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グルマンライフ

ル・クリスタリーヌ―光の演出の正体は?

小生も、今流行の糖質(炭水化物)ダイエットを始めて、5か月が経った。お蔭でめっきり外食の機会も減り、従ってアルコールを飲む機会も減り、酒量も一段と減った。それは年のせいもあるのだろうが、ワインなどグラスの3杯も飲めば早くも酩酊状態になる始末である。しかし、それにはそれで良いこともあり、お蔭で糖尿病の指標でもあるヘモグロビンA1cは6.8から5.8と正常になった。
そんな近況の中で、久方ぶりにフレンチレストランに行った。青山は骨董通りのニッカビルの横を入ったところにある「ル・クリスタリーヌ」である。この店は、小生の唯一の芸能関係の女友達K.L嬢の行きつけで、これまでに数回来たことがあったが、今回は美女4人を交えて初孫誕生のお祝いをした。
ル・クリスタリーヌの名前の由来はマドモアゼルの名前かと思ったが、クリスタルから来ているそうで、お店のキャッチは食事と光のハーモニーだそうである。お店は入り口にオープンテラスがあり、花の鉢も置かれ、女性受けを狙った店作りであろうが、全体のインテリアのセンスは昭和チックであり、現在のこの界隈のモードからは少しずれているような感じである。
昔のことは知らないから、本当のことは分からないが、イタリアンのキャンティやアントニオのように、かつては自他ともに認める最先端のレストランであったのが、今はノスタルジックに時代性から遅れているのに、それに気付かない、変に洋食屋っぽい、奇妙なちぐはぐさがあるように思えてしまうのである。

さて注文したのは「6月の料理フェア、フランス風ローストビーフ&ワインフェア」でワイン飲み放題のコースであった。実は予約を決めた時点では、アスパラガスのコースがあったのでそれにしたのだが、当日行ってみると、終わっていてないという。少々合点がいかなかったが、自分で直接予約をしなかったから、誰のせいにするわけにもいかないが、店のホームページにも限定期間を載せるべきではなかったかとは思う。

さて、当日の料理をご紹介しよう

鯛のマリネとブロッコリ―のタルタル、 赤スグリのドレッシング

鯛のマリネとブロッコリ―のタルタル、
赤スグリのドレッシング

フォアグラとトリュフのスクランブルエッグ

フォアグラとトリュフのスクランブルエッグ

冷製人参のポタージュオレンジ風味

冷製人参のポタージュオレンジ風味

お口直しのシャーベット

お口直しのシャーベット

ブルゴーニュ風ローストビーフ

ブルゴーニュ風ローストビーフ

パリ風ローストビーフ(マッシュルームのソース)

パリ風ローストビーフ(マッシュルームのソース)

フランボアーズとシャンパンのスープ パセリのアイスクリーム添え

フランボアーズとシャンパンのスープ
パセリのアイスクリーム添え

白ワインはミッシェル・ランシュ(ソーヴィニオン・ブラン)
赤ワインはヴァルモン(カベルネ・ソーヴィニオン)

最初のオントレと最後のデザートのお皿はテーブルの下からライトが射し込み、ガラスのお皿を通して料理が光る寸法になっているのである。これこそがお店の名前の由来となった光の演出なのである。

小生のグルマンライフで取り上げるお店の採用基準は、1)高級だが、確かにそれだけの価値がある処、2)安いが美味く、コストパフォーマンスがとても良い処、3)お店のホスピタリティが並はずれて優れていて居心地が良いところ、4)お店のインテリア、設えが非常にセンスが良く群を抜いている処、5)今は未完成で問題もあるが近い将来は大化けしそうな予感がする処、などであるが、クリスタリーヌは、正直どれにもあたらない。

しいて言えば立地、店構えの割には価格設定が安いことであろうか。ディナーコースでもランチメニューがあり、1750円、3800円、5500円、それに季節替わりのスペッシャルコースで7500円である。もちろんアラカルトもある。おそらく廉価なコースではコスパが良いのではないかと推察できるが、味に特段拘らなく、ワインをたくさん飲める人は、飲み放題にしてはワインの選択が良いので、店のスタッフの心配を気にせず、どんどんリクエスト出来る人ならスペッシャルコースが価値があるかもしれない。
但し、フロアースタッフは慇懃無礼を絵にかいたような態度で、いくつかのグラスのワインが干されていようと、遠くに立っていて、声を掛けねば気にも留めない風情なのである。

そして何よりも、当店の最大の取り柄は、光のパフォーマンスに感動してくれそうな、未だ大人のレストランも南青山界隈も未体験なウブな女子を喜ばせるには最もコスパが良いと言える点であろう。

ちなみに光の演出は、決して前もって、連れには教えないのが鉄則である。
それはミステリー小説のトリックを教えないのと同じである。

逆にあらゆる点から、オヤジだけで行っては、意味がない店であると断言できるのもル・クリスタリーヌである。

紀尾井町オー・プロヴァンソーの春の風物詩―白アスパラガス尽くしの献立

紀尾井町オー・プロヴァンソーの春の風物詩―白アスパラガス尽くしの献立

3月になると、紀尾井町の中野食堂、ビストロ「オー・プロヴァンソー」では恒例のホワイトアスパラガス尽くしの特別コースメニューが始まる。フランスはロワール産のホワイトアスパラガスを使うので、3月いっぱいで終わってしまう。
フランスではホワイトアスパラガスは一般には5月が旬であるから、フレンチでも和食の筍のように新物が珍重されるのであろうか。
アスパラ尽くしは、昨年もこの欄に載せたが(グルマンライフ2015.3.18)、今年の料理はまた一段と進化していたので再びご紹介しようと思う。このコースメニューは3月いっぱいはやっているので興味がわいたらお試しくださればと思う。
今回は縁あって、グルメでも知られた高名な脚本家S女史とご一緒したので、中野シェフも一段と張り切ったに違いない。従って今回ここでご紹介するメニューはS女史向けスペッシャリテになっていますので、通常のコースメニューとは多少異なっていますが、それは有名税を払っている人だけの特権的役得分とご理解くださればと思います。

1.フレッシュのサラダ仕立て。
紀尾井町オー・プロヴァンソーの春の風物詩―白アスパラガス尽くしの献立
半生に火入れしたランゴスティ―ヌと鮑をスライスしたものの上に アスパラガスを生のまま薄くスライスして乗せて、生雲丹のソースをかけた一皿。アスパラガスが野生のウドのような食感で新鮮であり、手長海老と生雲丹のソースとのハーモニーも抜群であった。

2.フラン(茶碗蒸し)
紀尾井町オー・プロヴァンソーの春の風物詩―白アスパラガス尽くしの献立
ホワイトアスパラガスを濾したものに生クリームと卵黄を加え、毛蟹のほぐし身を加えて蒸して茶碗蒸し様に仕立て、カプチーノの泡に黒胡椒を振り掛けたもの。

3.蒸したアスパラガスを海苔のソースで
紀尾井町オー・プロヴァンソーの春の風物詩―白アスパラガス尽くしの献立
ホワイトアスパラガスは皮に旨味があることは良く知られている。だから剥いた皮と一緒に茹でるのが良いとされているが、それなら蒸した方がうま味が逃げないだろうというのがプロの発想なのであろう。蒸したアスパラガスにヴェルモット酒で蒸した蛤とその出汁に生海苔を入れたソースで頂く春満開の一皿。

