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グルマンライフ

エル ブランシュ「日本のフレンチの生き字引シェフが焼くフォアグラのレアさ加減がすごい」

雑誌ゲーテ東カレの情報に飽きてきたのでAIで麻布十番のフレンチを探して見つけて初訪問。場所的には馴染んだところなので,えっこんなところに、という十番特有の感慨を持ってお店に入った。カウンター7席くらいの小さいお店にオーナーシェフに,女性シェフ,ソムリエが働いていた。開店初っ端だったので客は他に客は1組みだけで、いろいろ話す事ができた。オーミラドの勝俣さんやイノの井上さんコートドールの斉須さん,北島亭の北島さんなど今は消え行く年代から,平松の変遷など昔話に花が咲いたが,80年代のパリのアルケストラートを知っていたのには,驚いた。ヌーベルキュジーンヌの少量多皿ムニュ・デギュタシオンの元祖である。今時でここまで造詣の深いシェフも珍しい。料理は丁寧で美しくかつ味わい深い。素材もよく吟味されている。仔牛のロティはありそでなかなか巡り会わないうまさであり,フォアグラも普通の焼きが加減と比べれば信じられないほどレアであり,あれは生ぐささを感じさせないギリギリなのだろうな。手堅い勝俣さんの弟子のギリギリの挑戦なんだろうな。このあたりは,麻布十番納涼祭りのド中心地である。あと1週間もすれば身動き取れなくなる。今日で良かった。

みつい

青空の出身と知り初訪問でした。趣味の良いインテリアとカトラリー。唐津、伊万里が多いが、美濃の織部も使う。まず今時めずらしくなった白酢で絶妙なシャリが良い。また最近流行りのつまみと握りの交互出しではなく、始めは良質な焼き物で始まり、カツオを炙って燻製にしてから、握りに入った.鮪3種は山幸でハズレはないし、鯨の尾の身は久しぶりの珍味、大千の紫雲丹、貝類も手が混んでいた。昼の臨時開店とかで客は6人、最近の有名店で幅を利かす若年者はおらず、店の雰囲気も良く、私の好む寿司屋の条件を全て満たしてくれた久し振りのホームランであった。

桃仙閣 東京「間髪入れずに,裏を返した」

盆休みで,多くのお店が閉まる中で平常営業をしていたので,まだ一周間と経っていないが裏を返した。前回とは北京ダッグ以外は別メニューにした。野菜類は火入れが絶妙で文句ないが,今回の北京ダッグは丸で冷めていたのはどうしたのだろう。黒酢のスペアリブは少し酢の効きが弱く,個人的には富麗華の方が好みかも。黄金炒飯は流石で,合わせたサンラータンの加減も良かった。
テーブル席で予約したが,また2人用の個室扱いで、粗相の多い年寄りにはとてもありがたかった。終始気の利くスタッフのサービスも素晴らしい。味とサービス,インテリア,カトラリーなどの雰囲気が3原則だと思っているがどれも余裕で合格だ。

くろぎ甘味研究所「和にこだわり過ぎて,どうかな」

予約が取れないと言うから,黒木の女将さんを通して予約して訪問した。昨今のかき氷ブームもあって,虎屋以外にも今時の高級かき氷を食べる機会があったので,それなりの先入観が出来ていた。そのせいかもしれないが,黒木式の和への拘り過ぎが,少し辟易したのが本音。頼んだのはきな粉と胡麻の二種。カウンター席からは氷を削り丁寧に積み上げて形成する様子が伺える。間に甘味を入れては何層にも重ねててんこ盛りのこれでもかの大きさで出される。なぜか抹茶が付いてくる。この組み合わせではどのタイミングで飲めは良いかわからない。私は胡麻味を食べたのだが,氷の中まで黒胡麻シロップがしっかりと染み込んでいて,白の無垢なところが全くないのもスプーンが休まらない。黒胡麻の香りも強く,甘過ぎず、これれまでに経験したことのない味わいであったが1/4食べたところで,そろそろ十分感が来て半分過ぎたところでギブアップした。正直,美味というよりヴィーガンにこだわり過ぎた創作性が前面に出過ぎた感じがした。3000円出して再訪する客かいるのか訝しいが,一度は甘味研究所の研究結果をたしかめるのも悪くはない。個人的には黒木氏の探究心はトンカツじゅんちゃんの方が良かった気がする。かき氷は本店のデザートの方が落ち着く。

