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六覚橙ー串揚げとワインの洗練

銀座交詢ビルにある六覚橙(ろっかくてい)という串揚げのお店に行った。

本当は当日、友人のY氏夫妻と歌舞伎を見て、その後にワインを一杯という予定であったのが、手違いで、歌舞伎観劇が無くなったので、急遽時間を繰り上げ夕飯で行くことになった。

ワイン通の銀座ヴェリテクリニックの福田先生のご紹介で初めての訪問であった。

交詢ビルは1階にバーニーズニューヨークが入っているので、少々早めに出かけ覗いてみたが、私の年齢のせいか趣味が合わず、結局時間を持て余したので、付近をブラブラしていると、ピアジェのブティックがあり、家人に先導されるがまま、フラフラと入ってしまった。

交詢ビル、交詢社の面影を残している。

家人が最近ピアジェの指輪が好きで、何とか記念という名目で、いくつか買わされており、彼女には珍しく、妙に敷居が低かったのである。

私は入るや早々、離れた椅子に座って無関係を装い、遠目で様子をうかがっていたが、敵もさるもの、そつなく、お茶とお菓子が出され、お店側は無理やり関係性を持たせようとするのであった。

悔しいことに空腹も手伝って、その茶菓は美味であった。

結局、家人は自分の指輪と同じシリーズの時計が大層気に入ったのであるが、気に入ったことはしっかり確認するに留めて、もちろんソソクサと退出したのである。

近くに、ビルの建て替え前の空き地がコインパーキングになっており、見ると10分600円とある。

さすが銀座、この値段!

さすがは銀座と、身の引き締まる思いであった。

ちなみにベントレーGTが停まっていた。

さてロッカクテイであるが、看板も出ておらずキョロキョロしていると、お店の人が外に立ち笑顔で出迎えてくれた。

用意された席はカウンターのコーナーの4席で、斜め向かい対峙する形になり、会話はし易く、近況の四方山話から、結局は男は車の話、女はタカラズカの話に落ち着くのである。

Y氏は、近々マクラーレンを人生最後の車として買うそうで、とうとう私もマクラーレンに乗れるかと、人の褌ながらも幾分興奮した。

肝心の串揚げは、豚バラと玉ねぎの串カツ位しか知らない小生には異次元の味覚であった。

肉、魚介、野菜が上質なクリームコロッケのような衣をまとい、巧みに揚げられて、天ぷら屋の要領で、まさに際限もなくどんどん出てくる。いろんなソースや塩が各自の皿に用意され、二度づけは禁止などという関西風のせこさはみじんも感じさせないのである。

ちなみにこの店は大阪黒門町が本店であるらしいのだが。

ワインはものすごい種類を持っているらしく、店主は無二、無類のワイン通と聞くので、注文は“白のさっぱり系”と言えば、客の顔を見定めて、頃合いの物を見繕って出してくれる。

福田先生曰く、癖のある面白い選択をする、とのことであったが、当日飲んだ白2本と赤1本は、いずれも小生の口にはあって、おいしかった。

串揚げは、途中でお止を掛けないとワンクールが20本くらいとヘビー級で、小生とY氏夫人は全うしたが、Y氏と家人は落伍した。

最後に鮨屋か天ぷら屋のように、アンコールを聞かれたが、さすがにそこまでは行かなかった。

噂のようにワインは亭主任せにするがよく、店員のマナーも優れて良く、気持ちの良い店であった。

何回か通うほどに,オネエサンの応接も段々親密になって来て、居心地もさらに良くなるだろうと期待出来る、次も訪れる気にさせる数少ないお店の一軒である、というのが私達の感想である。

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