食事中の会話では、S女史が手掛けた美容外科クリニックを舞台にしたドラマが話題になり、そこで監修などで協力した医師の多くが小生の近い知り合いであったり、なかには、おかしなGMエピソードを繰り返す某女医の話などが共有出来たりして面白かった。またS女史の、J女子大付属高校の思春期から成人期に至る4人の女性を描いた小説の主人公の一人のモデルとなった人が小生の医局の後輩であったりして、世間の狭さに改めて驚いた。
また「先生(小生のこと)はいい歳になってから、何故、形成外科から精神科に替わったのですか?」と質問を受けたので、「精神科は、形成外科の対極にありながらも、何処かで繋がっており、それは私にとって影(アニマ、アニムスのように)のようなもので、これを体験することによって、自己実現が出来、人生の終盤に当って自分の統合が図れ、無事に成仏出来るのではないか、と考えたからです。」とお答えした。
実は、一人の作家(含む脚本家)の書く小説をフィクションとし、エッセイをノンフィクションとして読むと、作家は自分のいくつもの影を小説の中の主人公に投影して、いわば自己実現をはかっているのではないだろうかと思え、だからこそ小説家は案外「老いる」ことのストレスが少なく長生きするのではないか、と不遜にも思ったりしたが、それを確かめる機会はなかった。
ジルサンダーを粋に着こなすS先生においても、その風貌からは伺い知れない、大胆な多面性があるのではないかと怪しんだが、それを確かめるのは、せめて次の機会以降にすべきかなと思い、今回は言葉を飲んで食事に集中することにした。

4.蒸したアスパラガスをオランデーズソースで
紀尾井町オー・プロヴァンソーの春の風物詩―白アスパラガス尽くしの献立
定番のオランデーズソースであるが、エストラゴンを漬けたビネガーで酸味を補ってオリジナリティを出している。程良い硬さに蒸したアスパラを丸ごと頂く。
小生はもともとビネグレットソースの方が好みであるが、それはおそらく40年前にパリのビストロで初めて食べたホワイトアスパラガスがそれであったので、その初体験の味が忘れられないからだと思う。若き日の、5月のマロニエの新緑の眩しいテラスでの食事は今でも目に浮かぶ。

5.フランス産仔牛フィレ肉のロースト
紀尾井町オー・プロヴァンソーの春の風物詩―白アスパラガス尽くしの献立
絶妙な火入れでローストされた仔牛のフィレ肉にホワイトアスパラガスを短冊切りにしソテーしたものを載せ、海老と黒トリュフのソースでいただく一皿。
シェフの仔羊のローストもまた逸品で、小生の「最も美味しい一皿」の一つだが、このロティの火加減だけはそのうちに盗みたいものと狙っている。

6.チーズはエポアスと、ブルー・デ・コース、ミモレットの盛り合わせで。
7.デザートはデコポンのコンポート
紀尾井町オー・プロヴァンソーの春の風物詩―白アスパラガス尽くしの献立
デコポンのコンポートにメレンゲを混ぜたフレッシュチーズとクランブルのクッキーが添えられ、ライムゼストとオリーブオイルがかけてあった。デザートはその他にモンブラン、フレッシュイチゴのデザートなどがあり、皆がそれぞれを楽しんだ。

以上、料理はホワイトアスパラガスの滋味をとことん引き出すために、クラッシックな手法から和風テイストにモディファイされたものまでと、シェフの力量がいかんなく発揮されたものであり大満足であった。
料理は星つきのグランメゾンに劣らないものであるが、プライスはビストロレベルであるのが、小生のような年金生活者にはまた殊の外、嬉しいのである。

中野シェフは京橋のシェ・イノで修業し、溜池のボンファムでシェフとして腕を振るいながら自らの料理のスタイルを作り、現在のオー・プロヴァンソーのオーナーシェフとなって9年目という、まさに脂の乗り切っているフレンチのプロフェッショナルである。

小生が医学部の教員をしていた頃は、臨床、基礎研究ともに『守・破・離』を信条として、自らも、そして後輩達にもその様にあるように指導してきた。

「守」とはこれまでに到達された学問、臨床を徹底的に学習し自分の身に着けるようにする、「破」は、それらが本当に身に着けば、それまでの到達地点の限界が綻びのように見えてくるという意味である。そしてやがてその先を行く自分のオリジナリティが出てくる、つまり「離」となるのである。

これは半導体や光ファイバーの開発者である文化勲章の西沢潤一先生の著書「独創するは我にあり」から拝借した研究者としての姿勢の理念であるが、同じことは料理人にも言えると思う。
シェフ中野氏はシェ・イノで師匠の鉄拳を浴びながらも毎日毎日同じソースを作りながらフランス料理の基礎を身に着け(つまり「守」)、ボンファムで責任者になると自分の料理のスタイルを模索し始め(つまり「破」)、そして目途が付くと自分の店を持ち、更にスタイルを深化させ、今まぎれもなく自分流を確立した(つまり「離」)のではないかと思う。

小生は未だ一年足らずのお付き合いであるが、この間にも料理は確実に進歩し、今や自分の料理に迷いが無く、自信に溢れているのが良くわかる。多分イメージした料理が自由自在に融通無碍に作れるのであろう。客のリクエストは何でも受けるという、いかにもプロフェッショナルな料理人のスタイルが僕の感性によく合うのである。
それにユーモアを解し、会話のセンスも良い。

おそらく、三つ星、二つ星クラスの有名店は殆ど御存知であろう、グルメとしても有名なS女史も、今回のホワイトアスパラガス尽くしのメニューにはご満足いただけたのではないかと思っている。というのも、中野シェフの志のある料理人こそが達し得る卓越したセンスの良さを、作家の鋭い感性で、感じとって頂けたのではないかと思うからである。
紀尾井町オー・プロヴァンソーの春の風物詩―白アスパラガス尽くしの献立

中華の新星、荒木町「の弥七」―店主は天才料理人なのだ

金柑のおかゆ

金柑のおかゆ

 私の食の情報源である「東京最高のレストラン」2015年版、週刊文春の「切り捨て御免!食味探検隊」、尊敬するフードジャーナリスト犬養裕美子レストランガイドの3本立てで激賞されていて、行かない手はないと思いつつも同伴相手に恵まれず放置していた、荒木町の中華料理店『の弥七』にようやく行った。何の因果かOIN高校の同窓会を荒木町でやることになり、なんとその一人が手練手管にものを言わせ、直前にも拘わらず、『の弥七』の予約をとってきた。

 私の居た大学病院の形成外科は、最近は女医の入局が多いのでありますが、昔は山岳信仰のように女人の入山は禁止であったにも関わらず、たまにはぽつぽつとは居り、その多くは付属の女子高出身者かOIN高校の出身者であった。
私の知るOIN出身者の共通点は皆酒豪であるコトである。男勝りというより、まるでウワバミ親父のような酒の飲みっぷりなのである。塩をなめてでも飲む、倒れてでも飲む勢いなのである。もちろん、才色兼備を誇るOIN出身者の多くは決して彼女達と同類だとは思いませんし、思いたくもありませんが。

 今年の専修医の一人がやはりOIN出身であり、卒後10年位の某S会病院の形成外科部長をしているM.W嬢と膝を詰めて一献飲みたいという強い要望があり、そこで優しい先輩を自称する私が一肌脱いで同窓会を設定したのである。私はもちろんOIN出身であるはずもないのにかかわらずです。