薮蕎麦 宮本

おそらく15回以上の訪問。当日は 36ど以上の猛暑日。あれだけ気の利く女将さんにしては開店前に炎天下に行列で待たせるのはなぜだろう。紙に記帳させるとか,番号札を渡して車中で待たせるなどアナログ対応はできるのではないか。さてそれはさて置き、蕎麦,蕎麦前の美味さはさすがである。主人はおそらく80歳を超えているはずなのに衰え知らずである。
私の優勝メニューは、蕎麦がき,天抜きで一杯。締めで手挽き蕎麦とそのおかわり。
蕎麦がきは2日以上前の予約が必要。此れが難点。
駐車場はいつの間にか一台分増えているが,その昔は,一番奥にシートに被された車が1台あった。噂では赤のフェラーリとのことだった。
とても良い話だと思いませんか。免許を返納されたのだろうが,蕎麦打ちは,もう少し頑張っていただきたいものだ。
写真厳禁のお店なので食べログでみてください。

神楽坂 石かわ「噂に違わず素晴らしい男前の料理」

縁あって,その名も高い神楽坂のいしかわに行った。まず有り難かったのは完全なバリアフリーの設え。そして以外だったのは石川氏の風貌とatmosphereだ。もっとやわなイメージを想像して出かけたが,筋肉質の身体に精気が溢れ出ていた。聞けば齢は60歳とかで,神楽坂で蓮、虎白、波濤、帝国ホテルの寅黒などの7店舗を束ねる凄腕のビジネスマンでもあるから,それもうなづけるというものだ。料理は一言で言えば,男前の料理だ。要はチマチマしていないのだ。お上品な怜夫人がおちょぼ口で食べるのは似合わない男の料理だ。料理そのものは,計算し尽くされた繊細な料理であることは,器の好みや店内の置物,掛け軸,生け花などの室内の飾りを見れば自ずとわかるというものだろう。当日の料理の感想を言えば,糸魚川のズワイ蟹の真薯のお椀、大ぶりの秋田産の黒鮑の暖かい蒸し鮑,量が多くて思わず見間違えたキャビア,オシュトラてんこ盛りのソーメン.夏の終わりを感じさせる太った鮎の塩焼きの頭と骨が抜いて供されたものと,頭と骨のせんべい,メロンかと間違えた賀茂茄子の煮たもの,松茸とコロ,たらの卵とじ風、土鍋ご飯に追い討ちのこれでもかののどくろの煮つけと御殿場のわさびがついた締めのご飯,その他も全て文句のつけようのないものばかりだった。唯一残念だったのは,次回の予約が取れないことであった。なんでも一年先まで埋まったので,今は予約止めにしているとの説明であったがまあ新参者故であろうことは想像に堅くはない。最後のメロンとマンゴーが絶品だったからこそ落胆も大きかった。お代は,芝大門の黒木の約半額強でキャビアの量も多い、リピートしない手はないのにだ。

寛心「林亮治氏のプロデュース力が冴えた和食の名店」

大将は吉兆の出身で,近くの水光庵の4年後輩との話でしたが、料理のサービスの形が全く違っている。
お決まりが先付け一品にお椀に刺身で,あとはアラカルトで先付け,小鉢、焼き物,煮物、揚げ物,ご飯ものが多種ある中から選べる趣向が素晴らしい。居酒屋風のメニューもあるが一味も二味も違い洗練さが際立っている。どれも美味かったが,焼き海老真薯と小芋唐揚げが印象深い。もちろんお椀は特級で,胡麻豆腐ご飯についた鰹節も戦後世代には懐かしい味。こんないい店旨い店が徒歩圏内に出来た幸運にただ感謝あるのみである。国内外の遠くからわざわざ訪れる価値は十分にあります。予約の取れる今のうちが吉兆。

