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環七外の梅ヶ丘の『瑞雪』-ミシュラン星つき中華6店の一つ

小田急線豪徳寺・梅ヶ丘地域のタウン情報誌誌に載っていた中華料理屋と天ぷら屋がよさそうだったので、土曜日の夕飯に空いてる方に予約することにし、空いていた梅ヶ丘の中華料理店『瑞雪』に行った。

行く前にネットで調べてみると、瑞雪はなんとミシュランの一つ星であった。
梅ヶ丘近辺にはかれこれ20年ほど住んでいたので、そんな店があるとは意外であった。梅ヶ丘と言えば「美登利寿司」が唯一都内に知られた有名店で、それとてネタの大きいだけが取り柄のような鮨屋であるから、とても味でうならせるような店が梅ヶ丘にあるとも思えず、大して期待もせず出かけてみた。
駅から数分の商店街の外れの旧いビルの2階にあり、初めてではちょっと迷うような立地であり、お店も商店街の中にあるごく普通の食べ物屋の風情であった。

料理は魚中心の広東料理と言うことで、ディナーはお任せ料理のみ3コースで、真ん中のお店のおすすめコース6500円を頂いた。家からは歩くには少々あるので、車で出掛け時間貸し駐車場に停めたので、アルコールは飲めず、ノンアルコールビールと中国茶で始まった。
お茶はプーアール茶と何かのブレンドで、まるでハーブティのような味わいで、大き目のティーポットで出され、言わずともお湯を何度でも注ぎ足ししてくれた。不思議に最後まで味、香りが無くなることはなかった。

メニュ

最初の一皿、島豆腐の中華風冷奴


島根県益田市直送カンパチの中華風刺身

錦糸瓜と蟹肉のフカヒレスープ


大根モチ

特製もっちり豆腐


車海老のフワフワ揚げと
アボカドのレモンソース

豚の三枚肉のトーチ風味


島根県益田市直送の
キハタの姿蒸しネギ油がけ

冷やし麺
 

杏仁豆腐


料理は特に斬新でもないが、いずれも食材は良く吟味されたもので、主人の人柄が伝わってくるかのように丁寧に作られていたし、ハタの姿蒸しなどは奥方が、それに応えるかのように無駄なくさばいてサーブしてくれて、店全体に料理人のスピリッツと言うか誇りのようなものが漂っているかのようであり、客としてはとても幸せないい気分になった。一皿一皿がバランス良くまとまっていて、料理には老成感すら感じられる隙のないものであった。

一言で評するなら、梅ヶ丘と言うより日比谷のハイフンテラスのような所でこそ似合う品性豊かなものであった。

ミシュランに話しを戻すと、なぜかミシュランには中華の星付は少ない。2015年ではフレンチ約70店、鮨40店に対して中華はわずか6店のみである。2016年には3倍増の19店になり、今年はさらに2店増え21店であるが、瑞雪は2015年から3年連続一つ星を得ておりその評価は高い。
中華の最高峰は二つ星の三田慶応大学近くの「桃の木」であり、他はすべて一つ星である。どうやらミシュランは我国の中華料理には点数が厳しいようだ。
同じ一つ星でも、マンダリンの「センス」や中国飯店の「富麗華」はそれなりの構えを持って風格があるが、瑞雪はお世辞にもインテリア、サニタリーが際立っているとは言えないので、正直ミシュランの拘る「料理以外の選考基準」がよく分からないと思ったりした。
確かに料理は一頭地抜きん出てる感じはするが、それくらいの感動なら、他にもいくつもあるではないかと思ってしまう。たとえば桃の木出身の荒木町「の弥七」や王道の銀座「福臨門」になぜ星が付かないのか、などと。

全く予備知識なしで来て味わえば、思わね拾いものをした気になるであろうが、東京のベスト20店に入るミシュラン一つ星の先入観で来ると、少々違和感を持つ人もいるかもしれないと思う。

しかし我が家に限れば、至近の距離で、この値段でこれだけの中華を食べさせてくれる店があるのは幸運であることに違いはない。

例え少々遠方の方でも、中華の伝統的な店構えで中華らしい中華料理を求めて来なければ、またヌーベルシノワのお洒落な中華を求めて来なければ、瑞雪は瑞雪の個性があり、十分に満たされた気分にしてくれるので、近くに来られた時に寄ってみる価値は十分にあると約束できる。

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