 M.W嬢は国立C大の学生時代から千葉の某FM放送局のパーソナリティをしており、未だにその電波エリアの男性諸氏(すでに中年男になってるはずだが)のアイドルであり続けながら、今は荒木町を夜な夜な徘徊しているうちに数多ある荒木町の料理屋、飲み屋のオヤジさんたちのマドンナにもなっている関係で、この界隈の予約の取れないお店でもいとも簡単に席が取れるのである。

前菜の3段重

前菜の3段重

一の重:焼ごま豆腐、九条ネギのポン酢かけ

一の重:焼ごま豆腐、九条ネギのポン酢かけ

二の重:よだれ鶏

二の重:よだれ鶏

三の重:八寸

三の重:八寸

 さて『の弥七』であるが、この妙なネーミングは実家の高知の中華料理屋が「風車」というので、その続きの『の弥七』としたとの事であるが、ちなみに店員に尋ねた時には、「肩車の弥七」といわれた時は戸惑ったな。店員の勉強不足が目立つ店ではあったな。
 場所は、荒木町の杉大門通りと外苑東通りの交差する辺りで、あのやたら元気な岩井食堂の先である。

寒ブリの刺身

寒ブリの刺身

銅製の醤油差し(ナンプラーベース)

銅製の醤油差し(ナンプラーベース)

 料理は中華というより、基本は和食をイメージさせる食材を和食器を使って盛り付け、調味料など味付けは、中華風からエスニック風まで独特の個性を出しているものである。
 まずは、そのうまさには驚く。私の評価は店主、山本真也氏は天才であるというものであった。ヌーベルシノワで鳴らした千歳烏山の広味坊から幡ヶ谷の美虎(みゆう)に移った五十嵐美幸氏とは、一味もふた味も違う。五十嵐氏の料理も登場時は感嘆と称賛で歓迎されたが、いわば想定可能な範囲での革新であり、山本氏の料理は想定外のものと言えよう。想定外の食材を組み合わせて、想定外の調味料で見事なハーモニーを作り出す感性は、やはり天分のものとしか言えないだろうと思う。研鑚とか頭の中での計算では作り出せないバランス感覚は、まさに食材の波動と料理人の波動が共振共鳴したとしか説明のつかないものであるとさえ思う。

揚げた黒豆とカラスミ入りの焼き餅

揚げた黒豆とカラスミ入りの焼き餅

茄子の唐辛子煎り

茄子の唐辛子煎り

ウーロン茶ミントティ

ウーロン茶ミントティ

 訪れた当日は春節、旧正月であったことも計算されてか、黒マメの揚げたものとか、カラスミを閉じ込めた焼き餅が出た。三段重の前菜は得意な定番と八寸のような感覚の重であった。最後は土鍋炊きのご飯と耐熱容器に入った麻婆豆腐がお約束のようであるが、間に出るミントティもCICADAに負けないうまさであった。
 僕はプロではないから、微妙な味付けの表現は出来ないが、今までに味わったことのないものがこれでもかと出され感動の連鎖であった。

土鍋の白米

土鍋の白米

麻婆豆腐

麻婆豆腐

甘夏入り杏仁豆腐

甘夏入り杏仁豆腐

 料理は6500円、9000円が基本で、前日予約が必要な12000円のコースがあるらしいが、僕たちは初めてでもあり6500円の料理を食べ、質、量ともに十分に満足できるものであったが、やはり9000円のコースにすれば良かったと後悔した。これ以上だと一体何が出るのだろうと、思わず期待させたのだ。

 会計をしながら、早く裏を返さねば、と思いつつ、さて次の相手は誰にするかと不埒にもふっと思ったのである。OIN嬢たちよ、許されよ。

 惜しむらくは、店のインテリアのチープさである。味は特級でも、インテリアが情けなくては気分が盛り上がらず、デートには使えないからなあ。OIN嬢たちよ、安心されよ。

 

月島ホルモン「在市」-飛騨牛で京風ホルモンを食す

ごちゃまぜ焼き

ごちゃまぜ焼き

 小生のホルモン好きは既に何度となく述べてきた。ホルモンといえば、昔は豚の腸や肝を串に刺して焼き鳥風に焼いたもつ焼きが主流であり、それが赤ちょうちんの焼き鳥の定番であった。
 今は、ホルモンといえば、焼肉屋の牛の大腸、小腸、胃袋、横隔膜などが一般的になってきた。
小生は赤ちょうちんの焼きトンも好きだが、現在は、昔のように丁寧な下ごしらえとタレに凝ったいい店がなかなか見つからない。(吉田類の酒場放浪記では良く登場するのに、なんでか?)
 昔は新宿西口の大ガード裏の小便横丁(現おもいで横丁)や渋谷の京王線ガードの近くには旨いモツ焼きの店が沢山あった。シロ数本でカストリ焼酎を一杯やるのが、田舎からポットでの学生にとって、大人になったような精一杯の背伸びであったような気がする。その後社会人になって、未だ飲酒運転が犯罪では無かった頃は横浜反町や国立駅裏の焼きとり(モツ)屋にも良く遠征したりしたものだった。又手術が深夜に及ぶときは、信濃町から深沢までお気に入りの店にテイクアウトで買いに行ったりもした。

 渋谷の「ゆうじ」を始め、いくつかのホルモンの名店を覚えて以来、小生は、ここ数十年はホルモンが、焼き肉の代名詞となったが、近年は巷でも牛ホルモンは大人気である。しかし数年前から食品衛生法がうるさくなり、生レバー、ユッケが消えてしまい少々興ざめの人も多いのではないでしょうか。20年ほど前は、四谷荒木町ではレバーに限らず、多くの消化器系、生殖系の臓器を生でスライスして出す店があり、しばしば通ったものであったが、今思えばぞっとするような話ではあります。

店内風景

店内風景

 さて、今回紹介するのは、月島にあるホルモン屋「在市(ざいち)」です。
 月島といえば下町のB級グルメ(もんじゃ)のメッカのような印象がありますが、月島は行ってみると、街並みは清潔でスッキリしており、建物も小奇麗なものが多く、意外な感じを受けます。(該当区民の皆さんには失礼しました。)
 在市も焼肉屋としては、モダンな清潔感のあるインテリアのお店で、赤坂あたりで名を成しているような焼き肉店よりかなり洗練されている。
 オーナーが岐阜県の出身だそうで、その縁で飛騨牛の上ものが手に入るので飛騨牛専門店を名乗っているようです。飛騨牛といえば、元は松阪牛の名牛一頭を仕入れたことから始まり、努力の甲斐あって昨今は松阪を超える程のブランド化に成功したものであります。

 小生は昨年の後半に3度立て続けに訪問しており、行けば目一杯食べて来るので、おおよそのメニューとシステム、店の雰囲気は理解したつもりです。
 お店はテーブル席が大小5つくらいとカウンター席があります。その他にも2階もあるようです。カウンターには座ったことが無いので分かりませんが、テーブル席はかなり強力な吸煙装置が付いており煙が目に沁みるようなことはありません。それに、火力は炭火ですが、焼き網が独特で、まるでジンギスカン鍋のような形(そのもの?あるいはプルコギ鍋?)をしており、焼いた肉から出る油が溝を伝わって鍋の淵に集まるので、炭に落ちて燃えて煙が出るようなことはありません。従って団扇や氷で煙処理をする必要が無く、良いアイディアだと感心しました。

