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灯台下暗し、下高井戸の居酒屋「おふろ」―環七外のビブグルマン侮るべからず

ご多分にもれず、小生も遠い方に目が行きがちで、遠くにはもっと美人がいるのではないかと、身近な麗人を軽んじる傾向があるようだ。
グルメを同様で、やれ青山だ、麻布だ銀座だと、ブランドエリアに目が行きがちである。

自宅に近いので、知らない訳ではなかったが、そのような理由で縁遠かった近場のミシュラン・ビブグルマン店に行く機会が最近たまたま続き、そのコスパの良さに驚いたのでいくつかをご紹介しようと思う。
初っ端は、住所は世田谷区赤堤、駅は京王線・下高井戸から数分のところにある居酒屋「おふろ」である。
以前、豪徳寺の蕎麦屋「アメコヤ」をご紹介したが、「おふろ」も同様にミシュラン・ビブグルマンの初めからの常連で、オーナー同士も仲が良い。
おふろという名前の由来は聞いていないから知らないが、オーナーの白い上っ張りには温泉マークが刺繍してあるのがご愛嬌である。

居酒屋というのはちょっと謙遜なのだろうが、酒も料理も相当なレベルである。主人、スタッフ共に日本酒、ワインの造詣は深く、銘柄揃えも根性が入っていて半端ではない。食事はいわゆる無国籍に入るのかもしれないが、一皿一皿は由緒由来のはっきりしたものである。時にフレンチであり、時に和食、時にイアリアンという具合で変幻自在に供されるのである。決して中途半端な無国籍料理ではないのだ。

ビブグルマンというのは、一応3500円以内で食べられるがとても美味くて、要するに非常にコストパフォーマンスが良いお店に与えられる星らしいが、実際に行ってみると、とてもそれでは済まないところが多いのが現実である。尤もラーメン店などでは、きっちり守られてはいるが。
おふろは、4人以上の注文に限定されるが、2900円のお任せコースがある。先日は4人で出掛けたので、主人からそのコース料理を勧められ食べてみたが、これは掛け値なしにコスパが最高であった。以下写真は4人分であるが、10皿以上も出てヴォリュームも満点であった。





ワインは主として新世界のものが中心に幅広く揃えてあり、ブドウの好みの品種を言えば、料理に合わせて、数種類が提示される。各ボトルのラベルの上に、バイザグラスの値段がマジックで書いてあるので、フトコロの計算がし易く安心して飲めるというわけである。


小生は日本酒には全く無知なのでよく分からないが、相当な日本酒マニアが通うことからもレベルの高さは想像がつく。そもそも日本酒が得意のお店らしい。
料理人は奥に隠れていて見えないので、人となりは分からないが、一人で全部こなしているところから、只者ではない筈だ。

ミシュラン風に言えば、ついでというより、わざわざ出かける価値があるお店であるのは間違いないが、宿を取ってまでして来る価値があるかどうかは小生には判断がつかない。

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