YORONIKU TOKYO AZABUDAIHILLS「よろにく以前、よろにく以後」

よろにくが世に出だ後では,焼肉業界はすっかり変わったという。それからはよろにく以前,以後というらしい。どんな世界でも新しいスタンダードを作ることは偉大なことで尊敬に価する。さて何がそれほど凄いのか?焼肉はそれほど食べないので,焼肉通の評価を見たほうが良いが,私なりに焼肉の概念が変わった。関係ない話だが,昔代々木のイルペンティートに行ってピッツァの概念が変わり,私の中ではペンティート以前,以後ができたようなものだ。コースでシャトーブリアンが出るのも凄いが,何より焼き方にこだわる姿勢に共感が持てる。焼き手のプロのスタッフが1人専用でついて焼いてくれる。かつて肉を焼くのは男の仕事だ,と言ってトングを離さなかった愚かな自分が恥ずかしい。火加減の絶妙なコントールはMLBのピッチャーでも真似はできないだろう。
バラ肉の時は,肉に火がついて燃えて焦げないように叩きつけながら焼く。シャトーブリアンは,火がついているのかというような弱火で何十分とかけて焼く。その際はスタッフは部屋から出て行ってしまいこちらが不安になる程だ。絶妙に焼かれた肉が美味くないはずはない。焼肉屋で最後まで網を変えずに焼くところなど知らない。それが凄技の証拠だろう。聞くところでは,有名人,上級国民の場合はオーナーが自ら焼くらしい。上級国民に憧れもつらみも無いが,このサービスには少しヤク。
焼肉好きは,このスタンダードを知ってようやくスタートに立てると思う。

蕎麦庵 みたて「美味いが,二兎狙いの限界かも」

久しぶりの訪問。6時開店で6時に予約すると,6時なるまで中に入れてくれなく、寒い季節に招待客を外で待たせて恥をかいたことがあるので、18:30で予約すると19:00にしてくれという、店の都合が優先する経営方針だな。行ってみると,席はまだ空席だらけ,なぜ18:30でいけなかったのか不明。いつも思うのだけど開店時間に一斉スタートをするなら,ウェイティングを設けるか,早めに準備して中に入れて待たせる配慮が欲しい。先日行った島田の薮蕎麦宮本でも,あの気の利く女将でも11:30の開店まで酷暑の炎天下で客を行列させていた。同席者2人は初訪問だったので,まずはマグロとキャビアのガレットが出て感激。鮪がボストン産なのはよいにしても,キャビアの質を落とせばすぐに分かってしまう。蕎麦は少し改善したような気もするが,手打ちの実演はやめたのか、菊ねりした蕎麦玉を見せてから,蕎麦刺を作るパフォーマンスもなくなっていた。ソムリエールの女将さん?は変わらずサービスも感じも良いが,よく変わるスタッフの教育は行き届いていない。一言で言うと,何も知らずにそこに居る感じ。料理も酒も悪く無いしコスパも良いが,料理が少し雑になった気がしたので京味の出と言っていた板長は変わったのかもしれない。十番界隈は吉兆系の日本料理屋や次郎系の寿司屋の良いのが進出してきているし,山幸のブランド力も大衆化したので,今一つの踏ん張りを期待したい。ハッキリ言えば,マグロの日本料理と蕎麦のいいとこ取りで受けを狙ったのだろうが,慣れて来ると、いずれも中途半端で物足りないかもしれない。客層は相変わらず 3,40代のアントレプレナーか美容系風が目立ちシャンパンを開けている。熟年,老年層は皆無。金を使うことは社会のためになるから、それで良いのかもしれない。