牛の部位イラスト

牛の部位イラスト

 メニューは豊富で、牛の殆どの部位が食べられますが、肉の部位の名称が立派なイラストになって壁掛けになっていて、あらためて見ると勉強になります。
 基本はお店の薦めに従って食べればハズレはありませんが、店員の知識量に差があり、また、ここでは肉はお店の人が焼いてくれますが、それも技術力に差があり過ぎるのが当店の最大の課題ではあります。これは鮨屋の握り、あるいは花屋のアレンジメントと同じで、誰に当るかで差が出てしまうので、初めてでも遠慮することなく店長にお願いするのが賢明かと思います。何でもそうですが、肉であっても、その物語性を説明してくれると価値、旨さも増すものです。

 ある時、面倒だと思って、始めの注文時に、まずグラスビール、次は赤ワインをボトルでと同時に頼んだら、最初にワインをもってこられたことがあった。唖然として、注意すると、「なぜイケナイカ?」という顔をする位のレベルで、せっかく良い店なのだから、バイトといえども従業員教育にもう少し気を遣った方が良いのではないか、と改めて思ったものだ。

 この感覚は、食べ方の順番にこだわらない (一部の) 群馬県民の作法と同じではないかと呆れた。

下町といえば、所作と建て前、粋を売りにしているのではなかったの?と。

大判ロースの薄切り

大判ロースの薄切り

卵をつけて食べる

卵をつけて食べる

 さて、肝心の肉であるが、まず飛騨牛のロースの薄切り大判を食べるのがベストの選択であろうと思う。一皿にA5ランクロース肉80グラム見当が二枚付いて2000円しないのはかなりのお値打ち感があるし、これをレア加減で焼いて溶き卵につけて食べると、高級なすき焼き屋で仲居さんが焼いてくれて一口目を食べるのと同じ感覚になる。肉が大きいだけにもっと感動が大きいかもしれない。一緒に行った連れの女子大生が、すかさず、「白いご飯を下さい」と注文した時は、してやったりと、こちらも嬉しくなったものだ。但し、これは最初に食べないと感動が薄い。試しに最後にアンコールしたことがあるが、やはりホルモンの後ではこうはいかなかった。

ごちゃまぜ焼き、焼き上がり

ごちゃまぜ焼き、焼き上がり

ホルモン九条ネギ焼

ホルモン九条ネギ焼

 この店のレベルが確認出来たら、次は本番のホルモンだ。タンはやや厚切りで食べごたえがあるが、それほど個性的ではない。お奨めは「ホルモンごちゃまぜ焼き」だ。シマチョウ、マルチョウ、テッチャン、ミノ、ハチノス、ハラミなどをごちゃまぜにして自慢の味噌だれに付け込んであるモノを焼いてくれる。モノによって焼き時間に差があるので、注意深く焼き分けて、焼き上がると端に置いて薦めてくれる。これはまさしく京都で食べるホルモンそのものである。京都は全般に繊細な料理の仕方を得意とするが、一方でホルモンの食べ方は大雑把で豪快である。京風では付け込む濃厚なタレが店の勝負らしいが、塩コショウで味付けし九条ネギをたっぷり乗せたホルモンネギ焼もまた美味い。後はイチボ、ハラミ、トモサンカク、ザブトンなど皆美味いが、一皿のボリュームもそこそこあるので一度の訪問では到底全部は食べきれない。従って、遠方にも関わらず、つい何度も通うことになるのである。メニューにある飛騨牛の土鍋ご飯も美味そうだが、残念ながらそこまで到達したことはない。
 食後のハーブティも本格的だし、デザートのプリンもアイスクリームも良かった。

ハーブティ

ハーブティ

老人には美少女が良く似合うのだよ

老人には美少女が良く似合うのだよ

 焼肉屋としてもかなり上級な店といえよう。元祖、青山の第一神宮のような高級店志向ではなく、かといって昔からありがちな乱雑な構えでもなく、また叙々苑のような一定の規格にはまったチェーン店感も無く、個性的で客とも一体感があり、コスパも良い。運よく「良い係りさん」に当たれば、かなり満足度の高いお店である。

 オーナーが時々巡回しては、大声で店員に檄を飛ばしていて、こっちが驚いてビビることがあるが、その教育熱心さをホールのアルバイト店員にも及ぼして欲しいと思うのは小生だけではあるまい。

 ともあれ、久々のホルモン、焼き肉店のヒットであることは間違いない。

 

京都「未在」から青山「宮坂」へ-「プリズマ」斎藤シェフ推薦の京懐石


プリスマの斎藤シェフがかねてより贔屓にしていて、絶対行くべきと、薦めてくれていた京都「未在」のスーシェフ(二番手板前)が青山根津美術館脇に新店を構えた。(本当は何番手であったかは定かではないが)
斎藤氏の紹介を受けて、この度訪問してみた。

 「未在」は、推薦されて間もなく、「ミシュラン京都版」が出るようになり、いきなり三ツ星をとったため、予約がすっかり取れなくなってしまい結局行かず仕舞いになったままであり、その味も雰囲気も知らないので、今回は、全く先入観なしでの初訪問となった。
 根津美術館の角の交差点を西麻布に抜ける道に入り路地3本目に立つビルの地下にあるが、店の名前も出ておらず、また入り口もそれらしくないので、割烹着のお兄さんのお迎えが無ければ、おそらく戸惑ったと思われる構えである。

インテリアは、旧家の御勝手場を連想させるかのように、漆喰が煙でくすんだのをイメージしてか黒漆喰で壁一面が塗られていた。飾り棚風なところが、床の間に見立てて一段高くステップが切られ、そこに掛け軸と生け花が置かれていた。書は茶事好みの趣味の良いものであり、投げ入れは椿の一輪であり、漆喰壁と良く調和し、ワビ、サビを上手く演出していた。
炭を入れた七輪が置かれた焼き場は黒光りした銅が漆喰の枠に塗られて区切られており、それが黒壁と色彩がとてもマッチし、デザイナーの非凡なセンスの良さが際立っていた。
カウンターは大きな一枚板であるが、木目が浮くようにはっきりしたもので、どうも檜ではないようであった。

まあ、一言でいえば東京ではあまり見ない新しい和のセンスの、ひいていえば京都「中東」の竃を連想させる素朴でありながら重厚で、さてここで何が出てくるかと大いに期待を誘う雰囲気をつくりだしていたのである。

 料理の献立は、食べログに既にいくつかのコメントで紹介されており、それと内容が同じだったので、ここでは説明は省くが、料理は総じて第一級のものであった。食材の選択では、京都の一流料理人のプライドが滲みでるものであり、野菜はすべて京都産を使うなどの京料理への強い拘りを感じさせたが、写メは禁止であったので、器や盛り付けのセンスをお見せできないのが残念である。
 しいて言えば、松葉ガニの真薯の椀は、最初こそ出汁の香りが強く鼻腔を刺激するが、カニをほぐすうちに、間もなく香りが立消えてしまったのは少々残念な気がした。
 器の趣味も良く、焼き物は京焼と唐津の新物を中心にかなり洗練されたもので揃えられていた。盆,椀などの塗り物もおそらく輪島の良いものであったろうと思う。箸はお約束の濡れ箸であった。
 アルコールは日本酒は辛口の良いものが揃っていたが、グラスワインはプイィフュメとあと一種類で、料理に見合うものではなかった。ワインはプリズマのマダムのアドバイスが必要なようである。  
 終わりのご飯の赤だしが、京都の八丁味噌との説明であったが、八丁味噌とは、三河岡崎市八帖町の2社だけが持つ商標であり、赤だし一般とは異なることをご存じでなかったのには少々、意外で驚いた。

 僕の好きな根津美術界館界隈にまた一つ目標ポイントが出来た。B&Bもフェラーリもエルマンノ、セルヴィーノもいつの間にか消えてしまったが、代わりにこうした名店が忽然と現れる。東京とは、誠にダイナミックで目の離せない街である。

