け流しであった.シガールームも設けられ,共用部分も私用部分も設えは5つ星であるが,温泉旅館の楽しみのもう一つは酒と食事であることに異論はあるまい。さてこれだけの建物に見合う料理はなかなか難しいところではあろうが、残念ながらあまりにもバランスを欠いていた.当日は松茸尽くしの特別料理を奮発して予約してあったのだが、一言で言えば修学旅行に毛が生えた程度のものであった.まず出汁の取り方から学び直すことをおすすめしたい.松茸は包丁で切るものではなく、割くものであることくらいは都会人でも心得ている。煮る、焼くを携帯コンロで自分自身にさせるスタイルは料理としておかしくはないか.焼き松茸は包丁で切ったものを弱火で炙れば、ただ乾燥するだけで,香りも歯応えもあったものではないし,土瓶蒸しも茶碗蒸しも,松茸の香りを生かしたいためか出汁が遠慮しすぎていて空疎であり,期待した松茸も地元産ではなく香りも弱い.松茸に合わせて出汁をとり味加減もするべきであろう。さしみは仕方ないにしても、特別追加の馬刺しも,居酒屋並のものであった.キリが無いが,板前が変わったのかもしれないが,味のレベルを保つのは主人の責任,力量であろう.建物は良いし,料金設定も安くは無いのだから、修禅寺のあさばをお手本とするのを強くおすすめしたい。最後に清掃の行き届いているところはあさば並であったことを述べておかねば,不公平というものだろう。

ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー「玉村さんの築いた理想郷-訪れて誰しも心底,癒される楽園」

1980頃に読んだ「パリ旅の雑学ノート」で垣間見えた,博学ぶり,文才,画才の片鱗は「料理の四面体」から,その後の食・旅・農・ワイン・エッセイ・画文集に渡る膨大な著書に遺憾なく発揮され,私もそれらのほとんどに人生を通して付き合って来た.そんな彼が,40代後半の大病後,意を決して作り上げたのが,彼の理想のライフスタイルであるヴィラデストであろう。2003年にガーデンファームとワイナリーとして外部にオープンしたので早速尋ねたが,当時は農道のような道を迷いながら道を尋ねても,村人はその所在すら知らなく,もちろんナビには登録されていなくて,ようやく辿り着いた駐車場は畑を潰したような場所であった。それでもショップとレストランは,玉村色がよく出ており満足して帰って来た。その後みるみる変貌し,ワイナリーは日本を代表するソーヴィニオンブランとメルローワインの銘醸地となり千曲川ヴァレーを牽引するメッカになったし、レストランもテロワールとはこのことであろうと思わせる、東京では決して味わうことの出来ない一流の味とサービスを提供するようになった.ブドウ畑を眼下にガーデンの花々と青い空を眼中に,素晴らしい料理と美味しいワインを安価に楽しめるワイナリー文化を日本に実現した功績は我が国の食文化の歴史に特記されるべきものであろう。フランスからはシュヴァリエ勲章を受けているが我が国は文化勲章をなぜ出さないのだろうか。
秋の訪問は初めてであったが,夏の、軽井沢にも似た喧騒とは無縁の穏やかな優しい時間が流れており、文字通り心身ともに癒されて来た。いつまでも居続けたい、ため息の出るような楽園である。

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