ブルーオマール

私のAIF研究室のフォローワー数は極めて限定的だが、それでも6つのブログの中ではグルマンライフが一番人気のようだ。ここもしばらく更新をさぼると、それまでの「書かねば」という強迫観念にも似たストレスから解放され、こんな楽なことはないと、とうとう1年が経ってしまった。私のつたないブログでも週に1,2本書くとなれば、それはそれでも多少は脳に知的刺激にはなっていたようで、最近の意欲、認知の衰えを自覚すると、自分自身のためにもブログ再開のリクエストにお応えしようと思うようになった。そこで頑張って6つのカテゴリ―は減らさずに守り、同時に再開することにしたのである。
ブログ休載のキッカケになったのは、厄難のように発生した近隣の大規模公共工事のために引っ越しを余儀なくされ、そのために時間とエネルギーを取られたためである。
転居後は別段大きく生活が変わったわけでもなく外食の楽しみを減らしたわけでもないし、店での写真も全く撮らなかったわけでもないので、そこそこブログのネタは溜まっているのだが、記憶の方がさっぱりで、どの店での経験も正確に記述することが出来ない状態なのである。
そこでグルマンライフ再開の第一弾はブルーオマールという高級食材にまつわる2回の食事の体験を断片的な記憶をたどりながら始めることにしようと思う。

友人の結婚祝いの食事会を今年の1月に紀尾井町のオー・プロバンソーでやることにし、中野シェフにあらかじめ予算を伝えておき特別料理を作ってもらった。

前菜2種、魚料理にメインをマリアカラスにした献立は中々力の入ったもので、招待した友人夫婦にも満足していただけたようであり、当方の面子も大いに立ったのである。
その中の温前菜が「ブルターニュ産オマール海老のソースカルディナル(甲殻類の乳化ソース)マッシュルームとペリゴール産トリュフ」であった。

この皿が供される時にメートルドテルS氏が、こう言ったものだ。「今日のオマールは、先生も余り召し上がっていないブルターニュ産のブルーオマールという大変希少なものでして、今日のために頑張って特別に手に入れました」と。言下に、オマエはまだ食べたことは無いだろうが、と得意気に言ったのが見て取れ、小生の僅かばかりの自尊心も傷ついたのであった。
確かに、鴨はシャロン産というのとに同じように、オマールはブルターニュ産のブルーオマールというくらいの知識はあったが、改めて名を聞きながら食べたのは初めてのことであったような気がする。
言われて食べてみれば、通常口にする北米産の大味なオマールとは大違いで、良質な伊勢海老の、放つ香りこそ無いが、プリッとした濃厚な味わいは同じクオリア(≒質感)のものであった。

そして、それから2か月後、妻の誕生日の食事会で帝国ホテルのレ・セゾンに行った。
私達はレ・セゾンには縁が無くて初めての訪問であったし、又簡単に再訪出来るわけでもなかろうと、奮発して一番値の張るシェフのお任せコース(Le Menu De Thierry)をオーダーした。

そうしたら魚料理の舌平目の後にブルーオマールが二度に分けられて出てきた。最初は腕肉のソーテルヌとフヌイユのソースの一皿で、二皿目は爪肉が串揚げのように串に刺して揚げてあり、それを天つゆのようにスープにつけて食べる趣向であった。

つい先日知ったばかりであったが、「ふーむ、ブルーオマールですね」と訳知り風を装ったら、メートルドテルのK氏は、嬉しそうにうなずくと、間もなく生きたブルーオマールを大きな銀盆に載せて運んできてテーブルに置いて見せてくれた。オマールはテープで拘束された大きな挟みを何度も動かしては自らの存在と生きている証を盛んにアッピールした。勢いよく跳ねると盆から飛び出しそうにはなったが、基本移動は出来ないので、いつまでも盆の中で威嚇し続けた。
ブルーオマールは甲羅や爪が独特の鮮やかなブルーカラーをしていることに由来するらしいが、見せられたものは、ネットの写真でみるような鮮やかなブルーではなかったのが少々残念であった。

K氏は、メートルドテルのお手本のように細やかな気遣いが出来、立ち居振る舞いも所作も美しい人であったが、髪型は外目にも派手なリーゼントであった。帝国ホテルの格式に合わないのではないかとおせっかいにも思い、立派な髪ですね、と聞くと、髪をオールバックにして整髪料でコテコテに固めておくのが給仕という仕事には最も相応しいのだと言い、以前勤務していたホテルからずーっとこのヘアスタイルで通していると、ちょっと得意気に誇らしげに話してくれた。

髪の無いのと多すぎるのが並ぶのも良かろうと思い、一緒に記念写真まで撮って帰ってきたのである。

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