 「宮坂」は、おそらく来年の11月にはミシュランの星をとり、やがて3つ星になろうかと予測させる店であったが、そうなればそうで予約が取れない店になってしまうのかと思うと善し悪しで、気分は複雑になるのである。

 今年最後のグルマンライフを飾るに相応しい良店には違いない。

 

天麩羅『天真』-銀座だけではないぞ、天麩羅の名店 

 天麩羅は鮨と並ぶ、和食の雄である。
 日本の男は、人に紹介できるくらいの天ぷら屋の一軒位は常に持っていないと粋とは程遠いであろう。

 以前、赤坂の『楽亭』に20年以上通っていると、ここで書いたが(2013.7.6.グルマンライフ参照)、楽亭の主人が亡くなって、店も閉めたと聞いたのが、今回紹介する『天真』の亭主からであった。

 天真は、住所は平河町であるが、麹町駅からほど近く、小生の仕事場からも3,4分ほどの距離であり、ランチで天丼を食べに行ったりしているが、たまには人を招いてディナーで行くこともある、お気に入りの天ぷら屋である。

 天麩羅も、日本料理や鮨、蕎麦をはじめフレンチ、イタリアンでもそうであるように、系列と言うか店主の修行し育った出身店によっていくつかに大別される。

天麩羅は鮨に比べれば店舗数そのものも少なく、関東の天麩羅屋は「天一系」「天政系」「山の上ホテル系」「京星系」「みかわ系」くらいで殆ど網羅されるという。

 『天一』は銀座に大店を構え、弟子も一番多く、最も有名な老舗である。なかでも「天亭」は良く知られている。以前に紹介したが、天一は群馬の谷川温泉に建築家吉村順三の遺作となる「天一美術館」を持っている。(2013.5.16.CASA-AF参照)

 『みかわ』の主人も美術、書画骨董には一家言のある人でコレクターでもあるが、天ぷらの科学性にもこだわる人であり、それらが少々薀蓄、説教くさいと思うのは小生だけではあるまい。但し、天ぷらは説明通りに味わえば確かに旨い。

 『山の上ホテル』は、昔から作家が執筆に専念するように出版社から缶詰にされる宿として知られ、多くの文人がそこの天ぷらを贔屓にし、池波正太郎等が隋筆で紹介したためにつとに有名になった。歴代の料理長の多くが有名店を構えていて、『近藤』や『楽亭』がその筆頭格であろう。小生はなぜか「近藤」には縁が無いままであるが、「楽亭」には随分世話になった。

 『天政』の初代は、天ぷら紙に油が付かなかったという伝説があるくらいの天才職人であったらしいが(小生は実際には知らない)、その天政の一番弟子が『天真』である。
 天真の天麩羅は、四日市の九鬼のごま油と綿実油の混合で、衣をフワッと揚げるのが特徴で、「みかわ」のようにカリッと脱水させないところは『楽亭』に近い。最初にサイマキ海老から始まるのは定番通りだが、頭の素揚げが最初に出るところが面白い。多分それなりの理由があるのだろうが、未だ聞いてはいない。
 それと最後のご飯に、かき揚げをばらしてご飯にまぶした、「天バラ」というものがあるが、天政流なのであろうか。 
 天真の主人は、楽亭の故亭主と対称的に饒舌であり、世相にも詳しく教養も深い。特にワインには一家言がありそうで、ワインのストックも多い。
 ちなみに天麩羅には一本目はソーヴィニオン、2本目はシャルドネが彼のお薦めである。
 天ぷらはどれも美味いが、小生はメゴチや秋口のハゼなど江戸前の白身が特にお気に入りである。ソラマメ、アスパラや銀杏などの野菜系の揚げ具合も絶妙である。

海老の頭

海老の頭

サイマキ海老

サイマキ海老

銀杏

銀杏

キス

キス

稚鮎

稚鮎

アスパラガス

アスパラガス

メゴチ

メゴチ

椎茸

椎茸

大葉

大葉

ハぜ

ハぜ

ミョウガ

ミョウガ

レンコン

レンコン

ソラマメ

ソラマメ

穴子

穴子

天バラ

天バラ

 

 店は、カウンターの他テーブル席が一つと、揚場のついた個室が一部屋ある。無論目の前で亭主が揚げてくれる、お座敷天麩羅であり、神楽坂の『天孝』と同じスタイルである。仲間内でくつろぎたい時、お忍び、接待には使い勝手が良いだろう。

座敷

座敷

 今は、楽亭の後継として、それ以上に『天真』に大いに満足しているのである。

 

『すし家』のつまみ―才気と色気の備わった若きすし職人の作る技

 以前、この欄で「ようやく見つけた行きつけにしたい鮨屋」として紹介した「すし家」の話の続きです(グルマンライフ2014.5.28.)。

 親方の石山氏は30代前半とまだ若いが、鮨においては当然のことながら、酒のツマミにも研究熱心で、通う程に、時期に合った厳選された質の高い工夫に富んだものを出してくれる。
 料理の勉強熱心さでは人後に落ちないだろう。

 僕が紹介するまでもなく、彼はマスメディアにもしばしば取り上げられ、次世代のすし職人のホープとして注目されており、既に著名人の常連も多く、また最近では、外国人やご婦人のフアンも急増し、鮨よりも彼に通う人もいる程で、今や鮨業界のアイドル的なモテ様である。
 多分、小生のような凡百な男には分からない、女性を引き付ける独特な‘男の色気’がそうさせるのであろう。
 それでも驕ることなく、謙虚にひたむきに握り続けている姿を見ると、ますます将来が楽しみに思えるのである。

 先日行った時には、この休みの日には、静岡のお客さんにお供して、清水の鮨屋『末廣』に行って来たと話していた。
 『末廣』は、ハッキリ言えば、江戸前の本流とは外れた、インド洋のクロマグロなどの、謂わばネタの豪快さで売る個性的な鮨であるが、彼はたくさん勉強させてもらったと真顔で言っていた。

 実は何を隠そう、小生が鮨に目覚めたのはその「末廣」であった。
 もう35年近く前になろうか、出向で清水の病院に手術に行くと、手術が終わるや否や脱兎のごとく『末廣』に駆け込み、新幹線「東京行」の最終便までの間に、初めて口にするようなクロマグロのトロや炙り、炙って塩と柚子を振ったアナゴや生シラス、分厚い蒸しアワビなど未体験の高級鮨屋の‘すし’というものを毎回たっぷりごちそうになったものであった。
 まあ、それまでは、鮨らしい鮨など知らなかったので、驚嘆と共に一気に鮨に開眼したのであるが、その後、通ううちに『末廣』も隆盛を極め、迎賓館付の立派なお屋敷のような一軒家に新たまったのである。
 やがて清水に行く回数も徐々に減り、段々末廣通いの足も遠のいたのであるが、又時を同じくして、東京でも鮨屋探訪を始め、徐々に江戸前鮨に目覚めて行ったのである。

 まずは近所の下北沢の「こさざ」から始まったのだが、そこの親方の横柄さ、高飛車ぶりには驚いたものだが、当時は、それが良い鮨屋の証のようでもあったのだ。
 「こさざ」を持ち上げた山本益博がグルメ評論家として登場したばかりの、その後のバブル景気の息吹が生まれたばかりの頃の話である。
 「こさざ」の親方に閉口して、打って変わって愛想のいい銀座の『小笹』を贔屓にし、西荻の『たなか』に、次いで上野毛にあった『あら輝』や西麻布の『鮨寛』などにもしばしば通い、最近10数年は、閉める前の赤坂の『喜久好』が馴染であったが、その後はグルマンライフに書いた経緯で銀座の『すし家』に落ち着いたのである。

 鮨の好みは、ネタの支度もそうであろうが、結局はシャリの按配と握りの加減で決まると思うが、ここで、それについて講釈を述べるには、小生の知識も経験も足りず力に余るので、今回は酒のつまみを紹介して、若き親方、石山氏の力量を推察して頂こうと思う。
10月某日と11月某日のものの一部である。

1) 岩牡蠣

1) 岩牡蠣

2) 半生のくちコ

2) 半生のくちコ

3) 戻りカツオのスモーク

3) 戻りカツオのスモーク

4) 和風味のオイルサ―ディン

4) 和風味のオイルサ―ディン

5) のど黒の酒蒸し

5) のど黒の酒蒸し

6) いくらの醤油漬け

6) いくらの醤油漬け

7) シャコ

7) シャコ

7) シャコ

7) シャコ

8) 香箱蟹

8) 香箱蟹

9) のど黒の炙りの芽ネギ巻き

9) のど黒の炙りの芽ネギ巻き

10)鮟肝

10)鮟肝

11)自家製からすみ

11)自家製からすみ

11)自家製からすみ

11)自家製からすみ

12)自家製ホタルイカの味醂干し

12)自家製ホタルイカの味醂干し

13)アナゴの白焼き

13)アナゴの白焼き

14)さばの棒ずし

14)さばの棒ずし


最後に握りのお気に入りも少々載せておきます。

平目のコブ締め

平目のコブ締め

縞鯵

縞鯵

サイマキ海老

サイマキ海老

ずけ

ずけ

こはだ

こはだ

雲丹

雲丹

卵焼

卵焼

 

男の食卓

 前回、この欄で‘女性との夢の食卓’を書いたら、「あいつは女としか飯は食わないのか」と言われたりして内外での評判が、はなはだ良ろしくなかったので、今回は‘男の食卓’について書こうと思う。
 一般にレストランでの食事は同性どうしで、とりわけ男同士でするものではなく、特にフレンチやイタリアンでは、それはお店に対してマナー違反というものである。
 お店の雰囲気を損なうからである。
 たとえ男が、小奇麗なセンスの良い出で立ちで振る舞おうと、男だけでテーブルを囲む姿は、良からぬ企みか取引き、贔屓目に見てもビジネスがらみであろうと思わせ、所詮はむさくるしいのである。特にダークスーツ(ビジネススーツ)で揃っていては最悪である。少なくともカップルで食事を楽しみながら、恋を語らっていたり、思い出作りに浸っている人達には迷惑であろう。

 ヨーロッパでは男が二人で食事をしていれば、通常はホモと解釈されるそうである。
しかし我が国には、古来、接待と言う文化があり、男同志でも恥ずかしくない場所、むしろその方が良いというところもあるようである。小生には縁がないが。そういうところには、(料亭とかお茶屋であろうか)なぜか都合よく女性がはべっているのである。

 一方、気の置けない男同士が似合う場所もある。小料理屋やおでん屋、焼き鳥屋、板前割烹、すし屋、天ぷら屋の類であるが、昨今はそこにも女類を引き入れたりするものだから、自然に女類だけでも出没するようになり男の聖域が侵されて来ているのである。
 カウンター席の他人と隣り合うような処で、女子と話せる話とは何なのだろうか?
 諸兄は女子と人生を語り合いますか?政治や哲学で盛り上がりたいと思われますか?

 人間は成人期に至れば、老若男女を問わず。常に自分をアッピールして生殖期であることの勤めを果たそうと愛を語るものであるとは、発達心理学の教えるところである。
 すし屋の早い時間だと、それらしい淑女を同伴して来ている紳士をよく見かけるが、小生には、やっかみ半分ではあるが、バカとしか思えないのである。
 普通の日本男児が、歯の浮くような口説き文句を、それも他人に聞こえるような所で言っても、相手にされると思いますか?言われた方が引くでしょう。それに、すべてが筒抜けのような所で、淑女が色っぽい振る舞いをするわけもないし、色よい返事をするわけにもいかんだろう。
 また、そのような淑女は大抵香水が強くて隣の客に迷惑をかけるものだが、くだんの紳士はその気遣いが出来ず、決まって得意そうにワインを飲んでいるから、その手の人種は直ぐに分かるのである。
 基本、すし屋は、何でも言えるような(香水は控えめにするように、とか)気の置けない仲になってから(女房とか)行くところなのだよ。
天ぷら屋も同様だ。
 すし屋、天ぷら屋はブラタモリならぬ、力の入らないブラメシが良いのだ。深謀遠慮や、よからぬ目的を持って行ったり、変に構えて緊張して行っても、つまらんだろう。
 食べることに専念して、間髪を入れず、手渡しの感覚で食べてこそ、親方に喜ばれる良い客になれるし、結果として人より旨いものにありつけるというものだよ。

今最も嘱望されている若手すし職人の一人―すし家の親方

今最も嘱望されている若手すし職人の一人―すし家の親方

雲丹も握る

雲丹も握る

麹町天真ーサイマキ海老

麹町天真ーサイマキ海老

琵琶湖の鮎

琵琶湖の鮎

 洋服に沁みつくような煙や匂いが湧き立つところこそ‘本当の男’の天国である。と思っていたが、最近はそこも女類に浸食されて来ているようだ。居酒屋、焼き鳥屋、焼き肉屋、ホルモン屋の類である。(今やホルモン好き女子をホルモンヌと言うらしい。)
 小生は肉よりホルモンの方が好きである。焼肉屋に行っても基本ホルモンしか食べない。だから男どうしなら焼肉屋には行かない、ホルモン屋に行く。
 やはり、ご同類が多いらしくて、旨いホルモン屋は年中混んでいるし、予約も取り難い。
 百獣の王、ライオンを見よ、彼等は飢饉でもない限り内臓しか食べない。女類の好む刺しの入ったロース、バラ(カルビ)、イチボなんぞ見向きもしないのである。

ホルモン俵屋

ホルモン俵屋

メニュー

メニュー

団扇使いが焼きのコツです

団扇使いが焼きのコツです

 豚カツは「孤独のグルメ」にふさわしい男のご飯である。個人的には、どこかに貧乏学生の御馳走風なイメージが残り、気張った男の一人飯の侘しさが漂ってしまい、女を口説く武器にはならないだろうと勝手に思い込んでいるが、それは単なる刷り込みだろうか。
 それでも時々は無性に食べたくなるのが豚カツである。
 神田小川町の「ポンチ軒」は、赤坂見附のプレデンシャルビル近くにあった「フレッツ」の名前替えした店である。最も料理の内容は、豚カツがメインとなり、町場にある普通のとんかつや風にはなっていたが、往年の旨さはそれなりに引き継いでいる。(ミシュランのビブグルマンでフォークをとっているよ)
 言うまでも無く赤坂にあった「旬香亭」の斎藤元志郎氏がオーナーの店だが、従業員は、オーナーの職人にありがちな非社会的な非常識さを引き継いでいてか、傍若無人な振る舞いが気になるし、おまけに、オーナーの目が無いことにかこつけてか、手抜きが目につく。油は悪くなっているし、揚げのキレも悪い。このまま放置すれば、かつてのフリッツとは全く別物になってしまうだろう。
 斎藤氏は、最近目白に旬香亭を再オープンしたらしいが、こちらはどうだろうか?そちらの旬香亭は、赤坂時代と同じ古賀シェフが仕切っていると聞くので、おそらく大丈夫であろうが、斎藤氏も東京進出で大成功したからと言って、静岡に引っ込んで、お大尽暮らしでは、いつしかしっぺ返しを食らうのではないかと気にかかる。
東京の客をなめたら、あかんぜよ。

ポンチ軒のマット

ポンチ軒のマット

エビフライ

エビフライ

 男同士でも無論、フレンチでもイタリアンでも行きますよ。その場合は、個室か、ほぼ貸切状態にして使う。理由は先に述べた通りである。
 形成外科医の頃の後輩達との同窓会もその一つで、最近は、神楽坂の「かみくら」の様にちょっと気取ったところに行ったりもする。まあ、古民家でフレンチと言う、良くあるパターンであったが、今やよほど頑張らないとリピートはむつかしいだろうね。

形成外科同窓会

形成外科同窓会

かみくらの前菜

かみくらの前菜

かみくら主菜

かみくら主菜

さて、ジャズバーは男店、女店のどちらであろうか?最近は、「ウナカンツォーネ」や「カエルたち」などシャンソニエにも出入りするが、ジャズバーはなぜか男同士が良いような気がする。多分くすんでばかりで色気のなかった学生時代を懐かしく思い出すからだろうか。小生は、DIG,DUG、PIT INが青春でしたからねえ。

麹町ジャズポット

麹町ジャズスポット

銀座かえるたち

銀座かえるたち

 

 

老人の秘密のドリームテーブル

老人だって、息抜きが必要だ。
老人だって、たまには男に戻ってもいいじゃないか、
老人だって、ちょっと秘密を持ってもいいじゃないか、
老人だって、夢の食卓を味わってもいいじゃないか。

僕の夢の食卓なんて、谷崎潤一郎や川端康成のしたことに比べれば、少女の屁にもならない可愛いものさ。

老人の見栄で断っておくが、これは同伴ではないよ。-それなら誰でもできるじゃないか。
お店は、若き女子が憧れるような高級店でもないよ。-それなら話は簡単すぎるじゃないか。

1. 阿佐ヶ谷のラピュータレストラン―「山猫軒」

ラピュータビル

ラピュータビル

1階はシネマ・ミニシアタ―

1階はシネマ・ミニシアタ―

  「面白そうなお店見つけたから行ってみない?」と誘われていってみたイタリアン。
お相手はイタリアン食材輸入のプロ。現地集合だったので、電車で出かけ、迷いに迷った挙句、お迎えに来てもらった。
 建物がジブリのようで可愛いのだ。建物の前には池があり金魚が泳いでいた。細い螺旋階段を昇ってドリームテーブルに着くのだが、これが老人カップルだったら、「無理しなくてもいいのに,ハラハラするよ」と言われそうだが、じい様が若い御婦人に手を引かれて行くから、世間も微笑んで?くれるのだよ。

メニュー

メニュー

前菜盛り合わせ

前菜盛り合わせ

オマールとホタテのポアレ

オマールとホタテのポアレ

ひれ肉とフォアグラ、ロッシーニ風

ひれ肉とフォアグラ、ロッシーニ風

デザート盛り合わせ

デザート盛り合わせ

無題

無題

 食事は思いの外に上等。老人と行かなくとも、女子会で支払い可能なプライス。

2. 嵐の日でも並ぶ平河町のおでん屋―「稲垣」
営業で、日夜全国の盛り場で飲んだくれている女酒場放浪記を地で行くような女史と飲み会。しかし、実物はほら、JKの様に愛らしいじゃろう。この彼女が、お酒には一家言も二家言もあるから恐ろしいのだよ。

お店の名前は稲垣

お店の名前は稲垣

おでん鍋は3種類

おでん鍋は3種類

刺身も良い

刺身も良い

「稲垣」は、おでん屋だけど、魚も天ぷらも、すべてが美味しくて行列のできる、平河天満宮の門前にある居酒屋。おでんは、関西風、関東風、名古屋風と3種類ある。従って大きなおでん鍋も3個ある。

名古屋風おでん

名古屋風おでん

無題

無題

名古屋風は無論味噌仕立て。牛スジが土手焼き風で美味。刺身も上等。
10月からは予約が効かなくなるから、並ぶことは覚悟で、どうぞ。

3.3年間の休業に入った唯一無比のかき氷―赤坂トラヤ

宇治金時クリームがけ、白玉付

宇治金時クリームがけ、白玉付

くずきり

くずきり

 あの赤坂のトラヤ本店が改築の為10月某日から休業閉店した。休業は3年間と言うが、仮店舗営業はしないと言う。
 かき氷はトラヤに尽きることは、甘党なら誰しもが認めるところ。小生も夏が来たら、まずはトラヤのかき氷、夏が終わりそうになったら、ゆく夏を惜しんでトラヤのかき氷と言うほどのファン。
 女子を誘うに恰好なところ。真昼間に氷を食べるのに何ら警戒心は抱かないだろうし、お店はセレブ感があるし、それに無条件に美味いし、自分で払うには少々高級だから誘われも嬉しいだろう。
 所詮値段の安いものなら、とびっきり最上級を選ぶのがコツ。

これからの3年間行けないのは非常に残念。こちらは3年後があるかどうかの身と言うのにだ。

4.「こんないい店やれる店」推薦の青山の隠れ家レストラン―CICADA

CICADAテラス

CICADAテラス

オープンテラス

オープンテラス

 広尾商店街からちょっと入ったところでやっていた無国籍料理のお店が南青山のスパイラルビルの裏に移転した。オープンテラスやプールのような水回りがあって一昔前に流行ったお洒落感覚。

ひよこ豆のディップ

ひよこ豆のディップ

クスクス

クスクス

リブロースのステーキ

リブロースのステーキ

無題

無題

 料理は本格的だがリーズナブルなプライス。従業員の態度も、良く教育が行き届いていて、最近になく二重○。
 クスクスランチ定食に、アンガス牛ステーキランチを食べたが、料理も二重○。この雰囲気で、この位の価格設定で夜デートが出来れば、老人の財布にも優しい。
 お相手は無論三重○でした。

5.これ以上のシチュエーションは望めないテラスでランチを―「ローストビーフの伊豆花」

伊豆花

伊豆花

テラスは相模湾が眼下に

テラスは相模湾が眼下に

畏友イエス・ジョージがプロデュースして、かつオーナーの店。
暇つぶしに、どうしてもドライブがしたくて、近隣女子に大募集をかけ、唯一返事があった彼女と一緒に熱海は伊豆山へドライブ。
日頃の行いがたたったのか、あいにくの雨模様になりもうした。
晴れていれば、眼下に相模湾で、初島を望む絶景。

前菜

前菜

ローストビーフ

ローストビーフ

料理は、鎌倉山仕込みのローストビーフ。3キロ位で140度で1時間焼き、40分は寝かすと極意を聞き出し、大収穫。
車だから飲めなくて、男の色気も出せずに意気は上がらず。
近くのMOA美術館は、時間切れで行けずに終わりました。

無題

無題

伊豆花の庭

伊豆花の庭

エピローグ:
結局のところ、秘密の夢が覚めたから、日の目を見たのがこのブログなのである。
人生幾度となく痛い目にあっても、相も変わらずボロを出しては、必ずバレテしまう、この脇の甘さは何とかならないものであろうか、ご同輩。

 

斎藤シェフの「プリズマ」賛歌―これ以上のイタリアンは想像することすらできない。

 半年ぶりに南青山、根津美術館裏のプリズマに行った。友人のお誘いを受けてのことであった。ま、プリズマ仲間である。
 私達の前回の訪問は3月であったので(グルマンライフ2015.3.11.参照)、その時は春を呼ぶ瑞々しい早春の食卓であったが、今回は秋の訪れを感じさせる落ち着いたシックな初秋の食卓であった。
 それにしても、斎藤シェフの料理は行く度に進化していて驚く。
 秋トリュフの始まる頃、この時期が彼の最も力の入るシーズンであるが、あの修行僧のような姿形と、トリュフの妖しい香りとは、どうにも似つかわしくないから面白いものである。
 ま、私達もトリュフの色香、妖艶さとは無縁の存在であるから同類ではあるのですが。
 今回私達が食べたトリュフは、どうもプリズマの入荷第一陣の最後のトリュフの様であり、丁度、お店がはねる頃、第二陣の入荷があり、偶然その瞬間に立ち会うという奇遇を得ました。

① ②

 思い出すに、同じ様な光景に以前も立ち会ったね、と連れが申しましたので、今回はその風景を写真に収めました。どこの食品輸入会社か知りませんが、ALBAと銘打った木箱に入れて恭しく持ってきて、斎藤シェフのお眼鏡にかなうものか、お伺いを受けながら、取引をするという風情でした。
 本日のお買い上げは持ってきた3個すべてでした。良かったですね。
 プリズマも盛況を伺わせ何よりでした。

 トリュフの妖艶な香りは、フランス貴族の妖しい自堕落な生活を彩る媚薬のようなものであったのでしょうが、私達は初孫を待ちわびる二組の老夫婦であり、そのような用途とは残念ながら無縁ですが、それにしても,秋の白トリュフは、いたく鼻腔を刺激するものですね。
 鼻炎や何かで嗅神経の機能していない人は決して食べてはいけません、治してからでないともったいなさ過ぎますから。
 それにしても、秋は洋の東西を問わずフンギ(菌)、キノコが美食の中心になりますね。日本の丹波の松茸、大黒シメジ、ポリチーニ、(仏セップダケ)と、思い出すだけで心が騒ぎますね。

 さて、それでは斎藤シェフの今回の渾身の料理を紹介します。

③

1)トマトのジュレとモルタデッラのムース
 なぜか白いトマトのジュレに,エミリアローマニャ地方の郷土料理ボローニャソーセージのムースが乗ったアンティパスト。ソーセージの脂肪がトマトのジュレで中和されるさわやかな一皿目。

④

2)エシャロットのスフォルトマートとキャアビア
 スフォルマートは、溶いた卵ににハム、チーズ,野菜を入れてオーブンで焼くグラタン風の料理を言うらしいが,ここではまるで茶碗蒸しのように仕上がっており,上にのせたキャビアが贅沢感を演出し,心憎い一皿になっていました。

⑤

3)佐渡島産黒イチジクとクラッテロ ディ ジベッロ
 皮が薄いのでそのまま食べられる佐渡が島産の黒イチジクの上に,生ハムの最高峰、パルマはジッベロ村産の豚を使ったクラッテロ(熟成12ヶ月以上の生ハム)が乗っていたお皿。スペインのハーモン・イベリコ・ベジョータだけが最高峰ではなかったのですね,初めて食べました。イチジクも故郷の愛知産のものしか知らなかったので、思わぬ強敵が現れた印象でしたが、食べてみると、皮があるかないかの薄さで、実も締まり、味も濃く、愛知を遙かに凌駕しており,これが生ハムの塩分と良く調和していて、全員が唸るほどにショッキングなほどおいしかった。

⑥

4)クロアワビと京子芋とのアロスト、肝ソース
 山口産?のクロアワビと子芋を蒸しアワビのように、蒸すか茹でて、それを軽くアロストしたものであろうが、プリズマの前身ペルゴラ時代の初期にココット仕立てにしたアワビをよく食べたが,その懐かしさが蘇ったが、アワビは数等レベルアップしたものになっていました。千葉のマダカのアワビを彷彿させるように肉厚で柔らかく、かつ表面がこんがりローストされていて、これはまさに異次元のうまさでした。肝のソースがいいですね。イタリアンだからこそ出来る技ですね。また子芋との組み合わせが,秋を感じさせて粋でした。

⑦ ⑧ ⑨

5)白トリュフのタリオリーニ
 この一皿のために来店する客がいるほどの(私達も経験がありますが)、プリズマの看板料理。トリュフを引き立てる様にタリオリーニは細めに打たれており、今年のトリュフは香りも一段と強く,文句のつけようもない芳醇な一皿でした。
 気のせいか,マダムのスライサーもやや厚めの設定だったような気がしました。
 前にブログに書いたせいかなあ、マダムごめんなさい。<グルマンライフ、2013.12.9>

⑩

6)トマトとカザッテラチーズのラビオリ
 薄い、薄いワンタンを連想させる様なラビオリでしたが。ここまでの料理で、かなりパンチを食らっていたせいか、カザッテラチーズがどんな味であったか、ソースが何であったかは忘れてしまいました。ただ、繊細さが印象に残った一皿でした。

⑪}

6)リクリツィアのグラニテ
 お口直しのグラニテは、甘草味で胃も一休み。

⑫ ⑬

7)小鳩のアロスト
 メイン料理は、5種類の中からチョイス形式で。
鳩は二人前以上とあったので、私は友人の奥方と組んで、ランド産の鳩にしました。 
推測ですが、おそらくソースはサルサペヴェーラータ。文句のない焼き加減。

⑭ ⑮

8)利平栗のフリットと白トリュフ
 デザートもチョイス。
 一皿目はシェフの気配り。はち切れそうに実の張った焼き栗にトリュフをかけていただきます。これがまたよくマッチングしているから不思議。

⑯

9)キャラメル風味のクレスペッレと白トリュフ
 二皿目はクレープにトリュフをかけて。

⑰

10)ババと黄金梅
 これは、連れの選択。サバランである。スポンジに含まれるアルコールが梅酒なのか?

⑱ ⑲ ⑳

11)フレッシュミントティとお茶菓子
 焼き菓子が7種とホオズキの砂糖菓子。すべて手作り感のあふれる可愛らしいお菓子。ほぼ定番のものですがホオズキは特に他では味わえないものなので、いつ来ても美味しい。
 そういえば、先日蓼科農場で、食用ホオズキを売っていたが、あるものなんですね。
 カップはジノリ。最近はカトラリーにもこだわりが見えるようになり、これも楽しみになってきた。本日のプレートもジノリと見た。

 今回は、これでfini。
 年を取ったせいか、ワインも白を1本とバローロの赤1本を飲んだだけで、かなり酩酊し食後のスピリッツはなしで直帰しました。
 アルコールは量を飲めばいいというものではないが、年を重ねるにつれ自然と酒量は減るもので、老年期の下り坂を実感しつつ帰路に着きました。

 当日は私達4人の他にも二組のテーブルが埋まり、ほぼ満席状態でしたが、、相変わらずシェフとマダムの2人3脚で切り盛りされていました。それでもサービスは滞ることもなく、スムースに流れるから驚異です。

 少々お疲れ気味のシェフと溌剌としたマダムのお二人の健康を御祈念します。

私達の余生の幸福な時間のためにも、心から。
ごちそうさまでした。幸せな時間でした。

プリズマのマスコット

プリズマのマスコット

 

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